9755 応用地質の業績について考察してみた

9755 応用地質の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1957年5月東京都にて地質調査を業務とする株式会社応用地質調査事務所を設立。1963年7月に建設業、1965年6月に測量業、同年8月に建設コンサルタントの登録認可を得る。1985年5月応用地質株式会社に商号変更。1991年10月に東証二部上場、1995年6月東証一部に変更。建設コンサル、計測機器、資源探査などを行う地質調査業の最大手

株主構 成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は、同社名誉顧問だった故深田淳夫氏を中心に設立された公益財団法人深田地質研究所で13.20%を保有。日本トラスティ・サービス信託銀行が6.24%で続き、以降は保有割合5%未満で国内信託銀行信託口、応用地質従業員持株会、個人3名、海外金融機関、国内生保、メガバンクが並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない取締役は、玉野総合コンサルタント株式会社での勤務や、2006年5月に買収した株式会社ケー・シー・エスの代表取締役を務めた天野氏以外はプロパーとみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長 社長執行役員の成田賢氏は1953年11月生まれ。日本大学卒業後、新潟大学大学院にて地質鉱物学専攻。修了後の1979年4月に同社に入社した。2002年3月に執行役員、2004年3月に取締役に就任するなど社内の要職を歴任後、2009年3月現職に就任した
代表取締役副社長 副社長執行役員 事務本部長の平嶋優一氏は1959年11月生まれ。1983年4月富士銀行(現みずほ銀行)入行。米州審査部長、業務監査部長などを務めた後、2013年8月同社入社。2014年8月に執行役員、2016年3月に取締役に就任するなど社内の要職を歴任後、2020年3月現職に就任した

報告セグメント

「インフラ・メンテナンス事業」、「防災・減災事業」、「環境事業」および「資源・エネルギー事業」の4セグメントに大別される。2021年12月期第1四半期の売上高13,328百万円の構成比は、インフラ・メンテナンス事業36.9%、防災・減災事業が28.0%、環境事業が22.2%、資源・エネルギー事業が13.0%だった。営業利益の内訳は、インフラ・メンテナンス事業と環境事業が各3割強、防災・減災事業が2割弱、資源・エネルギー事業が10%未満だった。地域別売上高は日本が約8割、米国が1割弱などとなっている。

事業モデル

インフラ・メンテナンス事業は、地質構造を可視化する地質リスクマネジメントサービスなどを提供し、インフラ老朽化調査、維持管理システムの構築、非破壊検査製品の開発、販売などを行う。主な顧客は国の機関、自治体、民間企業などのインフラ管理者
防災・減災事業は、河川堤防健全度評価システムや、地震動予測などを提供し、国、自治体の防災計画に係る被害予測、防災計画の策定支援、対策のコンサルティングなどを行う。主な顧客は国、自治体、研究機関、民間企業
環境事業は、風力発電の導入可能性調査や導入支援やアスベスト分析・除去工事サービスなど地球環境の保全、負担軽減対策などを支援するソリューションサービスを提供する。主な顧客は環境省、国土交通省、自治体、民間企業
資源・エネルギー事業は、発電所設置にかかる地質コンサルティングや資源探査用システム、海底4次元探査サービスなどを提供する。主な顧客は発電事業者、建設会社、石油・ガス事業者、研究機関、資源開発会社
4セグメントすべての基礎となる地盤3次元化技術の深化を目指す。

2021年統合報告書

国内においては「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の閣議決定に伴い、公共分野を中心に市場拡大が見込まれる。インフラの老朽化も喫緊の課題で、メンテナンスにかかる国内市場は5兆円、海外は200兆円とも言われる。資源・エネルギー分野ではカーボン・ニュートラル方針に伴う再生可能エネルギー市場の拡大が見込まれる一方、石油業界に係るサービス需要は厳しい状況が続くと想定される。

競合他社

地質調査大手の4673川崎地質(2020年11月期売上高7,663百万円)、環境コンサルや建設コンサルを行う9768いであ(2020年12月期売上高20,014百万円)、建設コンサルの9621建設技術研究所(同65,190百万円)などが競合となる。

連結の範囲

同社と連結子会社27社、および関連会社5社にてグループを構成する。国内にてインフラ・メンテナンス事業を行う応用リソースマネジメント株式会社、防災・減災事業を行う応用地震計測株式会社のほか、海外現地法人9社などが存在する。

強み・弱み

地質調査のエキスパートとして長年培った技術力が強み。また、統合報告書によると2020年12月末時点で、55人の博士(工学・理学・学術)と693人の技術士を擁し、それらの豊富な専門人材が所属していることも強みとみられる。4セグメントにバランスよく分かれた事業はリスク分散が図られている一方で、売上高に占める公共事業の比率は高く、国や地方公共団体の財政状況悪化や不測の事態に伴う指名停止措置などを受けた場合は、同社の業績に影響を及ぼすものと考えられる。

KPI

①年間受注件数、受注高(2020年12月期5,580件、52,265百万円)
②国外売上比率(新中計経営計画で25%目標、災害頻発地域への展開を検討)
③投資戦略(イノベーション投資55億円、M&A投資70億円)

業績

2016年3月期からの業績をみると、売上高は50,000百万円前後で推移。国土強靭化関連業務の推移が堅調で、2017年12月期の1.8%から2020年12月期は5.0%と営業利益率の改善がみられる。フリーCFは売上債権の増加、投資額の増加が大きかった2016年12月期を除きプラス。自己資本比率は長期にわたり80%台を維持している。