3655 ブレインパッドの業績について考察してみた

3655 ブレインパッドの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q3 2023.03 2,480 133 5.36%
FY2023.Q4 2023.06 2,586 119 4.6%
FY2024.Q1 2023.09 2,533 282 11.13%
FY2024.Q2 2023.12 2,611 334 12.79%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q3 2017.03 943 75 7.95%
FY2017.Q4 2017.06 991 30 3.03%
FY2018.Q1 2017.09 923 51 5.53%
FY2018.Q2 2017.12 1,048 160 15.27%
FY2018.Q3 2018.03 1,138 207 18.19%
FY2018.Q4 2018.06 1,222 166 13.58%
FY2019.Q1 2018.09 1,167 207 17.74%
FY2019.Q2 2018.12 1,342 278 20.72%
FY2019.Q3 2019.03 1,533 406 26.48%
FY2019.Q4 2019.06 1,634 293 17.93%
FY2020.Q1 2019.09 1,551 313 20.18%
FY2020.Q2 2019.12 1,639 312 19.04%
FY2020.Q3 2020.03 1,649 255 15.46%
FY2020.Q4 2020.06 1,782 181 10.16%
FY2021.Q1 2020.09 1,579 111 7.03%
FY2021.Q2 2020.12 1,624 145 8.93%
FY2021.Q3 2021.03 1,895 317 16.73%
FY2021.Q4 2021.06 2,003 278 13.88%
FY2022.Q1 2021.09 2,023 330 16.31%
FY2022.Q2 2021.12 2,266 344 15.18%
FY2022.Q3 2022.03 2,203 398 18.07%
FY2022.Q4 2022.06 2,069 72 3.48%
FY2023.Q1 2022.09 2,269 191 8.42%
FY2023.Q2 2022.12 2,462 237 9.63%
FY2023.Q3 2023.03 2,480 133 5.36%
FY2023.Q4 2023.06 2,586 119 4.6%
FY2024.Q1 2023.09 2,533 282 11.13%
FY2024.Q2 2023.12 2,611 334 12.79%

沿革

2004年3月に株式会社ブレインパッドとして、代表取締役社長である草野隆史(戸籍名:高橋隆史)氏と、代表取締役会長である佐藤清之輔氏が共同で東京都品川区に創業。同年7月には同社のコア事業であるデータマイニング業務の受託サービスをスタートさせ、運用型広告の最適化などを実現するデジタルマーケティングツールも提供を開始。2011年9月東証マザーズへ上場、2013年7月東証一部へ変更。2020年9月株式会社電通グループとの合弁会社株式会社電通クロスブレイン設立。社内の様々なデータを活用し、経営課題を解決するためのコンサルティングやDMPツールなどをワンストップで提供、データマネジメントで大手企業を中心に豊富な実績を有す。

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は会長の佐藤清之輔氏で保有比率は9.7%。次いで社長の草野隆史氏の資産管理会社株式会社ディシプリンが9.1%、同氏個人で3.1%と併せて12.2%を保有。2020年11月に資本提携を発表した伊藤忠商事が3.0%を保有する他、信託銀行等の信託口が並ぶ。

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外取締役は2名)、監査役は3名(社外2名、1名は常勤)、監査役会設置会社である。代表権を保有する草野氏および佐藤氏のほか、社内取締役の安田誠氏は2004年の創業当時より営業部門の責任者を務める。また、中央大学理工学部教授で統計数理研究所長などを務めた樋口知之氏が顧問を担っている

代表取締役の経歴

代表取締役会長の佐藤清之輔氏は1957年8月生まれ。大学卒業後1980年4月日本電気株式会社へ入社、1990年4月日本AT&T株式会社を経て、1991年4月株式会社TCSI、1997年10月アルゴレックス株式会社、2001年1月株式会社マーケットスイッチ・ジャパンの計3社を設立し代表取締役を務めた後に、2004年3月当社を設立し、2006年9月から取締役、2015年7月から代表取締役社長、2019年7月から現職を務める。
代表取締役社長の草野隆史氏は1972年9月生まれ。1997年3月に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程を修了し、サン・マイクロシステムズ(現日本オラクル)などで勤務のうえ、2000年5月に株式会社フリービット・ドットコム(現フリービット株式会社)を設立し取締役へ就任。その後、2004年3月に会長の佐藤清之輔氏ら5名と同社を創業して以来、現職を務める。

報告セグメント

同社のセグメントは「プロフェッショナルサービス事業」と「プロダクト事業」の2報告セグメントに大別され、2021年6月期第2四半期(7月~12月)の売上高3,203百万円の構成比はプロフェッショナルサービス事業65.2%、プロダクト事業34.8%である。セグメント別の営業利益率は両事業とも約30%で全社費用は調整額に計上される。従前の「アナリティクス事業」、「ソリューション事業」、「マーケティングプラットフォーム事業」の3報告セグメントから、経営管理を一層強化することを目的に2021年6月期より変更。

事業モデル

企業の保有データを収益源泉に変えるためのサービスを幅広い顧客へ業種の偏りなく提供し、各界のリーディングカンパニーと豊富な取引実績を持つ。プロフェッショナルサービス事業は、データ分析、コンサルティング、人的サポートなどを通じて、顧客企業のデータ活用を支援する事業。分析や戦略提案のソフト面だけでなく、データを実際に活用するためのシステム環境の構築支援を含む。経営課題に合わせたプロジェクト単位で受注し、人数は数名~10名まで、期間は数か月~数年と様々。コストの約半分は人件費で、システム開発は外注を活用。毎年数十名の新卒を育成し、データサイエンティスト組織を形成
プロダクト事業は、自社製や他社製のアプリケーションなどの提供を通じて、顧客企業のデータ活用を支援する事業である。月額課金のライセンス収入が収益源のストック型ビジネス。同事業売上の約65%を占める主力製品の「Rtoaster」は、顧客や商品などのデータを管理するDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)で、様々なマーケティング媒体や社内データと連携し、導入企業のサイト・アプリのCX改善まで自動で実行可能な、350社以上へ14年間の導入実績を有する製品。ベンダーフリーという立場から柔軟に自社及び他社のプロダクトを投入することで、様々な顧客のニーズに対応可能。

競合他社

プロダクト事業では、顧客のシステム環境の構築サービスを提供する6702富士通(2020年3月期売上高38,577億円)や6501日立製作所(2020年3月期売上高87,672億円)など大手企業のほか、4768大塚商会(2020年12月期売上高8,363億円)など独立系、その他システムインテグレータなど、競合先は多い。
一方、データ分析などコンサルティングサービスを提供する競合先は多くないと見られ、3636三菱総合研究所(2020年9月期売上高92,020百万円)や9757船井総合研究所(2020年12月期売上高25,027百万円)などが競合先と考えられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社1社、持分法適用会社1社、非連結子会社1社から構成される。連結子会社は自然言語処理に関するアプリケーションを開発・提供する会社である。また、持分法適用会社は4324電通グループとの合弁会社である電通クロスブレインである

強み・弱み

データ分析分野におけるパイオニア企業としてのノウハウ蓄積によるサービス品質の高さが強み。データ分析に携わる人員はアナリティクス事業で143名、新卒採用強化により、データサイエンティストや機械学習エンジニア10数名を2020年6月期に採用し、国内随一を誇る人員体制を有す。また業種を問わず、1,000社を超える取引実績を有す。一方で、人材獲得の競争が激化しており、優秀な人材を確保・育成し今後も成長を継続できるかは懸念点として挙げられる。

KPI

プロフェッショナルサービス事業は従業員数、データサイエンティストの人数、プロダクト事業は取引社数が参考となる。2020年6月期の実績は下記。
「従業員数」は369名 (データサイエンティストは130名超)
「取引社数」は364社 (単体ベース)

2021年6月期 第2四半期決算説明会資料
2020年6月期 決算説明会資料

業績

2016年6月期から2020年6月期の5期間で、売上高は2.2倍、経常利益は4.6倍と急成長。2020年6月期は従業員の拡充や給与体系見直しなどによる先行投資費用の増加を主因に前期比では減益で、2021年6月期においても採用強化を継続している。受注金額の停滞は底打ちし増収するも採用費用増加により減益との会社計画。営業CFは恒常的にプラスで、その半分程度の金額が投資CFとして拠出されている。自己資本比率は利益剰余金の蓄積により高まっており2021年6月期第2四半期時点で85.0%である。

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