3998 すららネットの業績について考察してみた

3998 すららネットの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 546 148 27.11%
FY2023.Q2 2023.06 497 35 7.04%
FY2023.Q3 2023.09 545 123 22.57%
FY2023.Q4 2023.12 557 81 14.54%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.12 200 27 13.5%
FY2018.Q1 2018.03 207 41 19.81%
FY2018.Q2 2018.06 229 47 20.52%
FY2018.Q3 2018.09 246 62 25.2%
FY2018.Q4 2018.12 253 52 20.55%
FY2019.Q1 2019.03 263 -92 -34.98%
FY2019.Q2 2019.06 278 34 12.23%
FY2019.Q3 2019.09 296 48 16.22%
FY2019.Q4 2019.12 304 74 24.34%
FY2020.Q1 2020.03 312 78 25%
FY2020.Q2 2020.06 365 107 29.32%
FY2020.Q3 2020.09 466 205 43.99%
FY2020.Q4 2020.12 506 150 29.64%
FY2021.Q1 2021.03 501 183 36.53%
FY2021.Q2 2021.06 424 76 17.92%
FY2021.Q3 2021.09 489 154 31.49%
FY2021.Q4 2021.12 538 108 20.07%
FY2022.Q1 2022.03 559 231 41.32%
FY2022.Q2 2022.06 503 70 13.92%
FY2022.Q3 2022.09 545 125 22.94%
FY2022.Q4 2022.12 540 49 9.07%
FY2023.Q1 2023.03 546 148 27.11%
FY2023.Q2 2023.06 497 35 7.04%
FY2023.Q3 2023.09 545 123 22.57%
FY2023.Q4 2023.12 557 81 14.54%

沿革

2005年12月、株式会社ベンチャー・リンク(現株式会社C&I Holdings)のグループ会社であった株式会社キャッチオンが、eラーニングの一種である対話型アニメーション教材「すらら」の企画・開発に着手。2008年5月に、株式会社キャッチオンを吸収合併した株式会社C&I Holdingsが「すらら」事業を継承。同年8月には、eラーニングの提供・運用支援、マーケティングプロモーション、ウェブサイト運営等を事業目的として「株式会社すららネット」が独立。2010年11月、株式会社C&I Holdingsから「すらら」を吸収分割契約で承継し、代表取締役社長の湯野川孝彦氏が全株式を譲受しMBO実施。2017年12月に東証マザーズ上場、現在は同グロース。教育工学(Educational Technology, EdTech)による教育サービスの提供、及びその運用コンサルティングを展開。

株主構成

四半期報告書によると、2022年6月末時点の筆頭株主は代表取締役社長の湯野川孝彦氏で19.92%保有。続いて、株式会社日本カストディ銀行信託口が6.54%、取締役の柿内美樹氏が6.08%保有。以下は5%未満の保有率で、国内外の金融機関、社員と見られる個人などが名を連ねる。2022年3月28日付のコーポレート・ガバナンスに関する報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は5名(社内2名、社外3名)、うち3名は監査等委員(全員社外)、監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役で企画開発グループ長の柿内美樹氏は、株式会社語学春秋社、株式会社水王舎、前述の株式会社キャッチオンならびに株式会社ベンチャー・リンクを経て、同社設立と同時に現職就任。社外取締役(全員監査等委員)には、弁護士、産業廃棄物業関係者、人材派遣業関係者が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の湯野川孝彦氏は1960年10月生まれ。大阪大学卒業後、1985年4に株式会社日本エル・シー・エー(現株式会社日本エル・シー・エーホールディングス)入社。その後、株式会社イデアリンク、株式会社リンク総研、株式会社ベンチャー・リンク、株式会社カーブスジャパン、株式会社キャッチオンを経て、2010年10月より現職

報告セグメント

「eラーニング関連事業」の単一セグメントであるが、顧客別に「学習塾」、「学校」、「BtoC」に分類される。2021年12月期の外部顧客への売上高1,952百万円の構成比は、学習塾37.8%、学校42.8%、BtoC18.7%、その他0.7%と学習塾と学校が2本柱

事業モデル

小中高等学校及びこれらに在籍する児童・生徒を対象とする学習塾等への、「すらら」、「すららドリル」、「ピタドリ」等のEdTech教材提供を事業とする。また、同社教材を活用した教育カリキュラムの提案、独立開業支援、無料勉強会などの各種経営支援サービス、他社とのコラボレーションによるコンテンツ提供なども展開。主要収益源は、学習塾1校舎につき課金される月額「サービス利用料」、ならびにシステムに登録した生徒のIDに対して課金される月額「ID利用料」である。
すららシリーズは国数理社英の5教科について、アニメキャラを用いるなどして学習意欲を刺激する工夫がなされている点が特長。また、AIが自動でつまずきを診断、低年次の授業内容へ遡及してその克服を図るプログラム等、個々の学力に合わせて細やかに指導。PCやタブレットで利用できるため帰国子女等にも適しており、教科数や契約期間等に応じて月額7,480~9,980円程度で個人向けにも提供する。
新型コロナウィルス感染拡大による2020年の全国的な臨時休校をきっかけに、オンライン学習への関心が高まり、EdTech市場の拡大が続いている。さらに、政府のGIGAスクール構想により多くの教育現場へ学習端末が導入されると見込まれる点も追い風。

2022年12月期第2四半期決算説明会資料 p.32

競合他社

学習塾ならびに学校への納入を主力とする点では全面的に競合する他社は見当たらないが、BtoCも視野に入れると「スマイルゼミ」で知られる4686(株)ジャストシステム(売上高41,676百万円)、9783(株)ベネッセホールディングス(売上高431,943百万円)などが競合し得る。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社1社で形成される。連結子会社のファンタムスティック株式会社は、2010年2月に設立された子ども向け知育アプリ・学習アプリの開発及び学習コンテンツ開発会社で、2022年1月にM&Aで子会社化。

強み・弱み

従来型教材の主流と異なり、無学年対応型の学力向上教材で低学力児童へも対応する点が特長。開拓途上にある小学校低学年向け学習教材を扱い、学校・塾での採用に強みを見せる点は同社独自であり競合回避の面で有利。一方、これらの市場に同業他社が本格的に参入した場合には競争激化が懸念される。

KPI

導入校数、ID数などが主要KPIとみられる。

2022年12月期第2四半期決算説明会資料 p.11

業績

2013年12月期~2021年12月期の8年間で、売上高を6倍へ経常利益を15倍へ拡大するなど急成長。同期は、売上高1,952百万円(前期比+18.4%)、営業利益521百万円(同▲3.6%)、経常利益552百万円(同+0.7%)と、売上を順調に伸ばしたものの利益面は鈍化。また2022年12月期第3四半期は、売上高1,607百万円(前年同期比+13.6%)、営業利益426百万円(同+3.1%)、経常利益453百万円(同+2.0%)となった。なお、前年同期は子会社を持たず非連結であったため、前年同期比は参考値。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2022年12月期第3四半期の自己資本比率は77.6%。

関連ありそうな記事