4056 ニューラルポケットの業績について考察してみた

4056 ニューラルポケットの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

ニューラルポケットの事業概要

同社はAIカメラを用いてリアル空間(街中など)のデジタル化されていない情報を画像や映像の解析により可視化するサービスを提供する企業。2020年12月期第3四半期時点で従業員数35人(前期末比10人増)、創業後3年ながら黒字化済で、売上高511百万円、営業利益96百万円
・沿革
同社は2018年1月に現代表の重松氏がファッションポケット株式会社として設立。アパレル企業向けのファッショントレンド解析サービスから提供を開始。2019年3月にニューラルポケット株式会社に社名変更。2020年4月にシンガポール支店を登記済。同8月に東京証券取引所マザーズへ上場
・株主構成
同社代表の重松氏及びその資産管理会社が、上場後も発行済株式数の7割強を保有している。残りは同社役員や個人、東大系UTECや都銀系のVCを中心に構成されている。
・取締役会構成
同社の取締役は6名(社内4名、独立役員の社外2名。)、監査役3名 (独立役員の社外3名)であり、監査役会設置会社である。
・代表取締役の経歴
代表取締役社長の重松路威は1980年生まれ、東京大学工学部を卒業し、東京大学大学院を修了。マッキンゼーの東京支社、独支社、米支社を経て2016年にパートナー就任。18年同社を創業。同氏の他、COO周氏、CFO種氏もマッキンゼー出身である。
・報告セグメントと事業の構成、ビジネスモデル
AIエンジニアリング事業の単一セグメント。本事業は同社HPによると下記通りであり、2020年12月期第3四半期の時点で人流・防犯、駐車場・モビリティ、3D都市マップ、サイネージ広告、在宅勤務支援、ファッション解析、の6つのサービスを展開。今後数年間は事業創出よりも既存サービス自体の拡充と導入拡大に注力する方針である。

『画像や動画における物体検知、種別分類、空間認識や人体・動態解析、表情・閲覧解析などの多様なAI技術を独自に開発・保有している。
同時に、AI解析により得られたビッグデータを、専用のデータアナリティクスプログラムで解析し、空間情報や人の属性情報を定量化・可視化することで、新規サービス構築や付加価値づくりに活用するサービスを提供している。』 同社HP SERVICESより引用


・競合他社
6つのサービスの中では、明確な競合先があるのは6サービスの複合案件となるスマートシティ(街づくり)案件のみ。日本の大手SIerや中国のセンスタイム社、メグビー社などが競合。大手SIerは案件によっては技術提携先となることもある。

ニューラルポケットのAIエンジニアリング事業

・事業モデル
同社によると、今後の成長の柱は、大型の街づくり案件、導入の進むサイネージの2つ。特にサイネージは、導入台数が一定をえると契約が増えて同社売上が増加する仕組みのターニングポイントに達しつつある。在宅勤務支援や駐車場・モビリティでアップサイドを見込み、三菱地所での導入などリリースも相次ぐ。創業当初から手掛けるファッション解析では、SNSの画像を解析しアパレルメーカーのMD(商品企画)に生かす。同商品を扱うアパレル店舗数はすでに3000以上ある。

2020年12月期第2四半期時点の販売相手先は上位3社で83.7%を占め、ソフトバンク株式会社189百万円(57.8%)、株式会社クリューシステム49.8百万円(15.2%)、株式会社イグアス34.8百万円(10.7%)。3社への販売額はいずれも第1四半期実績からほぼ倍増しており、リカーリング方式を用いており、定額ではないものの契約継続により安定した収益が見込める仕組みである。同社サービスはエッジAIを用いており、導入先企業のサービスに乗せてその取引拡大とともに同社売上が伸びる、レベュニューシェアを基本としている。

販売は、自社での営業人員は抑えて販売代理店を活用しており、今後も拡大していく方針。独占的な販売権を与える先はない。代理店はサイネージ案件においては顧客の端末購入などでも機能する。

・強みや弱み
特許を累計7件、申請中10件保有しており、各デバイス上にデータ解析できるエッジAIの機能を持たせ、かつ通信によりデータ収集するエッジAIの技術を持つ。
大手アパレルメーカーを中心に販売実績があり、解約は過去に業績悪化した1社である。エッジAIが安定稼働している実績と、データの蓄積、導入先での粗利率改善への貢献という実績は強みである。
同社には、様々なバックグラウンドを持つ専門性の高い執行役員が集まってきた。それにより、技術の専門性の高まりや技術の事業化に対応して来たことも強みである。

・事業の盛衰
AI技術はグローバルに、ロジックやアルゴリズムの開発といった段階から、サービスとしてどのように活用し安定稼働させていくかという段階へシフトしている。AI技術を用いたサービスによる便益を訴求でき、安定稼働させられる事業は、産業界での活用の拡大期を迎えると考えられる。

・KPI
現在、様々なサービスの本格的な導入拡大前であり、事業別のKPIは今後開示していく同社方針。現在は売上高、営業利益、営業利益率の安定性をKPIとしている

・懸念点
AIビジネスは未成熟の市場であり、今後大手企業が新規参入する可能性もある。新規市場の開拓時は、特にデータドリブンの事業の場合には、シェアをいち早く獲得したものの優位性が高くなる点に注意が必要である。