3653 モルフォの業績について考察してみた

3653 モルフォの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

画像処理技術に関する研究・開発を主な目的として、東京大学出身の技術者を中心に2004年5月に株式会社モルフォとして設立静止画手ブレ補正技術「PhotoSolid」パノラマ撮影技術「QuickPanorama」などの画像処理技術を手掛け、多くの携帯電話端末機器メーカーに技術を提供し成長した。2011年7月に東証マザーズへ上場。近年は、2017年のディープラーニング推論エンジン「SoftNeuro」製品化、2019年の国内子会社「株式会社モルフォAIソリューションズ」設立など、ディープラーニングやAI関連技術にも注力

株主構成

有価証券報告書によると2021年4月末時点の大株主は代表取締役社長の平賀督基氏が9.4%、株式会社デンソーが4.8%、松井証券株式会社が4.2%となっており、以下個人株主や証券会社などが並んでいる。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。代表取締役以外の役員は、住友重機械工業株式会社、株式会社マン・マシンインターフェイスの経歴を持ち、2007年の入社後、同社の海外法人要職を歴任してきた西山貴之氏と、9843ニトリや日立国際ビジネス、4755楽天を経て2017年より同社へ入社した福永寛康氏である。尚、社外取締役には東京大学産学連携本部等での豊富な経験とベンチャー企業の支援・育成の知見を有する各務茂夫氏が就任している。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の平賀督基氏は1974年11月生まれ。1997年に東京大学理学部卒業後、東京大学大学院へ進学。2002年に東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻(博士課程)修了。博士(理学)。在学中から画像処理技術の開発に携わり2004年5月に同社を設立、代表取締役社長に就任した。

報告セグメント

「ソフトウェア関連事業」の単一セグメント。2021年10月期第2四半期のビジネスモデル別売上高はロイヤリティが282百万円、開発収入が129百万円、その他が69百万円となっている。地域別売上構成比は期によるが日本が4割程度、中国が約3割、北米が2割弱で続き、残りは欧州、アジア、韓国など。ソフトウェア製品別には下図の通りPanoramaGPが最大で、HDR、PhotoSolidとTOP3製品で6割弱を占める。

2021年10月期 第2四半期 決算説明(資料)

事業モデル

スマートフォンをはじめとする、家電・通信機器向け画像処理ソフトウェアの研究開発が主要事業。国内外の各事業者に対し、同社グループのソフトウェア製品を提供してライセンス料を収受するロイヤリティ収入が売上の中心。
他にも、事業者に同社の画像処理エンジンを提供する際や、他社の研究・開発を請け負う際に発生する開発収入、同社製品利用者のサポートに伴うサポート収入などがあり、同社の売上を構成している。
従来同社が画像処理技術を提供したスマートデバイス、車載・モビリティ、インダストリアルIoT、スマートシティなどの分野では、画像処理とAI技術を組み合わせたニーズが高まっており、今後はこれらの戦略領域でAIビジネスを進展させる方針である。AI技術を活用した画像領域分割およびレタッチ技術を有し、2020年にはエッジAIの国際業界団体主催のVision Product of the Year Awards 2020で「ベストAIソフトウェア/アルゴリズム賞」を受賞している。子会社のモルフォAIソリューションズやTop Data Science(フィンランド、ディープラーニングソリューションに強みのあるデータサイエンス企業)におけるAIを活用したコンサル・サポートを提供している。
サービス別ではパノラマ画像技術「PanoramaGP」やダイナミックレンジ補正技術「HDR」などの画像処理ソフトウェアに加え、創業初期からの主力ソフトウェアである静止画手ブレ補正技術「PhotoSolid」が収益の柱となっている。

同社HP TOP>IR情報>業務の内容

競合他社

画像処理技術やAI 技術で競合する国内上場企業としては3993 PKSHA Technology (2020年9月期売上高7,393百万円)があげられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社6社、持分法適用会社1社から構成される。連結子会社は海外5社、国内1社。海外子会社はアメリカ・フィンランド・中国などで同社ソフトウェア関連事業を担う。国内子会社としては、同社のソフトウェア開発を手掛ける株式会社モルフォAIソリューションズがある。持分法適用会社は大阪のPUX株式会社で、同社グループのソフトウェア開発に携わる。

強み・弱み

東大発の研究開発企業として、優れた画像処理技術を擁する点が最大の強みであり、保有特許数は157件、累計ライセンス数は35億越えを誇る。スマートフォン世界Top10のうち7社へ技術提供し、OEMやODMなどの各社ニーズに応えている。子会社モルフォの技術で国立国会図書館のOCR処理(画像中の文字を文字データへ変換)プログラムの研究開発を受託するなどの実績もある。一方、同社が手掛ける新技術・新製品は、日進月歩の市場環境であり、常に他社との激しい競争にさらされている。

KPI

2021年10月期第2四半期の主要KPIは以下のとおり。
①ロイヤリティ収入282百万円(前期比+43百万円)
②ロイヤリティ比率59%(前期71%)
③開発収入129百万円(前期比+62百万円)
④その他収入69百万円(前期比+38百万円)

2021年10月期第2四半期決算説明(資料)

業績

2016年10月期から2020年10月期まで過去5期分の経営状況をみると、売上高は2019年10月期まで右肩上がりに推移していたが、2020年10月期は2,073百万円と前年比20.5%減となった。米中貿易摩擦等の影響により特定取引先からのロイヤリティ減少。経常利益も同様の傾向であり、2020年10月期は人材確保や研究開発などの先行費用の増加により、136百万円の経常損失を計上営業CFはプラスで推移していたが2020年10月期はマイナス。投資CFは恒常的にマイナス推移財務CFは年度によりばらつきがあるものの、近年は2019年10月期のマイナスを除けばおおむねプラスとなっている。2020年10月期の自己資本比率は94.6%であった。