2980 SREホールディングスの業績について考察してみた

2980 SREホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

2014年ソニー株式会社のグループ会社として前身となるソニー不動産株式会社が設立され、不動産事業を開始。この事業を核に、積極的にITやAIを導入して、AIクラウド&コンサルティング事業を展開していった。実業を通じてビジネス基盤を構築し、それに最先端技術を掛け合わせることで、様々な領域に影響を与えている。2019年に現在のSREホールディングス株式会社へ社名変更。同年、東証マザーズに上場し、2020年に東証一部へ変更

株主構成

2020年9月30日時点の大株主を見ると、親会社であるソニー株式会社が42.61%を占め、次いで、業務提携しているZホールディングス株式会社の24.13%。それ以下は、国内外の信託銀行の信託口22.85%となっている。

取締役会構成

同社の取締役は6名(社内4名、社外2名)。代表取締役の西山和良氏、不動産事業の河合通恵氏、AIクラウド&コンサルティング事業の角田智弘氏と事業ごとに担当取締役がおり、他3名は監査等委員の構成。グループ会社を経由して同社取締役となったのが4名おり、その他は経歴等さまざまである。

代表取締役の経歴

代表取締役の西山氏は、1975年4月生まれ。東京都出身。一橋大学商学部を卒業し、2003年にソニー株式会社へ中途入社。複数の事業を経験し、2012年コーポレート企画推進部門・担当部長、2014年SRE事業準備室長を経て、同社代表取締役就任

報告セグメントと事業の構成

同社は、2021年3月期より不動産事業とAIクラウド&コンサルティング事業(以下AI C&C事業)の2つのセグメントとなった。2021年3月期第2四半期時点の売上高構成比は不動産事業1,980百万円で83.0%、AI C&C事業403百万円で16.9%となっている。

競合他社

不動産業界の市場は大きく、競合他社は非常に多い。具体的な競合としては、三井不動産(8801)系列の三井不動産リアリティ(三井のリハウス)や住友不動産(8830)系列の住友不動産販売(ステップ)などが挙げられる。不動産事業一本だと淘汰される可能性があるが、同社は最先端技術を早くに取り入れることによって、幅広い産業に対して価値を提供していくことが可能であり他社との差別化が図れている。

連結の範囲

2021年3月期第2四半期時点では、連結子会社はSRE AI Partners株式会社1社のみ。

事業モデル 不動産事業

不動産仲介サービスとIoTを活用したスマートホームサービスを展開。不動産仲介サービスにおいては同社独自のエージェント制を採用。一般的な不動産仲介の場合、仲介会社が売主と買主双方を担当して両者から仲介手数料をもらっているが、同社は売主と買主どちらか一方だけを担当して一方からのみ仲介手数料をもらうというのが特長
スマートホームサービスは、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供するIoTサービス「MANOMA」を搭載した収益型不動産「AIFLAT(アイフラット)」の施工・販売をファンドや法人に対して行っている

事業モデル AIクラウド&コンサルティング事業

AIを活用した不動産仲介サービスと各種ソリューションサービスを展開。Z不動産売買プラットホーム「おうちダイレクト」を通じて個人・法人向けサービスを提供。個人向けサービスでは、大量の不動産データをAI技術によって処理する「不動産価格推定エンジン」を利用して、不動産仲介業者を介さずに仲介手数料0円でマンションの売出しができる。法人向けサービスでは、集客、売却一括査定、不動産売買契約書・重要事項説明書等書類作成等、一連の不動産仲介業務を一貫して支援するサービスを提供している。
各種ソリューションサービスにおいては、不動産仲介業者や金融機関のみならず様々な業界に対して、マーケティング、営業活動、在庫管理業務等顧客企業の経営課題を、AI技術を用いて解決するコンサルティングサービスを提供している。顧客企業の過去の業務データをソフトウェアに入力すると、自動的に機械学習が実行され、顧客企業の経営課題解決の為の「AIによる将来予測ツール」が生成される。それを活用することによって業務の効率化を実現できるようになる。業界特有の課題解決を通じて、共通のニーズを特定し、汎用性を持つAIを機能ベースで範囲を広げていく。

強みや弱み

同社は不動産事業(リアルビジネス)とAI C&C事業(AI)を有している。リアルビジネスで得た情報をスマート化させ、プラットフォーム上で展開することにより豊富なビッグデータを蓄積、オープン化を通じて他業種に渡るパートナー企業へAI/ITソリューションを提供している。このように2つの事業が相互に補完し合うデータエコシステム型ビジネスを構築しているのが同社最大の強みである。
実務有用性の高いサービスを提供しており、顧客満足度が高く、契約数は右肩上がりに上昇、直近12か月平均解約率は0.5%と業界最低水準を堅持している。

KPI

同社はKPIとしてAIクラウドサービスの課金契約数と月次解約率を掲げている。収益性の高いAI C&C事業を伸ばしていく考えであり、収益の基盤として重要視している。2021年3月期第2四半期の実績は下記の通り。
・課金契約数773件(前年同期比+90%)
・月次解約率0.5%(業界最低水準)
この他に、作業時間やエラー率の減少量については顧客満足度へと直結するものであり、成長性を見る上で重要である。

懸念点

センシティブ情報を含む個人情報を保有しており、サイバー攻撃や社内不正による個人情報漏洩は大きなリスクと考えられる。

業績の進捗

2021年3月期第2四半期の業績は売上高2,267百万円(前年同期比+63%)、営業利益231百万円(同▲11%)、当期純利益131百万円(同▲2.2%)と増収減益。売上高は、スマートホームサービスの売却予定物件の一部後ろ倒しにより上期業績予想を下回ったものの、通期の業績予想に対しては着実に進捗。新型コロナウィルスの影響により、一時的な活動自粛及びニーズ、商談停滞により不動産仲介サービスの営業利益が落ち込んだものの、足許のニーズは回復基調にあり、通期では不動産事業も前年同期比増収増益となる計画。