6034 MRTの業績について考察してみた

6034 MRTの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2000年1月東京大学医学部附属病院の医師間互助組織を母体として、取締役会長の冨田兵衛氏が中心となり、同社の源流となる有限会社メディカルリサーチアンドテクノロジー設立。それ以前からの慣習であった、医師同士によるアルバイトの相互紹介を、インターネット等のIT活用によってシステム化。2000年5月有料職業紹介事業の許可取得、2004年10月一般労働派遣事業の許可取得。2006年10月の株式会社化を経て、2014年9月MRT株式会社に商号変更し、同年12月東証マザーズ上場。2017年1月に看護師・薬剤師の派遣・紹介を事業とする株式会社NOSWEATを、同年12月に同業他社の株式会社医師のともをM&Aで子会社化。インターネット上の求人情報サイト運営を中心に、医療従事者の職業紹介事業を展開。遠隔診療・健康相談サービスも提供。

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は、取締役会長冨田兵衛氏の資産管理会社とみられる株式会社冨田医療研究所が21.6%保有。次いで、冨田兵衛氏個人名義が15.5%、同氏夫人冨田留美氏が5.7%、前同社代表取締役社長の馬場稔正氏が5.3%、同社代表取締役社長の小川智也氏が2.5%と続く。創業者一族の保有率が40%を超える。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)。監査役会設置会社である。会長も社長も医師で、社内外問わず役員の半数は現役の医師が兼務。社内取締役の西岡氏は監査法人出身。他の社外役員は大手企業出身者、弁護士、など、経歴や年齢、入社時期も様々である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の小川智也氏は1973年6月生まれ。大分医科大学(現大分大学)を卒業後、2002年4月医師国家試験合格、2004年6月大阪府立千里救命救急センター入職。その後2011年9月に同社へ入社、取締役事業本部長に就任。取締役執行役員経営戦略室長、同事業本部長、取締役副社長などを経て2019年4月に現職へ就任

報告セグメント

「職業紹介事業」の単一セグメントであり、報告セグメントも「医療人材サービス」のみである。2020年12月期は、連結で売上収益2,562百万円、営業利益264百万円であった。なお、連結子会社である株式会社医師のとも(議決権所有割合70%)と株式会社日本メディカルキャリアでも同社同様に医師紹介サービスを提供しており、医師のとものの売上高は555百万円、日本メディカルキャリアの売上高は485百万円であった。

事業モデル

自社の運営サイト『MRT』にて、提供する非常勤医師紹介サービス『Gaikin』が主力で、医師のアルバイト・バイト(スポット)求人情報を掲載する。雇用契約成立数は年間14万件以上。常勤医師紹介サービス『career』も併設するが、雇用契約成立数は年間50件未満とみられる。主な収益源は、求人を行う医療機関からの紹介手数料収入であり、雇用契約が成立した場合に支払われる。その額は非常勤の場合は給与または報酬の10~20%、常勤の場合は20~30%である。

非常勤医師紹介サービス『Gaikin』の事業モデル(2020年12月期有価証券報告書)

競合他社

競合他社は以下のとおり。なお同社の売上高は2,562百万円(2020年12月期)。
エムスリーキャリア(株) 非上場で、エムスリー(株)と(株)エス・エム・エスが共同出資。売上高15,390百万円(2019年3月期)。4763 (株)クリーク・アンド・リバー社 他事業も展開。売上高37,314百万円、うち『民間医局』を営む医師紹介事業を含む医療分野3,923百万円(2021年2月期)。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社6社で構成されている。主要な子会社のうち株式会社NOSWEATは看護師・薬剤師の紹介及び派遣の事業を担う。株式会社医師のともは対面式での紹介の他、開業や継承のサポートなども行う。

強み・弱み

現役の医師が立ち上げ、経営にも携わっているため、ユーザー目線での運営がアピールポイント。また、親会社帰属の利益率が8.9%(2020年12月期)と、競合する(株)クリーク・アンド・リバー社の4.4%(2021年2月期)よりも高い点が同社の強み。一方、事業基盤が医療人材サービスの単一セグメントであり、市場規模も限られているため、競合他社のシェア拡大や新規事業者の参入が同社の売上減に直結しやすい点は弱み。

KPI

登録会員数(医療従事者)、取引先医療関連施設数、紹介手数料、雇用契約成立数などがKPIとみられる。以下に、主なKPIの数値を決算説明資料及より引用。
登録会員数(グループ全体) 26万人(2020年12月時点、同年2月比+4.0%
取引先医療関連施設数(同上) 1.2万ヶ所(2020年12月時点)
雇用契約成立数(同上) 年間14万件(2020年12月時点)

非常勤医師紹介サイト『Gaikin』契約成立数の推移(上記資料のデータを基に作図、2019年分は13~14万件)

業績

2018年3月期よりIFRS適用、2019年に決算期変更し2019年12月期が9カ月決算と非連続ではあるが、売上収益・営業利益ともに順調に伸びてきた。2018年3月期比で2020年12月期売上収益は1.7倍、営業利益は4.1倍であった。恒常的に営業CFはプラスで投資CFはマイナスで推移している。直近決算期の自己資本比率は58.6%。