4763 クリーク・アンド・リバー社の業績について考察してみた

4763 クリーク・アンド・リバー社の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.11 12,572 880 7%
FY2024.Q4 2024.02 11,971 621 5.19%
FY2025.Q1 2024.05 12,854 1,261 9.81%
FY2025.Q2 2024.08 12,982 934 7.19%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.02 6,566 261 3.98%
FY2018.Q1 2017.05 7,685 761 9.9%
FY2018.Q2 2017.08 6,494 484 7.45%
FY2018.Q3 2017.11 6,116 241 3.94%
FY2018.Q4 2018.02 6,413 320 4.99%
FY2019.Q1 2018.05 7,366 773 10.49%
FY2019.Q2 2018.08 7,452 491 6.59%
FY2019.Q3 2018.11 7,266 128 1.76%
FY2019.Q4 2019.02 7,485 186 2.48%
FY2020.Q1 2019.05 8,233 788 9.57%
FY2020.Q2 2019.08 8,279 477 5.76%
FY2020.Q3 2019.11 8,030 390 4.86%
FY2020.Q4 2020.02 8,404 428 5.09%
FY2021.Q1 2020.05 9,486 1,049 11.06%
FY2021.Q2 2020.08 8,968 406 4.53%
FY2021.Q3 2020.11 9,103 454 4.99%
FY2021.Q4 2021.02 9,757 538 5.51%
FY2022.Q1 2021.05 10,599 1,230 11.6%
FY2022.Q2 2021.08 10,436 927 8.88%
FY2022.Q3 2021.11 10,241 854 8.34%
FY2022.Q4 2022.02 10,523 400 3.8%
FY2023.Q1 2022.05 11,371 1,687 14.84%
FY2023.Q2 2022.08 10,963 824 7.52%
FY2023.Q3 2022.11 10,890 809 7.43%
FY2023.Q4 2023.02 10,897 636 5.84%
FY2024.Q1 2023.05 12,745 1,580 12.4%
FY2024.Q2 2023.08 12,511 1,022 8.17%
FY2024.Q3 2023.11 12,572 880 7%
FY2024.Q4 2024.02 11,971 621 5.19%
FY2025.Q1 2024.05 12,854 1,261 9.81%
FY2025.Q2 2024.08 12,982 934 7.19%

沿革

1990年3月、クリーク・アンド・リバー社として、マーケティングコンサルティングを目的に、東京都に設立。クリエイターのプロデュースやゲーム開発をはじめ、医療関係者、会計士・弁護士を対象とするエージェンシー事業など、次々に事業部門を立ち上げる。海外は韓国、中国、米国へと展開する。2000年6月、JASDAQ市場へ上場。2016年2月に東証二部、同年8月には東証一部へ変更。映像、ゲーム、WEB、広告・出版等クリエイティブ分野において、クリエイターの派遣やコンサルティングを提供する代表的な企業のひとつである。

株主構成

有価証券報告書によると、2022年2月末日時点の筆頭株主は、投資会社の株式会社シー・アンド・アールで、27.7%を保有する。社内では代表取締役社長の井川幸広氏が19.6%社外取締役の澤田秀雄氏が2.2%を保有し、大株主に該当。ほかは国内外の信託銀行の信託口が中心だ。また実業家の依田巽氏の名も見られる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、監査役4名(社内・社外ともに2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない3名の取締役は、いずれもプロパー社員と見られる。社外取締役の澤田秀雄氏は9603エイチ・アイ・エスの代表取締役会長・CEOを兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の井川幸広氏は1960年1月生まれ。専門学校に通うかたわら、松竹の撮影所でのアルバイトに精を出し、毎日映画社に就職した。1981年4月、23歳でフリーのメディアプロデューサーとして独立。1990年3月に同社を設立した。1999年2月、株式会社シー・アンド・アールを設立し、代表取締役に就任する。2020年1月より、株式会社メディカル・プリンシプル取締役会長も務める。

報告セグメント

「クリエイティブ分野(日本)」「クリエイティブ分野(韓国)」「医療分野」「会計・法曹分野」の4報告セグメントに大別される。
直近2022年2月期の売上高41,799百万円は、クリエイティブ分野(日本)70.4%、
クリエイティブ分野(韓国)8.3%、医療分野10.5%、会計・法曹分野5.0%で構成される。セグメント利益1,766百万円は、クリエイティブ分野43.0%、医療分野45.8%、会計・法曹分野11.2%からなる。

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

事業モデル

4つの分野に、3本の事業の柱をかけ合わせて企業活動を営む。事業の柱とは、ライツマネジメント(知財の収益化)プロデュース(請負・アウトソーシング)エージェンシー(派遣・紹介)だ。
主軸のクリエイティブ分野を例にあげる。同分野でのライツマネジメント事業は、クリエイターが生み出した知財を映像やゲーム、漫画、書籍、デザイン、データ、NFTなどの作品やサービスに変え、収益へと結びつける

同社HP トップ > 企業・グループ情報 > ビジネスモデル

またプロデュース事業では、クリエイターと請負契約を結んで企画開発に取り組み、顧客企業に成果物を納品する。
最後に、エージェンシー事業ではクリエイターに対して仕事を紹介している。
クリエイティブ分野で蓄積したノウハウを活かして、医療、法曹、会計、ファッションなど、別の専門分野へと領域を広げる。
医療分野では、医師の転職・アルバイト情報を掲載するWebサイト「民間医局」を運営。国内最大規模を誇る約15,000の医療機関と取引している。
会計・法曹分野では、弁護士や法務スタッフ、公認会計士・税理士等のエージェンシー事業を展開する。
2022年2月期の売上高、売上総利益における各事業の割合は、下図のとおり。

2022年2月期 決算説明会

クリエイティブ分野のなかでも売上割合の大きい、TV・映像分野、ゲーム分野の市場動向に目を移す。TV・映像分野では、YouTubeと連携した番組企画が増加しており、動画クリエイターの需要が増えている。ゲーム分野においてはコンテンツの消費スピードが上がり、慢性的な人材不足の状態にある。

2022年2月期 決算説明会

競合他社

エージェンシー事業の競合先として、2168パソナグループ6098リクルートホールディングス2181パーソルホールディングスなど、人材派遣会社が挙げられる。専門性の高い領域では2130メンバーズ、医療分野では6034 MRTが競合する。

連結の範囲

同社グループは、連結子会社17社、持分法適用関連会社1社、持分法非適用関連会社1社で構成される。連結子会社のうち4社は海外で、韓国に2社、中国1社、米国1社である。医療分野は株式会社メディカル・プリンシプル社、会計・法曹分野は株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社、ジャスネットコミュニケーションズ株式会社を中心に事業を営む。

強み・弱み

強みはクリエイティブをはじめとする18のビジネス領域において、多くのプロフェッショナルでネットワークを形成している点だ。2022年2月末現在、約345,000人のプロフェッショナルと、クライアント44,950社を有する。プロフェッショナル分野の需要は堅調であり、ネットワークの拡大が見込まれる。さらにVRやドローン、農業など新規事業の積極展開により、中長期的な成長が期待できる。
一方で、低迷事業への対応が課題。クリエイティブ分野(韓国)は2018年2月期より営業損失が続く。2020年2月期には報告セグメントから除外された。中期経営計画にてビジネス領域の拡大を掲げるが、クリエイティブ分野(韓国)のような低迷・不採算事業への対応力が問われる。

KPI

主力であるエージェンシー事業において、プロフェッショナル数クライアント数の推移はKPIとなりうる。
①プロフェッショナル数:2022年2月期344,440人(前年同期比+7.6%)
②クライアント数:2022年2月期44,950社(前年同期比+9.6%)

業績

直近5期分の経営状況を見ると、売上高・経常利益ともに安定して成長している。5期で売上高は1.6倍、経常利益は1.9倍の伸びだ。自己資本比率は50%台を維持し、2022年2月期は60.5%となった。営業CFは5期を通じてプラス、投資CFは恒常的にマイナスである。

2022年2月期 決算説明会
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