2154 夢真ビーネックスグループの業績について考察してみた

2154 夢真ビーネックスグループの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2021年4月いずれも技術系労働者派遣業の株式会社ビーネックスグループ(以下旧ビーネックス)と、株式会社夢真ホールディングス(以下旧夢真HD)との合併によって発足した新会社
旧ビーネックスは1997年8月障がい者雇用の支援を目的とした共生産業株式会社として出発し、2004年11月商号を株式会社トラストワークスサンエーに変更、同年12月労働者派遣事業へ参入。2008年10月株式会社トラスト・テックへ商号変更。MTrec Limited(2016年)、Gap Personnel Holdings Limited(2017年)、 Quattro Group Holdings Limited (2018年)等、英国の労働者派遣会社をM&Aにより子会社化し海外における売り上げを拡大 。2020年1月持株会社への移行とともに商号を株式会社ビーネックスグループに変更。
旧夢真HDは1976年5月に社長佐藤大央氏の実父佐藤真吾氏の建築設計事務所として出発。有限会社化を経て1990年10月株式会社化とともに商号を株式会社夢真へ変更。1991年3月業務請負事業開始、1997年4月労働者派遣事業へ参入。2019年10月持株会社移行と同時に商号を株式会社夢真ホールディングスに変更。

株主構成

有価証券報告書に基づくと、旧ビーネックスの2020年6月30日時点の大株主はセガ・エンタープライゼス社長、パソナ会長などを歴任した中山隼雄氏が19.6%を保有し、同氏の資産管理会社である株式会社アミューズキャピタル19.2%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社4.4%と続き、中山氏による実質保有率は40%近くに及ぶ
旧夢真HDの2020年9月30日時点の大株主は、社長の佐藤大央氏が18.8%(法人名義含む)を保有し、前述の株式会社夢真創業者佐藤真吾氏(2020年1月逝去)の相続人代表佐藤淑子氏が12.1%、株式会社日本カストディ銀行が5.0%と続き、創業者一族の保有率が30%を超える。
なお、合併時に存続会社である旧ビーネックスの株式1株を新会社における1株に、消滅会社となる旧夢真HDの株式1株を新会社における0.63株にそれぞれ割り当てた。

取締役会

取締役は10名(社内6名、社外4名)、監査役は4名(全員社外)。代表取締役以外の役員は、金融系を中心とした大手企業出身者、弁護士、有識者など、経歴や年齢、入社時期も様々である。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の西田穣氏は1963年3月生まれ。大阪経済大学を卒業後、1987年4月株式会社リクルートに入社。2014年4月株式会社トラスト・テック顧問、同年9月より代表取締役社長
代表取締役社長の佐藤大央氏は1983年11月生まれ。慶應義塾大学を卒業後2006年4月野村不動産株式会社に入社。2010年4月株式会社夢真入社、2019年6月代表取締役社長、同年10月旧夢真HD代表取締役社長

報告セグメント

同社(新会社)の決算期日は到来していないため、合併前の2社について記載する。
「労働者派遣事業」の単一セグメントだが、収益区分別に「開発技術部門」、「建設技術部門」、「製造部門」、「海外部門」に大別される。旧ビーネックスの2020年6月期は、報告セグメントの営業収益4,979百万円のうち、開発技術部門が4,518百万円で90.7 %、海外部門が298百万円で6.0%、製造部門が162百万円で3.3%。報告セグメント以外のセグメントにおける損益ならびに調整額を計上した連結財務諸表計上額は4,666百万円の黒字であった。
旧夢真HDの2020年9月期は、報告セグメントの営業収益7,239百万円のうち、建設技術部門が6,586百万円で91.0 %、開発技術部門が653百万円で9.0%。報告セグメント以外のセグメントにおける損益ならびに調整額を計上した連結財務諸表計上額は5,306百万円の黒字であった。

事業モデル

技術系労働者派遣事業の中でも旧ビーネックスの主力分野であった開発技術部門ならびに旧夢真HDの主力であった建設技術部門が収益の2本柱。同社と雇用契約を結んだ登録労働者を、顧客となる派遣先事業所の要望に応じて派遣。派遣先事業所による指示・命令ならびに派遣された労働者による労働力提供は、派遣先勤務地(工場、建設現場など)において直接行われる。一方、登録労働者に対する賃金は派遣元である同社から支払われる。派遣先事業所から得られる契約料と派遣労働者への給与との差額が主な収益源となる。

契約形態のモデル(同社主要子会社 株式会社夢真ウェブサイトより引用)

競合他社

主な同業他社を列挙する。なお同社の売上高は、旧ビーネックス分が81,755百万円(2020年6月期)、旧夢真HD分が58,669百万円(2020年9月期)であった。
6028 テクノプロ・ホールディングス(株)
業界首位。旧グッドウィルグループ。売上高158,407百万円(2020年6月期)。
2146 UTグループ(株)
製造部門主体、工程単位の一括請負が特徴。売上高101,191百万円(2020年3月期)。
9744 (株)メイテック
登録者を自社の正社員として常用雇用。売上高100,995百万円(2020年3月期)。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社23社で構成。国内15社、海外8社。合併前の2社傘下の連結子会社は存続。海外では前述の英国の他、中国、インドネシアに進出。

強み・弱み

技術系に特化した人材派遣が労働力不足に悩む産業分野のニーズに合致。特に年齢層上昇にともなう人材不足が深刻な建設業界への人材供給はユニークであり、同社の強み。新型コロナウイルス感染症による経済活動低迷など製造業、建設業の需要減少の影響を強く受ける点が弱み

KPI

派遣労働者登録数、稼働率、派遣単価が重要なKPI。
・登録労働者数約1.5万人(全部門の総数)
・稼働率85~98%
・派遣単価2.8~3.6千円/時間・人

開発技術部門における登録労働者数は増加傾向であった。一方で稼働率はおおむね95%以上で推移したものの、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった2020年6月期第4四半期(2020年4月~6月)には落ち込んだ。

開発技術部門の登録労働者数及び稼働率(旧ビーネックス2020年6月期決算説明資料)

建設技術部門における登録労働者数は2019年9月期までは順調に増加したが、1020年9月期では新型コロナウイルス感染症のため減少した。稼働率はほぼ90%台前半で横ばい。

建設技術部門の登録労働者数(上段)及び稼働率(下段)(旧夢真HD2020年9月期決算説明資料)

業績

2019年6月期(旧ビーネックス)ならびに同年9月期(旧夢真HD)までは両社ともに増収増益を達成してきたが、旧ビーネックスの2020年6月期は連結営業収益4,666百万円(前期比▲18.1%)、EBITDA 5,855百万円(前期比▲14.4%)の減収減益。一方の旧夢真HDの場合は、2020年9月期の連結営業収益5,306百万円(前期比+36.4%)、税引前利益5,076百万円(前期比+31.2%)と好調であった。