4449 ギフティの業績について考察してみた

4449 ギフティの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q3 2023.09 1,719 254 14.78%
FY2023.Q4 2023.12 1,923 4 0.21%
FY2024.Q1 2024.03 2,250 500 22.22%
FY2024.Q2 2024.06 2,210 428 19.37%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2019.Q3 2019.09 449 125 27.84%
FY2019.Q4 2019.12 444 106 23.87%
FY2020.Q1 2020.03 451 135 29.93%
FY2020.Q2 2020.06 368 51 13.86%
FY2020.Q3 2020.09 485 86 17.73%
FY2020.Q4 2020.12 1,778 834 46.91%
FY2021.Q1 2021.03 1,093 510 46.66%
FY2021.Q2 2021.06 755 -88 -11.66%
FY2021.Q3 2021.09 786 -91 -11.58%
FY2021.Q4 2021.12 1,091 -23 -2.11%
FY2022.Q1 2022.03 1,085 142 13.09%
FY2022.Q2 2022.06 1,204 124 10.3%
FY2022.Q3 2022.09 1,099 85 7.73%
FY2022.Q4 2022.12 1,335 11 0.82%
FY2023.Q1 2023.03 1,958 723 36.93%
FY2023.Q2 2023.06 1,626 286 17.59%
FY2023.Q3 2023.09 1,719 254 14.78%
FY2023.Q4 2023.12 1,923 4 0.21%
FY2024.Q1 2024.03 2,250 500 22.22%
FY2024.Q2 2024.06 2,210 428 19.37%

沿革

店舗で商品やサービスと交換することができるeギフト(電子チケット)サービスの提供を目的とし2010年8月に株式会社ギフティとして神奈川県にて創業。2011年3月には同社の主力であるカジュアルギフトサービス「giftee」の提供を開始。2012年から東京に本社を移転。2014年1月にeギフト発行システム「eGift System」、2016年4月に法人向けの「giftee for Business」、2016年10月に電子地域通貨サービス「Welcome! STAMP」の提供を開始、2021年3月に体験ギフトの販売をするソウ・エクスペリエンスを完全子会社化。2019年9月、東証マザーズへ上場。2020年12月、東証一部へ変更。2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。eギフト関連事業を主軸として急速に成長している

2022年12月期第2四半期決算説明資料

株主構成

2022年6月末時点の有価証券報告書によると、筆頭株主は代表取締役CEOの太田睦氏が15.29%。日本マスタートラスト信託銀行の信託口が13.96%、日本カストディ銀行の信託口が7.84%、株式会社メディカルノート代表の梅田裕真氏が6.07%、同社代表取締役COOの鈴木達哉氏が5.38%、NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE IEDU UCITS CLIENTS NON TREATY ACCOUNT 15.315 PCTが5.29%で続き、以降は保有割合5%未満で同社取締役の柳瀬氏および藤田氏、資本業務提携する株式会社ジェーシービーなどが並ぶ。大量保有報告書では、みずほ証券の持分が10.02%、アジア専門投資ファームで高成長割安投資で著名なクープランド・カーティフ・AM の持分が9.37%、野村證券の持分が6.21%、フィデリティ投信の持分が9.84%であると報告されている。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。CEOとCOOの他2名の社内取締役は、アクセンチュア出身者のCTO柳瀬文孝氏、野村證券、8591オリックスでの経歴を有すCFO藤田良和氏。社外取締役の中島真氏もCEOの太田氏とアクセンチュア在任期間が被っていたとみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役CEOの太田睦氏は1984年12月生まれ。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、アクセンチュア株式会社に入社。官公庁向けの大規模システム開発を経験。その後2010年8月に同社を設立し、現職である代表取締役CEOに就任した。2021年3月よりソウ・エクスペリエンス株式会社の社外取締役も務める。
代表取締役COOの鈴木達哉氏は1985年7月生まれ。一橋大学経済学部卒業後、株式会社インスパイアに入社。新規事業・ベンチャー支援などを経験。2012年の同社取締役就任を経て、2020年3月に現職である同社代表取締役COOに就任。2021年3月よりソウ・エクスペリエンス株式会社の社外取締役も務める。

報告セグメント

「eギフトプラットフォーム事業」の単一セグメントであるが、売上・販売実績などは主要サービスを中心に「giftee」「giftee for Business」「eGift System」「地域通貨」「SOW」の5つに細分化される。2022年12月期第3四半期までのサービス毎の構成比は下図の通りで、「giftee for Business」が高い割合を占める。

2022年12月期第3四半期決算説明資料

事業モデル

社名であるeギフトサービス「giftee」は、同社設立のきっかけでもあるカジュアルギフトサービス。個人利用者がインターネットを通じて少額の商品やサービスをクレジットカードやキャリア決済等により購入、メールやSNSを通じてプレゼントすることができ、住所を知らない相手にも送ることができる贈り主によってeギフトが購入された時に当該eギフトの発行企業から販売手数料を受け取るビジネスモデル
「giftee for Business」は「giftee」の法人向けサービスで、顧客である法人が自社のキャンペーンなどで利用者にギフトや特典を付与する際に利用できる。同サービスではメールやSNSで利用者にサービスを提供できるためコストの削減につながる。主要4サービスの中で最も売上構成比が高い同社の主力事業となっている。
「eGift System」は、飲食・小売店などが自社でeギフトを流通・管理することができるサービス。自社ホームページや「giftee」を通じてeギフトを販売できる他、店舗で利用できる電子クーポンとして活用することもできる。
「Welcome! STAMP」は地域通貨関連事業を担う成長著しいサービス。特定の地域のみで使える通貨や商品券を、スマートフォンなどを利用して流通させることができる。自治体や地方銀行などが主な顧客であり、「Go To トラベル」事業でも活用された実績を持つ。
メインターゲットとするカジュアルギフトの市場規模は約6兆円とも言われており、同市場のデジタル化において、同社が中心的役割を果たしていくことが見込まれる。また、新たに子会社化したソウ・エクスペリエンス株式会社が得意とする体験型ギフトの利益貢献も、今後の課題になるとみられる。

2021年12月期有価証券報告書

競合他社

キャッシュレスで金券を贈れるデジタルギフトサービスを展開する3691デジタルプラス(2022年9月期売上高303百万円)などが競合にあたると考えられる。

連結の範囲

ソウ・エクスペリエンス株式会社とマレーシア、ベトナムに拠点を持つ海外子会社の計3社が連結子会社に該当する。ソウ・エクスペリエンス株式会社は体験型ギフトの販売を手掛ける。マレーシア、ベトナムの海外子会社はeギフトプラットフォーム事業を展開する。

強み・弱み

eギフト個人利用者数191万人、流通額246億円以上など、eギフトのプラットフォーマ―として確固たる地位を築いている点が最大の強み。インターネットを利用する事業の性質上、システム障害のリスクを内包し、仮にシステム障害が発生した場合には、サービスの提供停止の恐れや社会的評価が低下する可能性がある。

KPI

2022年12月期第3四半期の主要KPIは以下のとおり。
①流通額24,681百万円(前年同期比+80.3%)
②gifteeサービス会員数191万人(前年同期比+7.3%)
③giftee for Businessサービス eギフト利用企業(DP)数773社(前年同期比+29.9%)
④eGift Systemサービス eギフト発行企業(CP)数264社(前年同期比+50.0%)

業績

2017年12月期から2021年12月期まで過去5期分の同社単体の経営状況をみると、売上高は大きく増加し556百万円から3,725百万円へ約6.7倍となっている。2021年12月期はGo To トラベルキャンペーンにかかる売上が減少したものの、同期に連結子会社化したソウ・エクスペリエンス株式会社の売上寄与により前期比+20.8%の増収となった。営業利益も大きく伸び、2020年12月期は1,106百万円と前期比+105.5%だったが、子会社取得に伴うのれん償却費や事業拡大に伴う人件費増加などにより2021年12月期は前期比▲72.2%の減益となった。フリーCFは先述の子会社取得により2021年12月期は大きくマイナスとなった。2021年12月期末の自己資本比率は40.2%で前期末の70.0%から低下。子会社取得資金を有利子負債で調達したためと考えられる

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