【IPO】9219 ギックスの業績について考察してみた

【IPO】9219 ギックスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2012年12月東京都にて株式会社ギックス設立。2013年1月データ分析業務をベースとしたCMO(チーフマーケティングオフィサー)業務の代行を開始。2019年12月エリア情報サービス「トチカチ」を、2020年1月個客選択型スタンプラリー「マイグル」を提供開始。2022年3月東証マザーズ上場予定戦略コンサルタントとアナリティクス専門家によって立ち上げられたデータインフォームド推進企業

株主構成

有価証券報告書によると2021年11月末時点の筆頭株主は、同社代表取締役で創業者の網野知博氏①で保有割合38.15%。同社取締役で創業当初からのメンバーである田中耕比古氏②と花谷慎太郎氏③が17.49%、FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合が10.70%④、株式会社JR西日本イノベーションズが5.83%で続き、以降は保有割合5%未満で8056日本ユニシス、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合のほか、個人名が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。なお、上場時に①~④は保有持ち分の①がごくわずか、②・③が1~3割程度、④が約半数を売り出し放出予定である。

取締役会

取締役は4名(社内3名、社外1名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員創業当初から在籍し、9719SCSK、アクセンチュア株式会社、日本IBM株式会社などを経て同社設立に至った。

代表取締役の経歴

代表取締役CEOの網野知博氏は1973年5月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1998年4月現9719SCSK入社。アクセンチュア株式会社、日本IBM株式会社を経て、2012年12月同社を設立し、代表取締役に就任した

報告セグメント

Data-Informed事業の単一セグメント。2022年6月期第2四半期累計期間の相手先別売上高は2502アサヒグループホールディングスが35.4%、9021西日本旅客鉄道が24.8%、株式会社三菱UFJ銀行が10.8%と、上位3社で全体売上高の71.0%を占める。この上位3社は2020年6月期、2021年6月期についても同じだった。売掛金の相手先内訳から3101東洋紡、日本コカ・コーラ株式会社とも取引があるとみられる。

事業モデル

クライアント企業の経営課題解決や競争力強化のために、データを用いて物事を理解・判断する「データ・インフォームド」を推進している。単一報告セグメントであるが、個別課題解決として個別の企業・事業の状況に応じ、データを活用した判断の在り方を検討する「DIコンサルティング」と、その判断を継続的に行うために必要な仕組みを構築する「DIプラットフォーム」の2サービスを展開する。

同社HP TOP>SERVICE>DIコンサルティング
同社HP TOP>SERVICE>DIプラットフォーム

また共同課題解決として、「DIコンサルティング」および「DIプラットフォーム」で得た知見や独自ツールを活用し、ソフトウェア・サービスである「DIプロダクト」を提供している。「DIプロダクト」は、特定エリアにおける人口動態をリアルタイムで提供する「トチカチ」と商業施設や観光エリア等で回遊を促すスタンプラリーを提供する「マイグル」をリリースしている。

同社HP TOP>SERVICE>DIプロダクト

同社の売上高はクライアント企業の決算期が年度末であることが多く、下期に偏重する傾向がある。また人件費等の固定費の割合が高く、利益も下期に偏重する傾向にある。
同社が事業を営むビッグデータアナリティクス・テクノロジーの市場は、コロナ禍で一時成長が鈍化したものの、2019年~2024年のCAGRは11.7%と予測され、2014年の市場規模は1兆8,765億円に達するとの調査もあり、高い成長ポテンシャルをもつ市場だと考えられる。

競合他社

AIを活用したデータコンサル業務を行う3655ブレインパッド(2021年6月期売上高7,101万円)、4722フューチャー(2021年12月期売上高48,698万円)などが競合となりえる。

連結の範囲

同社は連結子会社を持たない。

強み・弱み

大量のデータ分析に耐えうる処理基盤を精度高く、スピーディー、低コストで開発できる点が強みである。また創業時からデータ活用をメイン業務としていたため、データ処理基盤に関する多くのノウハウが蓄積されている。従業員数28人と少数精鋭の組織とみられ、従業員数からみた一人当たり売上高が同業他社比で高いことがうかがえる。これは売上上位3社に大企業が並び、優良な導入実績を有することに起因するとみられる。しかし一方でこれらの企業への依存度が高い点は課題。また、クライアントの課題解決に向けたデータサイエンティストやコンサルタントとしてのスキルを持った人材の採用が規模拡大のためには不可避と見られ、同業界における人材獲得競争の過熱もリスクである。

KPI

①受注高、受注残高(2022年6月期第2四半期:各443百万円、88百万円)
②取引先数(非開示であるが、特定企業への売上依存度が高い同社の課題と考えられる)
③従業員数(2021年6月末時点28人)

業績

確認可能な2017年6月期以降、売上高は146百万円から2021年6月期は722百万円まで連続増収。経常利益は2017年6月期の経常赤字から黒転したものの、2018年6月期45百万円~2021年6月期は50百万円と、売上高に比して利益は伸びていない。人材採用や研究開発費用上場準備に向けた管理機能強化にかかる費用の増加が主因とみられる。2021年6月期のフリーCFはマイナス、売上債権の増加が主因。2021年6月期の自己資本比率は76.8%。2021年4月に8056日本ユニシス等を割当先とする第三者割当増資を実施したことにより、前期から+24.7%上昇。


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