2471 エスプールの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1999年12月東京都新宿区に株式会社エスプールとして設立。人材関連のアウトソーシング事業・マーケティング関連のアウトソーシング事業を提供。2006年2月大証ヘラクレスに上場し、その後証券取引所の統合に伴い東証ジャスダックへ、2019年2月東証二部へ、2019年7月東証一部へ変更。2010年5月障がい者雇用支援サービスを開始。2011年2月マーケティング関連のアウトソーシング事業撤退。現在は、主力のコールセンター向けを主力に人材派遣や障がい者雇用支援サービスなどを行う。

株主構成

有価証券報告書によると2020年5月末日時点の筆頭株主は日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口)の13.5%。代表取締役会長兼社長の浦上壮平氏が13.0%、社外取締役の赤浦徹氏が3.4%を保有するほか、上位株主には国内外の信託銀行の信託口で併せて18.8%が並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。取締役管理本部担当の佐藤英朗氏は公認会計士の有資格者。取締役社長室子会社担当の荒井直氏は東急観光株式会社(現東部トップツアーズ株式会社)を経て同社へ入社した。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の浦上壮平氏は1966年8月生まれ。1989年芝浦工科大学を卒業。日本情報サービス、ファコムジャパン、タートルジャパン(家庭教師派遣センター)を経て、1999年12月に同社を設立、代表取締役社長に就任する。2006年より代表取締役会長兼社長。

報告セグメント

「ビジネスソリューション事業」、「人材ソリューション事業」の2報告セグメントに大別される。2020年11月期の売上高21,009百万円の構成比は、ビジネスソリューション事業が5,825百万円で27.7%、人材ソリューション事業が15,250百万円で72.6%である。(調整額を含む)。一方で営業利益2,228百万円は、ビジネスソリューション事業1,619百万円、人材ソリューション事業1,757百万円と拮抗している(調整額1,148百万円を含む)。障がい者雇用や、ロジスティクス、採用支援などを行うビジネスソリューション事業の営業利益率は27.8%とコールセンター向け人材派遣を中心とする人材ソリューション事業の11.5%より大幅に高い

2020年11月期決算説明会資料

事業モデル

「ビジネスソリューション事業」は3つのサービスを提供する。障がい者雇用支援サービスは、株式会社エスプールプラスで、障がい者雇用を希望する企業に農園を貸し出す。農園における雇用は貸出先企業が直接行い、収穫した野菜を貸出先企業の従業員の健康促進に役立てる福利厚生プログラムを同社が提供する。就労者数は1,700名以上、利用企業は300社以上でSMBC日興証券やPanasonic、ドトールなどの複数の有名大企業も利用する。ロジスティクスアウトソーシングサービスは、株式会社エスプールロジスティクスで、EC通販発送代行サービスを行い、売上高の約9割を占める。
採用支援サービスは、株式会社エスプールセールスサポートで対面型の会員獲得業務やキャンペーン等の販売促進業務を行う。株式会社エスプールでは求人応募の対応を代行する採用支援サービス「OMUSUBI」を提供している。
「人材ソリューション事業」は、コールセンターや事務センターなどのオフィスサポート業務と、スマホや家電製品等の店頭販売支援業務に関する人材サービスを提供する。同社の社員と、複数のスタッフをチームで顧客企業に派遣する「グループ型派遣」を行う
障害者雇用推進法で定められた企業の障がい者の法定雇用率は、2018年4月に2.0%から2.2%に引き上げられ、2021年4月には2.3%となることが決定している。大手企業を中心に障がい者の雇用が活発化し、障がい者の雇用創出サービスへの需要は高まるとみられる。また、政府が推進する働き方改革に基づく、長時間労働の是正対応として、人材サービスを活用した労働力確保の動きが強まることが予測される。

競合他社

障がい者雇用支援サービスの競合先では、6187リタリコ(2020年3月期売上高13,867百万円)、6556ウェルビー(同6,878百万円)などに加え大手の人材派遣企業の多くが障害者派遣も展開する。人材ソリューション事業の競合先としては6098リクルートHD(同23,994億円)、2181パーソルHD(同9,705億円)、2168パソナグループ(同3,249億円)などの大手から中小事業者まで複数存在する。

連結の範囲

株式会社エスプールヒューマンソリューションズ、株式会社エスプールロジスティクス、株式会社エスプールプラス、株式会社エスプールセールスサポートの4社が連結子会社に該当する。
株式会社エスプールヒューマンソリューションズは人材ソリューション事業を営んでおり、他3社はビジネスソリューション事業を展開している。

強み・弱み

ソーシャルファーム『わーくはぴねす農園』の貸出という形で障がい者の雇用場所の創出から雇用継続までをサポートするビジネスモデルは同社独自で、2010年からの運用実績を持つことは強み。人材派遣サービスは就労者の質・量の確保が欠かせない。大手や複数の競合と就労者の獲得競争で優位性を出しにくい点が弱みである。

KPI

各KPIの2020年11月期の実績は下記である。
売上高営業利益率 10.6%(前期比+1.4ポイント)
②〈障がい者雇用支援サービス〉管理区画数 
③〈障がい者雇用支援サービス〉設備販売数
④〈人材アウトソーシングサービス〉稼働スタッフ数 5,625名/月(前期比+14%)
⑤〈人材アウトソーシングサービス〉新規登録者数 4,378名/月(前期比+18%)
⑥〈アウトソーシングサービス〉EC通販運送代行の売上高 1,054百万円(前期比+13.9%)
⑦〈アウトソーシングサービス〉物流センター運営代行の売上高 117百万円(前期比▲32.0%)
⑧〈採用支援サービス「OMUSUBI」〉応募受付数 549,651件/年(前期比+35%)

業績

2020年11月期の決算では、売上高は8期連続、営業利益は5期連続で増加し、いずれも過去最高を更新した。5期分の経営状況をみると、売上高は堅調に増加し9,236百万円から21,009百万円へ2.3倍となった。同社が重要な経営指標と位置付ける売上高営業利益率は2020年11月期に10.6%と、目標としていた10%を達成した
営業CFは安定してプラスで推移しており、投資CFはおおむね営業CFの範囲内におさまっている。農園など有形固定資産を積極的に取得しつつ、営業CFと投資CFのバランスは安定している