2154 夢真ビーネックスグループの業績について考察してみた

2154 夢真ビーネックスグループの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q4 2022.06 37,877 433 1.14%
FY2023.Q1 2022.09 38,993 3,337 8.56%
FY2023.Q2 2022.12 41,350 4,305 10.41%
FY2023.Q3 2023.03 39,578 3,644 9.21%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q3 2017.03 10,691 861 8.05%
FY2017.Q4 2017.06 11,873 1,053 8.87%
FY2018.Q1 2017.09 11,977 968 8.08%
FY2018.Q2 2017.12 17,699 1,242 7.02%
FY2018.Q3 2018.03 17,790 958 5.39%
FY2018.Q4 2018.06 17,897 1,129 6.31%
FY2019.Q1 2018.09 18,717 1,062 5.67%
FY2019.Q2 2018.12 21,529 2,025 9.41%
FY2019.Q3 2019.03 21,201 1,342 6.33%
FY2019.Q4 2019.06 20,149 1,290 6.4%
FY2020.Q1 2019.09 20,366 1,278 6.28%
FY2020.Q2 2019.12 20,523 1,463 7.13%
FY2020.Q3 2020.03 21,716 1,442 6.64%
FY2020.Q4 2020.06 19,150 483 2.52%
FY2021.Q1 2020.09 17,743 856 4.82%
FY2021.Q2 2020.12 19,820 1,444 7.29%
FY2021.Q3 2021.03 21,890 1,109 5.07%
FY2021.Q4 2021.06 35,657 -53 -0.15%
FY2022.Q1 2021.09 44,600 1,024 2.3%
FY2022.Q2 2021.12 37,915 2,101 5.54%
FY2022.Q3 2022.03 36,228 1,759 4.86%
FY2022.Q4 2022.06 37,877 433 1.14%
FY2023.Q1 2022.09 38,993 3,337 8.56%
FY2023.Q2 2022.12 41,350 4,305 10.41%
FY2023.Q3 2023.03 39,578 3,644 9.21%

沿革

2021年4月、技術系労働者派遣を事業とする株式会社ビーネックスグループ(1997年8月設立)が、同業の株式会社夢真ホールディングス(1990年10月設立)を吸収合併、商号を株式会社夢真ビーネックスグループとする。合併時は東証一部で現在は同プライム。2022年4月、茨城県を地盤に研究機関向け派遣業を営む株式会社日本アクシスを連結子会社化。開発現場、建設現場、製造現場を中心に、技術系労働者の派遣を事業とする。

株主構成

有価証券報告書によると、2022年6月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口で10.1%保有。続いて、セガ・エンタープライゼス社長、パソナ会長などを歴任した中山隼雄氏が9.5%、同氏の資産管理会社である株式会社アミューズキャピタルが9.3%、株式会社日本カストディ銀行信託口が7.3%、株式会社夢真ホールディングス創業者である佐藤真吾氏(2020年1月逝去)の相続人代表佐藤淑子氏が6.6%、代表取締役社長の佐藤大央氏の資産管理会社とみられる有限会社志が6.5%保有。以下は5%未満の保有率で、佐藤氏個人名義(3.0%)、国内外の金融機関などが連なる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は10名(社内5名、社外5名)、監査役は4名(社内1名は常勤、社外3名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役3名のうちプロパーは1名で、株式会社夢真ホールディングス取締役から同社取締役へ移行。他2名は、日本電気株式会社出身者ならびに株式会社富士銀行(現株式会社みずほ銀行)出身者で、いずれも株式会社ビーネックスグループ時代に入社。社外取締役には、大学教授、有識者、起業家らが就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長兼CEOの西田穣氏は1963年3月生まれ。大阪経済大学卒業後、1987年4月に株式会社リクルート入社。2014年4月に株式会社トラスト・テック(現同社)顧問就任、同年9月より代表取締役社長。2021年4月、合併により現職に就任
代表取締役社長兼COOの佐藤大央氏は1983年11月生まれ。慶應義塾大学卒業後、2006年4月に野村不動産株式会社入社。2010年4月に株式会社夢真入社、2019年6月には代表取締役社長就任。同年10月、持株会社への移行に伴い株式会社夢真ホールディングス代表取締役社長。2021年4月の合併により現職就任

報告セグメント

「機電・IT領域」、「建設領域」、「製造領域」、「海外領域」の4セグメントで構成される。2022年6月期の外部顧客への売上収益148,573百万円の構成比は、機電・IT領域47.6%、建設領域24.9%、製造領域6.5%、海外領域20.2%、その他0.8%であった。その他は、障がい者雇用促進事業及びオンラインプログラム学習サービス事業等、報告セグメントに含まれない事業セグメント。また、同期の調整前セグメント利益12,271百万円の内訳は、機電・IT領域7,118百万円、建設領域5,327百万円、製造領域561百万円、海外領域▲417百万円、その他▲317百万円となった。調整額は▲2,168百万円。売上収益、セグメント利益の両面で機電・IT領域が主力で、これに次ぐ建設領域と合わせると売上収益の7割以上、赤字セグメントを除外した利益の95%以上を占める。地域別売上収益は、日本国内79.8%、英国20.2%、その他0.03%と、国内市場が主力

事業モデル

同社と雇用契約を結んだ登録労働者を、顧客となる派遣先事業所の要望に応じて派遣。派遣先事業所による指示・命令ならびに派遣された労働者による労働力提供は、派遣先勤務地(事業所、建設現場など)において直接行われる。一方、登録労働者に対する賃金は派遣元である同社から支払われる。派遣先事業所から得られる契約料と派遣労働者への給与との差額が主な収益源となる。
同社が得意とする派遣先業界は、旧ビーネックスグループから引き継いだ機電及びITの開発現場、ならびに旧夢真ホールディングスの主力であった建設現場である。また、従来型のアウトソーシングと専門性の高いハイエンド・ミッドエンド層との間隙をターゲットとすることにより、新市場開拓と競合回避を図っている点が特長である。

2022年6月期 通期決算説明資料 p.55

競合他社

6028テクノプロ・ホールディングス(株)(売上収益178,756百万円)は、ターゲット領域、派遣先業界、規模など、競合する点が多い。9744(株)メイテック(売上高107,140百万円)も、機電業界への技術者派遣に強みを持つ点で競合し得る。製造現場への派遣に関しては、2146UTグループ(株)(売上高156,769百万円)が競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社42社、持分法適用関連会社3社で構成される。以下の連結子会社は売上高の連結売上収益に占める割合が10%を超える。建設領域の事業会社である「株式会社夢真」、機電・IT領域の事業を分担する「株式会社ビーネックステクノロジーズ」(19.8%)及び「株式会社夢テクノロジー」(12.8%)、海外領域を分担する英国「Gap Personnel Holdings Limited」(13.5%)。なお株式会社夢真に関しては、建設領域セグメントの売上収益の90%以上を占めることを理由に具体的な額は非開示。

強み・弱み

ローエンドに相当するアウトソーシングとハイエンド・ミッドエンド層との間の真空地帯をターゲットに定めている点は、新市場開拓と競合回避の面で有利。また、建設業界への人材供給はユニークであり、年齢層上昇による人材不足に悩む同業界のニーズに合致する点も強み。一方、同社が主力とする派遣先は開発現場や建設現場であり、これらの人材需要は景気動向に大きく左右される点はリスク。同業他社のターゲット領域拡大も、シェア縮小の脅威となり得る。

KPI

派遣労働者登録数、稼働率、月額請求額などが主要KPIと見られる。
派遣労働者登録数(2022年6月期第4四半期)
・機電・IT領域:11,461人(前年同期比+9.5%)
・建設領域:5,465人(同+4.3%)
稼働率(2022年6月期第4四半期)
・機電・IT領域:95.4%(前年同期比+0.8%)
・建設領域:95.7%(同+2.5%)
月額請求額(2022年6月期第4四半期)
・機電・IT領域:598千円/月/人(前年同期比+4.4%)
・建設領域:619千円/月/人(同+2.1%)

業績

新会社として初の通期決算となった2022年6月期は、売上収益148,573百万円(旧2社合算比+5.8%)、営業利益10,103百万円(同+1.3%)、税引前利益10,238百万円と、まずまずの滑り出し。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは概ねにマイナスで推移。直近決算期の親会社所有者帰属持分比率は65.6%。

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