9928 ミロク情報サービスの業績について考察してみた

9928 ミロク情報サービスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1977年11月、株式会社ミロク経理の会計事務所事業部が分離・独立するかたちで株式会社ミロク計算センターとして東京都に設立される。同月、株式会社ミロク情報サービスへと商号変更。税理士・公認会計士事務所向けの財務計算サービスを提供開始する。1981年、全国の計算センターを廃止し、財務専用オフコンの販売体制へと転換する。1997年8月に東証二部へ上場。1990年代から2010年頃までは中小企業や会計事務所向け基幹業務システムを中心に開発・販売をおこなってきた。2012年10月、東証一部へ市場変更する。その後2015年頃からクラウドサービスをはじめ総合的なソリューションサービスの提供へ事業内容をシフトしている。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は株式会社エヌケーホールディングスで、保有割合は33.3%。代表取締役会長の是枝伸彦氏と代表取締役社長の是枝周樹氏がともに取締役を務める企業である。続いて日本マスタートラスト信託銀行の信託口が5.8%を保有。ほか保有割合5%未満で国内外の銀行、信託銀行、代表取締役会長の是枝伸彦氏が名を連ねる。外国人保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は3名(社内常勤1名、社外2名)、監査役会設置会社である。取締役常務執行役員の岩間崇浩氏は1966年生まれ。東京大学を卒業後、1990年にエヌ・ティ・ティ・データ通信株式会社(現:9613NTTデータ)に入社。エンジニアとして勤務していた。金融庁への出向、監査法人を経て2015年に同社へ入社する。2018年、取締役へ就任。2019年より現職を務める。公認会計士と税理士の有資格者であり、最高技術責任者、製品開発・サポート本部長を兼任cする。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の是枝伸彦氏は1937年9月生まれ。中央大学を卒業後、東京オフィスマシンに入社。1965年、株式会社ミロク経理に入社する。1977年にミロク経理から会計事務所事業部を独立させ、他社との合弁で同社を設立し取締役に就任する。1980年、合弁を解消、株式会社ミロク経理から同社を買い取り、代表取締役社長に就任。2005年より現職を務める。
代表取締役社長の是枝周樹氏は1964年2月生まれ。代表取締役会長である是枝伸彦氏の長男である。高校を卒業後、プロのミュージシャンを目指し渡米した。23歳で帰国し、8275フォーバルでの営業に従事する。その後、株式会社ボイスメール(現:株式会社ニューフォリアクリエイツ)を経て1994年に同社取締役に就任。2005年、現職に就任した。

報告セグメント

MJSグループの経営ビジョンと新たな成長戦略

「ソフトウェア関連事業」の単一セグメント。取り扱う商品・サービスはハードウェア販売、ソフトウェア販売、ユースウェア、総合保守サービス、その他(広告収入など)の5種類に大別される。

事業モデル

ハードウェア、ソフトウェア、ユースウェア販売による「システム導入契約売上」と、総合保守サービス、その他からの「サービス収入」に分かれる。どちらも会計事務所と、その顧問先を中心とする中小企業がおもな販売対象である。会計事務所には会計・税務システムを提供し、その顧問先企業をはじめとする中堅・中小企業にはERPシステムを提供する。同社を取りまく業界環境は今後、競争が激化するとみられる。理由として会計事務所業界においては開業税理士の高齢化と大型法人の台頭が進む点、中堅・中小企業の減少が挙げられる。また中小企業ではデジタル化が遅れており、顧客獲得のチャンスとなる一方でクラウド会計ソフトを扱う企業とシェアの奪い合いが予想される。

競合他社

会計事務所向け財務会計ソフトの市場シェアは9746TKCが30%超でトップ。同社のシェアは約25%、ほか2017年に上場廃止となった株式会社日本デジタル研究所の3社で大半を占める。国内の会計事務所数は31,000所前後であり、そのうち約9,800所が9746TKCの商品を利用、約8,400所が同社の商品を利用している。

連結の範囲

連結子会社12社、持分法適用会社は2社。うち13社は国内、海外は韓国に1社展開している。主要な子会社はFinTech関連事業を営む株式会社MJS Finance & Technologyと、デジタルマーケティング支援・DX推進をおこなうトライベック株式会社である。

強み・弱み

中期経営計画Vision2025

中堅・中小企業に対するワンストップの総合ソリューション・ビジネスが強み。中小企業がDX推進において抱える課題をグループ連携によって包括的に対応できる。中小企業のDX進捗率は6.3%といわれる中、事業の成長段階に応じて総合的にソリューション提供できる企業は未だ少なく、他社との差別化が際立つ。一方で会計事務所の統廃合や中小企業の減少によるマーケットそのものの縮小、新規競合の増加が懸念される。クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの早急な転換による収益率の向上が課題

KPI

中小企業のDX化コンサルとしてグループ企業とのシナジー効果が見込まれており、連結売上高、営業利益はKPIといえる。またサブスク売上が計上される「サービス」分野の売上高もKPIとなりうる。以下すべて2022年3月期 第1四半期の数値である。
1. 売上高:8,747百万円(前年同期比 +10.3%)
2. 営業利益:939百万円(前年同期比 ▲5.3%)
3. サービス売上高:592百万円(前年同期比 +10.0%)

業績

売上高・利益ともに安定的に成長している。2021年3月期はWindows7サポート終了やコロナ禍による先行き不透明感の影響で減収減益となったものの、2017年3月期からの5期間で売上高は1.3倍、経常利益は1.1倍となった。一方で自己資本比率は2019年3月期の自社株買いにより67.9%から46.5%へと低下。営業CFは安定的にプラスで推移、投資CFは恒常的にマイナスである。