2930 北の達人の業績について考察してみた

2930 北の達人の業績について考察してみた

PERAGARU管理人

北の達人の事業概要

同社は2000年5月に代表取締役社長木下勝寿氏によって、北海道特産品のインターネット販売を目的とするウェブサイト「北海道・しーおー・じぇいびー」を設立。その後2002年5月1日に信用力の向上を目的に株式会社北海道・シーオー・ジェイビーを設立した。2007年には、健康美容商品販売の総合サイト「カイテキフレンドクラブ(現「北の快適工房」)」を開設し、2009年に商号を現在の「株式会社北の達人コーポレーション」に変更。2011年に北海道特産品販売サイトを売却し、健康美容商品等の販売にシフトする。2012年5月に札幌証券取引所アンビシャス市場に上場、翌年に札幌証券取引所本則市場に市場変更する。2014年に東京証券取引所第二部に上場し、翌年には第一部に指定される。その後、台湾支社、韓国連絡事務所を開設するなど海外展開も。従業員数は143名である。(2020年5月期現在)。

同社の株主構成(2020年8月31日現在)は、木下勝寿(51.85%)、株式会社日本カストディ銀行(4.08%)、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン140051(3.54%)、バンク・オブ・ニューヨーク133652(2.49%)、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(1.54%)、木下浩子(1.20%)、ステイト・ストリート・バンク・アンド・トラスト・カンパニー505038(1.20%)である。

同社の取締役は9名、社外取締役は2名、監査役は3名であり、監査役会設置会社である。男性7名、女性2名で構成されている。

同社代表取締役社長の木下勝寿氏は1968年10月12日に神戸で生まれた。幼いころから「独立して自分の事業を興したい」という夢を持ち、1992年に起業家を多数輩出していることで知られるリクルートに入社。5年間のリクルートでの経験から日用販売業で独立したものの、目先の売上に目を奪われ、2年間で事業継続を断念。その経験から自らの思いと顧客満足度を重視する路線に転換。2002年に同社設立。インターネットによる北海道特産品の通販サイトが成功するものの、他の事業者にサイトを真似され、業績が伸び悩む。ここから誰にも真似できない商品を提供する路線にシフトする。北海道特産品販売サイトは売却(2011年2月)。同社の経営理念を「おもしろい」をカタチにして、世の中をカイテキにする達人集団と設定し、社名も北の達人コーポレーションへと変更。2015年には東京証券取引所第一部に指定される。

同社の報告セグメントはEコマース事業のみの単一セグメントである。2016年2月期の売上高は2,222百万円で2020年2月期の売上高は10,093百万円と4年間で約4.5倍と同社の成長力が見て取れる。一方新型コロナウイルスの影響で昨年の第2四半期累計期間の売上高5,055百万円に対して、今年の第2四半期累計期間の売上高は4,592百万円と売上高の伸びは例年よりも鈍化している。

※北の達人コーポレーションHPより(https://www.kitanotatsujin.com/ir/highlight/#anc_01)

Eコマース事業

同社は2007年から、一般消費者向けに自社オリジナル健康美容商品等を販売するEコマース事業を営んでいる。同社の強みは顧客満足度を重視したモンドセレクションを多数受賞するほどの高品質商品にある。750の品質チェックを通過したものだけが商品化される。

※北の快適工房HPより(https://www.kaitekikobo.jp/concept/)

高品質の商品でリピーター獲得を狙い、そのリピーターからの収益構造を確立するために定期購入型のビジネスモデルを採用している。定期顧客の継続率を高めるための取り組みもしており、解約者の中には商品の誤った使用法をしていたことからスタッフの知識向上、電話の対応品質向上を図り、専門の窓口を開設。開設後の定期コース希望者が開設前の8.0%から14.1%へと上昇した。こうした高品質の商品と顧客満足度を追求した姿勢から売上高の約7割を定期顧客が占めており、安定した収益構造を形成している。Eコマース事業は参入障壁が低いため、他社との競争が激化しやすいが、他社の追随を許さない高品質独自ブランド商品と定期購入型という仕組みによって安定した収益を確保できていることは強みである。また同社は従来「1商品で10億から20億の売上高を目指せるニッチマーケット商品」を中心に展開してきたが、今後は「高い利益率を維持したまま1商品で50億から100億規模の売上高を目指せるマーケット」に向けた商品開発をする旨を表明しており、今後の業績の岐路に立っているといえる。
Eコマース事業は広告宣伝費がかさむ傾向があるが、同社の更なる規模を目指す方針では従来の定期顧客に目を向けていく方針よりは新規顧客獲得のための広告宣伝費が従来よりもかさむ可能性がある。同社に蓄積された膨大なデータから広告宣伝費を抑えたうえで効率的に新規顧客を獲得することを目的とした広告システムを開発・管理しているが、前述した路線の変更や海外展開など不透明な要素があることも否めない。

競合他社のファンケル(4921)、ティーライフ(3172)と比較するとファンケルは営業利益率が11.1%(2020年3月期)、ティーライフの営業利益率が4.7%(2020年7月期)であるが、同社は営業利益が28.9% (2020年2月期)と驚異的な高さである。同社はROEを極めて重要な指標と認識しており、ROEに関して同社は41.5%であるが、ファンケルは14.7%、ティーライフは8.5%となっている。