3939 カナミックネットワークの業績について考察してみた

3939 カナミックネットワークの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2000年10月株式会社カナミックネットワークとして東京都 に設立。2001年2月ケア情報システムのサービス、2002年11月は在宅ケア活動管理システム、2006年4月地域包括支援センター向けシステムのサービスを随時提供開始。2010年11月に医療・介護情報共有プラットフォームのサービスも開始。2016年9月東証マザーズへ上場、2018年7月東証一部へ変更。医療・介護の現場で活用される、地域包括ケアをクラウドで支えるICTプラットフ ォーム及び、子育て関連のサービスで利用されるシステムを提供

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、取締役会長の山本稔氏が代表取締役を務める株式会社SHO が28.42%、代表取締役社長の山本拓真氏が13.8%、株式会社日本カストディ銀行(信託口)が6.5%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が5.78%、JPMBL RE NOMURA INTERNATIONAL PLC 1 COLL EQUITY(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)が5.19%、以下は5%未満の保有率で国内信託銀行の信託口や、山本洋子氏(同社代表取締役副会長)、山本稔氏(同社取締役会長)などが続く。なお、野村アセットマネジメント株式会社、三井住友DCアセットマネジメント株式会社、JPモルガンアセットマネジメント株式会社などの保有も確認される。また、クレディ・スイス証券株式会社に対して2021年8月4日、新株予約権付社債を発行。新株予約権1個あたり93円(総額4,464,000 円)当初転換価額830.3円となっている。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役 は様々な経歴を有す人材で構成されており偏った傾向はない。社外取締役3名については、垣添忠生氏は国立がんセンター総長の他テルモ株式会社、日本テレビ放送網株式会社の社外取締役を歴任。福川伸次氏は通産省事務次官や日本産業パートナーズ株式会社取締役会長、ジェットスター・ジャパン株式会社会長などを歴任。二川一男氏は内閣官房社会保障改革室政策参与、東レ株式会社取締役などを歴任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役副会長の山本洋子氏は1950年5月生まれ。1992年6月株式会社希望社に入社。2002年10月同社に入社し、取締役副社長に就任。2014年9月より現職。
代表取締役社長の山本拓真氏は1978年2月生まれ。2000年に東海大学工学部通信工学科卒業後、株式会社富士通システムソリューションズ(現富士通株式会社)へ入社。2005年5月に同社へ入社と同時に取締役に就任し、2014年9月より現職。

報告セグメント

医療・介護分野における情報共有プラットフォームを展開す る単一セグメント。2021年第2 四半期のサービス別の実績金額の構成比は、カナミッククラウドサービスが893百万円(2020年同期比10.6%増加)で85.6% 、プラットフォームサービスが95百万円(2020年同期比191.4%増加)で9.1%、その他サービスが55百万円(2020年同期比19.8%減少)で5.3%を占めた。

事業モデ ル

カナミッククラウドサービスは、病院や介護施設などの医師や看護師、ケアマネージャーや介護サービス従事者、自治体の職員などに有料でサービスを提供し、サービス受給者や家族へは招待制で無料サービスを提供することでそれら関係者を繋ぐ情報共有システムを提供、その月額利用料が主たる収益源。超高齢社会の到来に伴い推進される「地域包括ケアシステム」において多職種他法人の連携を実現する情報連携基盤である。20201年9月期第2四半期時点で、有料ユーザーID数は82,834、導入事業数は30,536、サービス 導入地域数は1,191となっている。また、東京都全域で「東京都多職種ポータルサイト」を受注している。介護事業者向けには介護業務システムも提供する。
電子機器を介して居宅介護支援や介護サービス管理、請求管理などがクラウド上でやりとり可能。子育て支援システムもあり、子育てで困ったことがあれば自治体に相談が可能。医療、介護の専門職に特化したインターネット広告配信サービスも行う。
プラットフォームサービスは、同社サービス上に従事者に役立つ医薬品・衛生用品・福祉用具メーカー等の広告配信等を行う他、ホームページ作成なども提供する。

2021年9月期 第2四半期決算および会社説明資料

同社決算会社説明資料では、厚労省、財務省、内閣府、総務省資料を基に同社が作成した資料により、日本の高齢化 率は、2018年は28.1%、2040年は36.1%と説明されている。それに付随して介護事業所は2040年に1,010,831箇所まで増加、在宅医療を行う医療機関は2040年に32,898箇所に増加する見込みとなっている。市場規模の拡大と共に、同社サービスも成長させていく会社方針である。

競合他社

介護業務システムでは複数の競合が存在し、例えば2175エス・エム・エスが幅広く介護事業者へのコンサルティングからシステム提供まで行う。地域包括ケアシステムの情報共有システムでは6501日立製作所や6752パナソニックのグループ会社パナソニックヘルスケア株式会社などの大手だけなく、非上場では株式会社アルムなども同様のソリューションを提供する。同社サービスは、無料サービスとして患者や介護サービス受給者やその家族などが参加できる点が特徴といえる。

連結の範囲

ソフトウェア開発力の強化、開発コスト削減などを目的とした康納美克(大連)科技有限公司海外子会社を1社有する。

強み・弱み

クラウドサービスを用いたストックビジネスを展開していることによる高い成長性と収益性が強みとして挙げられる。有料サービスで多職種他法人の連携を実現していることに加えて、無料サービスで患者や介護サービスの受給者とその家族も参加できるネットワークシステムを構築している点の独自性と利便性が成長性を支えているとみられる。一方で、主たる顧客が、医療制度や介護保険制度の影響を受ける事業体のため、数年ごとの医療・介護報酬改定時に同社業績へ与える影響が懸念される。また、国や都道府県の地域包括システムにおけるシステム投資関連の政策や予算などにも影響を受ける点はリスク。

KPI

2021年9月期第2四半期のKPI実績は下記。
・クラウドサービス導入地域数 1,191(2020年9月期末比 +2.8%)
・クラウドサービスユーザーID数(有料+無料) 135,250(同 +10%)
・クラウドサービスユーザーID数(有料) 82,834(同 +5%)
・クラウドサービス 導入事業所数 30,536(同 +5.46%)

2021年9月期 第2四半期決算および会社説明資料

業績

過去5年間で、売上高は約1.7倍、営業利益は約2.6倍へ右肩上がりに業容拡大。営業CFは毎年プラスを維持、営業利益の拡大と共にプラス幅は拡大し2020年9月期は634百万円、投資CFは100百万円台で恒常的にマイナス推移。利益剰余金の蓄積により自己資本比率は、5年前の50.5%から大幅に改善し足元で80%を上回る