2497 ユナイテッドの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

旧社名は、nig group.。2012年に、博報堂DYホールディングス傘下のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(ジャスダック:4281)によるTOBを受け子会社となり、社名をモーションビートに変更する。さらに同年12月には、(株)スパイアを吸収合併しユナイテッド株式会社へと商号を改め現在に至る。2015年より数々の企業を子会社化していくことで事業を拡大。現在は、グループ内で6社の企業を有し、DXプラットフォーム事業・インベストメント事業・アドテクノロジー事業・コンテンツ事業などインターネット業界において幅広く事業を展開している。尚、合併後の存続会社がモーションビート(旧:ngi group)のため、設立年月は1998年2月。2006年8月に東証マザーズに上場している。

株主構成

2020年9月時点の大株主を見ると、親会社である博報堂DYホールディングスのグループ会社デジタル アドバタイジングコンソーシアム(43.16%保有)を筆頭に、自己株(5.59%)、代表取締役の早川与規氏(4.12%)の上位3株主で保有割合50%を超えている。それ以外ではクレディスイスやバンク・オブ・ニューヨークなど外国人の保有も見られるが比率は、総じて5%以下である。

取締役会

同社の取締役は5名(社内4名、独立役員の社外1名)、監査役は3名(常勤1名、独立役員の社外2名)であり、監査役会設置会社である。取締役および執行役員には、ユナイテッドの関連グループ会社の出身者が多く顔を並べる。取締役 兼 執行役員の金子陽三氏は、外資系証券会社、VC(ベンチャーキャピタル)を経て、2002年にインキュベーション・オフィス運営会社を設立。2004年に、ネットエイジキャピタルパートナーズ(現 ユナイテッド)に売却後、現在取締役 兼 執行役員として代表取締役社長の早川氏を支えている。

代表取締役の経歴

代表取締役の早川 与規氏は、1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、92年に株式会社博報堂に入社。その後、1998年の米国シラキュース大学経営大学院への留学中、夏休みの間にインターンで株式会社サイバーエージェントに入るも、代表取締役である藤田晋氏からの誘いを受け、そのまま同社に正式入社。1999年には常務取締役に就任し、赤字続きであった同社業績を黒字化させることに成功する。2004年末にインタースパイアを設立し、2009年・2012年と2度の合併を経験。ユナイテッド株式会社の代表取締役会長CEOを経て、2006年6月より代表取締役社長 兼 執行役員に就任し現在に至る。

報告セグメント

同社のセグメントは、アドテクノロジー事業、ゲーム事業、コンテンツ事業、インベストメント事業の4つ。2020年3月期の連結売上高(内部取引を含む)は、20,911百万円。売上構成比は、アドテクノロジー事業30%、インベストメント事業34%、ゲーム事業12%、コンテンツ事業24%、であったが、今期(2021年3月期)より事業ポートレートを整理し、事業区分はDXプラットフォーム、インベストメント、アドテクノロジー、コンテンツに変更となっている。

事業モデル

DXプラットフォーム事業
同社の最注力事業であり、グループ関連会社を通じて国内最大のプログラミングオンラインスクール「テックアカデミー」の運営、アプリケーション開発、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援のコンサルティングなどを行っている。昨今、SNSやサブスクリプション、そしてAIや5Gなどデジタル技術を活用し、商品やビジネスモデルに変革を起こさなければ競争に勝てないと言われていわれているが、国内のIT人材需要に対し供給が圧倒的に少ないのが現状である。従って、2030年には市場規模で約2兆3000億円といわれるDX(デジタルトランスフォーメーション)市場において、今後IT人材教育拡大の必要性が明白であることから、同社のDXコンサルティングならびにプログラミング教育事業の成長には大いに期待できる。

インベストメント事業
DXプラットフォーム事業に並ぶ、同社の「成長期待事業」の一つで、昨期は(株)メルカリや(株)サイバーバズの株式売却により利益を確保。今期は、新型コロナウィルスの影響により業績の先行き見通しが難しいことから投資先企業を選別し、有望企業およびベンチャー企業に投資することで更なる収益の向上を目指していく。

アドテクノロジー事業
主に、アプリに特化した広告配信プラットフォームや動画広告配信プラットフォームを提供しており、同社の「収益期待事業」に位置づけられている。事業別の売上高としては前期比で2%増ではあるが、プロダクト間の連携強化と運用体制の効率化、広告仕入れ枠の徹底化を図ったことで売上利益率が改善。営業利益率が前期比1,146%増と大幅に改善している。スマートフォンの普及に伴い、広告主の需要が拡大を続けていることから、2兆円を突破したネット広告市場において今後も同社アドテクノロジー事業の成長が注目されるところである。

コンテンツ事業
アーティストの活動支援サービスの運営、スポーツに関わるWebサイト制作・メディア企画、そして懸賞・プレゼントサイト運営業務などを同社グループ傘下の各企業が行っている。特に懸賞サイトのドリームメールは、学生や主婦層に人気があり15年間続いている老舗であるが、競合事業者の増加から大きな成長を見込むのは難しいと言える。そのため、今後はアーティスト支援運営事業およびスポーツ関連事業における収益の安定化が求められるところである。

競合他社

各セグメントにおいて競合が変わってくるが、アドテクノロジー事業における競合といえば、ネット広告の巨人サイバーエージェントである。同社の2020年3月期におけるネット広告事業の売上高は2,693億円と、ユナイテッド社の同事業売上約63億円に比べ40倍以上の差があるが、代表取締役の早川氏がサイバーエージェントの取締役兼COOを務めた経緯から、インターネット広告業界においてサイバーエージェント社はユナイテッドのライバルであると同時に、大きな目標と捉えることができる。

もうひとつの主力であるDX(デジタルトランスフォーメーション)事業における競合企業であるが、企業のDX推進においては大手上場企業やコンサルティング会社など多数の企業がひしめき合っていおり、国策として企業のDX型経営を推奨していることから、今後も競合他社が増えていくことが予想される。

また、需要増により注目されるオンラインプログラミングスクール事業では、大小合わせ15以上のオンラインスクールが見受けられる中、東証一部フューチャー(4722)の子会社である(株)コードキャンプ(運営スクール名:CodeCamp」、そして同じく東証一部ドリームインキュベータ(4310)から出資を受けている(株)div(運営スクール名:テックキャンプ)などが主な競合と言える。それら競合他社の中でも、ユナイテッド傘下のキラメックスが運営する「Tech Academy」は、受講者数が3万人を超えており、国内のオンラインプログラミングスクールにおいてNo,1の受講人数を誇っている。

連結の範囲

連結子会社は、キラメックス(株)、(株)ブリューアス、ベンチャーユナイテッド(株)、フォッグ(株)、(株)インターナショナルスポーツマーケティング、トレイス(株)の計6社。

強み・弱み

同社の強みの一つが、DX支援においてコンサルティングソリューションを提供できることである。トータルな視点で戦略を策定するだけでなく、自社グループ内でコンテンツ開発から保守・運用、企業研修まで一貫して対応することで、企業の変革をスムーズに推進できることは大きな強みと言える。そのDX事例の一つが、まさにグループ企業のキラメックスが運営するオンラインプログラミンスクール「Tec Academy」の成功と言えるだろう。企業と個人の二軸を上手く連携させることで、更に競争力を高めていくことに期待できる。
弱みとしては、各事業の業界内に多くの競合企業がひしめき合っていることが懸念材料と捉えられる。まずは、柱であるDX事業における成功事例を増やし、優位性を確立していくことが求められる。

KPI

各セグメントにおけるKPIは、以下が挙げられる。
1、DX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム事業
・オンラインプログラミングスクール「Tec Academy」の受講者数
・支援企業数

2、インベストメント事業
・投資先企業数、運用資産額、投資回収率

3、アドテクノロジー事業
・広告主獲得数、広告単価

4、コンテンツ事業
・アーティスト応援サービス事業におけるアーティスト登録数、グッズ制作数
・スポーツ事業におけるクラウドサービス登録企業数
・懸賞、プレゼントサイトにおける会員登録数

業績

2020年3月期(通期業績)は、総売上高20,911百万円(前期比24.2%減)、営業利益5,101百万円(前期比54%減)、経常利益5,111百万円(前年同期比53.8%減)といずれも前期比でマイナスとなった。
尚、2021年度3月期の業績については、総売上高16,300百万円(前期比22%減)、営業利益5,300百万円(前期比4%増)、経常利益5,300百万円千円(前年同期比4%増)と予想しているが、第2四半期売上高が11,008百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益5,465百万円(前年同期比108%増)、経常利益5,560百万円(前年同期比115.6%増)と、営業利益ならびに経常利益ベースでは既に今期予想を上回っている。これは、インベストメント事業における投資先株式の売却を行ったことが主な要因となっている。また、インベストメント事業を除く3事業においても、不採算事業を整理するなど事業ポートフォリオの見直しを図ったことで、第2四半期の営業利益が前年同期比で+590百万円となっている。