2385 総医研ホールディングスの業績について考察してみた

2385 総医研ホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1994年7月、大阪大学発バイオベンチャー企業として有限会社総合医科学研究所設立。取締役の梶本修身氏がバイオマーカーの開発とそれを用いた生体評価システムの確立を通じて新規医薬品及び機能性食品等の研究開発に貢献することを目的に設立した。2001年12月株式会社総合医科学研究所に組織変更。2003年12月東証マザーズに上場。2006年7月化粧品事業への進出を目的に、株式会社ビービーラボラトリーズと他2社を買収。2007年1月持株会社体制へ移行、同社は持株会社となり商号を株式会社総医研ホールディングスに変更。トクホ評価試験受託や抗疲労食品、化粧品の自社開発を行っている。

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は、同社創業者で元代表取締役の梶本修身氏で保有割合16.92%。第2位が梶本氏の親族とみられる梶本智子氏で、修身氏持分と合計すると27.61%となる。以降は保有割合5%未満で国内信託銀行信託口、国内外金融機関、個人名などが並ぶ。外国人保有割合は10%以上20%未満

取締役会

取締役は6名(社内5名、社外1名)、うち監査役が3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表取締役以外の社内取締役は、創業者で元代表取締役の梶本氏(非常勤)のほか、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)と株式会社レイコフインベストメントの経験者、3402東レの基礎研究所出身者、ロシュの検査薬事業日本子会社で4年間の経験をもつ出身者で構成される。

代表取締役の経歴

取締役社長(代表取締役)の石神賢太郎氏は1973年1月生まれ。名古屋市立大学卒業後、1996年4月株式会社日本エル・シー・エー入社(ベンチャー・リンクグループで経営コンサル等が事業内容、上場廃止済)。2005年6月同社入社、2018年1月より同社代表取締役に就任した。現在は同社連結子会社2社の代表取締役も兼任する。

報告セグメント

「生体評価システム」、「ヘルスケアサポート」、「化粧品」、「健康補助食品」、「機能性素材開発」の5報告セグメントに大別される。2021年6月期第3四半期の売上高7,303百万円のセグメント別構成割合は生体評価システム6.7%、ヘルスケアサポート4.7%、化粧品50.5%、健康補助食品29.4%、機能性素材開発8.7%。全社費用控除前の各セグメント利益構成は、生体評価システムが受注残高の減少、採算性の低い小規模案件の増加から赤字だった一方、化粧品が7割強、健康補助食品、機能性素材開発が各1割強を占めた。

2021年6月期第2四半期決算説明資料

事業モデル

生体評価システムは評価試験事業とバイオマーカー開発事業に大別され、バイオマーカー(生体情報を数値化・定量化した指標)を用いた食品等の機能性・安全性等に関する臨床試験や新たな食品・薬品の共同開発などを行う。医学系財団や製薬企業、食品企業が取引先となる。ヘルスケアサポートは健診や特定保健指導に関する業務受託など、健康保険組合等が行う様々な取り組みをサポートするサービスを提供する。
化粧品は2006年に買収した子会社を中心に、通販による直販および卸売りを行っており、2021年6月期第3四半期売上高では卸売による販売が約96.5%を占める。特に2015年の中国流通企業との資本業務提携以降、「モイストクリームマスクPro.」を中心に中国向けの売上が伸びている
健康補助食品は「イミダペプチド」等商品を販売する。機能性素材開発事業はラクトフェリンをはじめとする機能性素材の開発。販売、技術供与等を行っている。
ヘルスケア関連商品およびサービスは、高齢化や医療保険財政の逼迫をうけた国民の健康意識の高まりから国内市場の拡大余地は大きいものと考えられるが、海外においても信頼性の高い商品、サービスの需要は旺盛であり、同社は中国をはじめとする海外市場での事業展開を視野に入れ運営を行っている。

競合他社

化粧品や健康食品を取り扱う企業として、4921ファンケル(2021年3月期売上高114,909百万円)、2930北の達人コーポレーション(2021年2月期売上高9,270百万円)、2931ユーグレナ(2020年9月期売上高13,317百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

持株会社の同社傘下に生体評価システム、ヘルスケアサポート事業を担う株式会社総合医科学研究所(下図の黄色■)、化粧品事業を担う株式会社ビービーラボラトリーズ(同ピンク■)、健康補助食品事業を担う株式会社エビデンスラボ(同水色■)および日本予防医薬株式会社(同黄緑■)、機能性素材開発事業を担う株式会社NRLファーマ(同灰色■)の5社が連結子会社として存在する。尚、数のオレンジ色■は2005年に東京慈恵会医科大学の近藤一博教授と共同設立した非連結子会社で、ヒトヘルペスウイルスを用いた疲労定量化技術や遺伝子治療用ベクターの事業化を目指している。

同社HP TOP>総医研ホールディングスについて>グループ事業紹介

強み・弱み

大学医学部発のベンチャー企業として有する様々な研究実績、ノウハウ、インフラ、医療界、医学会とのネットワークを活かした製品開発力、サービス提供力が同社の強みとみられる。創業来のバイオマーカー技術を生かして「エビデンス」をキーワードに医薬・食品・化粧品・ヘルスケアサービス等の事業領域でシナジーを発揮している。一方で、中国向け化粧品販売を中心に売上高を伸ばしてきたことで、収益の柱が化粧品事業と健康所食品事業に集中しており、高度なマーケティングノウハウと継続的な新商品の育成が課題である。

KPI

具体的な数値の開示はないが、下記のようなものが考えられる。尚、化粧品の中国向け売上高については、T-mall(中国最大手ECタオバオの国際ブランド品用のモール)での中国での2大EC商戦(6月18日と11月11日の毎年2回)での売上高の推移が開示されている。
生体評価システム:案件数、受注高、受注残高
ヘルスケアサポート:契約健保数
化粧品:中国向け売上高、広告販促費

2021年6月期第2四半期決算説明資料

業績

2016年6月期から2020年6月期までの業績をみると連続して増収増益し、売上高は3倍弱、営業利益は5倍超に成長した。営業利益率は6%前後から、11%台に向上。中国向け化粧品事業の拡大等が主因。フリーCFは安定しないが、当期利益の伸びなどにより営業CFはプラス幅拡大傾向。同期間中1期を除き有利子負債はゼロで、自己資本比率は70%台。