7353 KIYOラーニングの業績について分析してみた

7353 KIYOラーニングの業績について分析してみた

PERAGARU管理人

KIYOラーニングの事業概要

同社は個人向け資格取得事業(以下、スタディング事業という)としてオンライン資格対策講座「STUDYing(スタディング)」を個人向けに提供し、また、法人向け教育事業として、社員教育クラウドサービス「AirCourse(エアコース)」を展開している。

沿革

創業者であり代表取締役社長である綾部貴淑が、個人事業として2008年10月に通勤講座を港区六本木で運営開始し、中小企業診断士 通勤講座(現:スタディング 中小企業診断士講座)を開講した。その後、2010年1月にKIYOラーニング株式会社として法人化した後は次々に新規講座の展開を拡大し、2020年7月15日に東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たしている。

株主構成

綾部氏が株式過半数(51.11%)を保有し、その他の主要株主はMS-Japan(8.02%)、みらい創造一号投資事業有限責任組合(8.02%)、イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合(5.42%)などが挙げられる。

取締役会構成

取締役は4名(うち社外取締役1名)、常勤監査役1名及び非常勤監査役2名(すべて社外監査役)であり、監査役会設置会社である。取締役は事業会社、証券会社出身者等で構成されている。

代表取締役の経歴

綾部氏は1971年11月8日生まれ、東京工業大学情報科学科を卒業し、日本オラクル、アイエイエフコンサルティングを経て2010年1月に同社を設立した。

報告セグメントと事業の構成、ビジネスモデル

e-learning・教育事業の単一セグメントである。ITを用いて個人や企業での学習を効率化するクラウドサービスを展開しており、主に個人向けのオンライン資格講座である「スタディング」事業、及び法人向けの社員教育クラウドサービスである「エアコース」事業を提供している。
主要サービスである「スタディング」は、「学びやすく、わかりやすく、続けやすい」をコンセプトとしたオンライン資格講座である。また、法人向けに展開している「エアコース」は、各種の社員教育コースが受け放題で受講でき、自社独自の教育コースも簡単に作成・配信できる社員教育クラウドサービスである。

競合他社

「エアコース」と競合するサービスは、J-Stream Equipmedia、MediaPack、VIDEO CLOUD、millviポータル、Vimeo、millviの6つである。

連結の範囲

連結対象はなく、連結財務諸表を作成していない。

事業モデル

同社の主軸サービスであるスタディングでは、従来は主に社会人向けの国家資格・公的資格を中心にラインナップを展開していたものを大胆に転換させ、TOEIC®講座による語学分野や、公務員対策講座による学生向け就職対策講座にも対応を始めている。
今後も「人生100年時代」に向け、生涯にわたるキャリア開発のためのサービスの強化とブランドの確立を図ることとしている。
さらに同社では、過去の受講者の学習履歴データや問題・模擬試験等の得点データを分析し、AIを用いることで、個別に最適な学習プランやアドバイスを提供することに注力している。「AI学習プラン」は、AIを活用して、個人別に最適化された学習計画を作成する機能であり、「どう勉強したらどれくらい試験の得点が向上するか」を予測する。
「AIマスター」は、スタディングの受講者の学習モチベーションを高めたり、学習効率を高めるアドバイスを提供する機能で、受講者が次のレッスンに進むたびに、復習を促すなど学習アドバイスを提供する。

強みや弱み

同社の強みは、これまで10年以上にわたって蓄積してきた、人や組織の「学習」を変革する「ラーニング・テクノロジー」を基盤とした組織能力と、そこから生み出される資産である。これらの強みを、主に個人向けの「スタディング」事業、法人向けの「エアコース」事業に活用することで、持続的な競争優位性を生み出している。 また、資金繰りが非常に良いビジネスモデルであることも強みである。上場時のB/Sを見ると、資産の部のうち「現金及び預金」の項目が66%を占めているとわかる。また、前受金が負債の部の64%を占めていることから、サービスの提供よりも資金の受領が早いビジネスモデルであることが読み取れるだろう。一方、中長期の経営戦略を考えた場合に、同社の主力である個人向け資格支援事業における、資格市場の縮小や季節要因等のリスクが懸念される。

事業の盛衰

国内における教育事業全体の市場規模は、2019年度には2兆6,968億円(前年比+0.6%)と拡大しており、少子高齢化が進む我が国においても引き続き教育産業は堅調に推移する傾向が予想されている。
こうした環境下で、同社はインターネットを通じて各種サービスを展開しており、今後もインターネット利用環境が引き続き整備されていくことで、同社の属する市場が拡大することを睨んで事業を展開している。 事実、同社の売上高をみると、2019年12月期の197,297千円に対して2020年12月期予測は359,511千円と、大きく拡大の見込みである。

KPI

同社では、事業運営上重視する経営指標として、会員による受講料支払い総額新規有料登録会員数をKPIとして設定している。

懸念点

2015年12月期以降は毎年赤字であるが、2020年のマザーズ上場前後でさらに広告宣伝費が嵩んでおり、黒字化の時期については不安が残る。
・業績の進捗
2020年12月期第3四半期累計(1-9月)の経常損益(非連結)は1.1億円の黒字となった。併せて、通期の同損益を従来予想の1.2億円の黒字から1.4億円の黒字へと、17.6%上方修正した。
また、3Qにおける累計売上高は10億円、対通期進捗率は72%であり、3Q累計最終利益は9,400万円、対通期進捗率は76%と、同社の業績は概ね順調に推移している。