7917 藤森工業の業績について考察してみた

7917 藤森工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1936年11月に東京で株式会社藤森工業所を設立、防湿防水紙などの製造を行う。1944年3月には藤森工業株式会社に商号変更。1956年5月、米国からポリエチレンラミネーターを導入し、ポリエチレン加工紙「ポリラップ」の製造を開始。1990年3月より、マレーシア、タイ、中国、米国等へ進出。1993年10月、日本証券業協会へ店頭登録。2002年12月に東証二部上場、2004年3月には同一部へ市場変更。食品用ラップフィルム、パウチを始めとする包装材料を中心に、液晶ディスプレイなどの製造工程に使用される偏光板用プロテクトや、層間絶縁フィルムなどの情報関連機器用材、建築資材やトンネル用材などの多様な樹脂製品の製造・販売を事業とする。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末時点での筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口で6.9%保有。次いで、株式会社日本カストディ銀行信託口が6.2%保有。以下は5%未満の保有率で、国内外の金融機関の信託口や、個人などが続く。取締役2名を含む創業者一族と見られる4名の保有率は、合わせて11.2%。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は11名(社内8名、社外3名)、うち3名は監査等委員(全員社外)、監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役5名は全員プロパー、取締役の下田拓氏は、代表取締役会長の藤森明彦氏の娘婿である。社外取締役には、第一三共株式会社顧問、香港上海銀行OB、日本銀行OBが就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は3名。代表取締役会長の藤森明彦氏は1944年1月生まれ。東京農工大学卒業後、コロンビア大学へ留学。1969年8月に入社。代表取締役専務、代表取締役社長などを経て2013年10月より現職。創業者である藤森彌彦氏から、俊彦氏、行彦氏、明彦氏の4代目社長であったとみられる。
代表取締役副会長の藤森伸彦氏は1959年7月生まれ。1987年1月、同社の印刷工程外注先であるニッカ株式会社入社。2002年6月、同社代表取締役副社長に就任。2014年6月より現職。なお、藤森姓のため創業一族とみられるが、同氏と明彦氏の血縁関係については不明。
代表取締役社長の布山英士氏は1954年2月生まれ。1977年4月に入社。常務取締役、専務取締役などを経て2013年10月より現職

報告セグメント

「ライフサイエンス」、「情報電子」、「建築資材」の3セグメントで構成される。2021年3月期の売上高117,250百万円の構成比は、ライフサイエンス48.1%、情報電子35.5%、建築資材16.4%であった。また、同期のセグメント利益10,286百万円の構成比は、ライフサイエンス36.7%、情報電子44.1%、建築資材19.2%であった。ライフサイエンスと情報電子が2本柱となる。なお、売上高の地域別構成比は、日本70.1%、アジア26.6%、その他3.2%と、日本国内が主力市場である。

事業モデル

ライフサイエンスセグメントの製品分野は、用途別に「医薬・医療」、「日用品」、「食品」に細分される。医薬・医療用途は医薬品用包装材料であり、誤飲時のダメージ軽減を図ったソフトPTPシート「やわらかプスパ」、連通式複室容器、医薬品製造用シングルユース製品などが主要製品となる。日用品用途は、液体洗剤やシャンプー等の詰替え用スタンディングパウチを始めとするパウチ梱包材などが該当する。食品用途はレトルト食品用パウチの他、業務用飲料等の容器に使用される「キュービテーナー」、「Zテーナー」なども扱う。
情報電子セグメントは「ディスプレイ部材」、「モビリティ部材」、「電子部材」に分類される。ディスプレイ部材は、超ハイクリーンに製造する保護フィルム、耐屈曲、拡散などの付加機能を与えた粘着フィルムなどを提供する。モビリティ部材は、金属とプラスチックなど異種材料を接合する接着フィルムや、防水、保冷保温素材を使用した製品を提供。電子部材は、IoTや5Gなどに求められる先端材料を提供するために、開発段階から顧客を支援。
建築資材セグメントは、保冷保温シート「ハイピー」シリーズ、不燃シート「フジエース」、トンネル用防水シート「FFシート」などを扱う。

2021年3月期決算説明会資料 p.7

競合他社

7864 (株)フジシールインターナショナル(売上高163,636百万円)がパウチ等で競合するほか、3407 旭化成(株)(売上高2,106,051百万円)などの化学大手も梱包材等で競合し得る。

連結の範囲

同社グループは、同社及び子会社14社(うち連結子会社12社)で構成される。連結子会社のうち、樹脂等の仕入れ、土木資材・梱包材等の販売を担当するフジモリ産業株式会社は、売上高の連結売上高に占める割合が10%を超える(24.5%)

強み・弱み

営業・研究・製造が三位一体となった製品開発体制は、市場や顧客のニーズへ迅速に対応する上で有利。一方で大手から中小まで多様な企業が参入している業界のため、価格競争や技術競争の結果、シェアを失うリスクがある。

KPI

生産実績、仕入実績、受注実績などはKPIとみなせる。
・生産実績(2021年3月期)
ライフサイエンス:45,176百万円(前期比+0.1%)
情報電子:42,160百万円(前期比+12.5%)
建築資材:7,637百万円(前期比▲5.3%)
・商品仕入実績(同上)
ライフサイエンス:11,335百万円(前期比+3.5%)
情報電子:95百万円(前期比▲83.5%)
建築資材:11,556百万円(前期比+1.3%)
・受注高(同上)
ライフサイエンス:55,870百万円(前期比▲4.2%)
情報電子:40,683百万円(前期比+5.0%)
建築資材:22,544百万円(前期比+20.6%)
・受注残高(同上)
ライフサイエンス:11,684百万円(前期比▲4.2%)
情報電子:2,871百万円(前期比▲24.2%)
建築資材:10,027百万円(前期比+48.4%)

業績

売上高、経常利益とも順調に拡大。2021年3月期は、売上高117,250百万円(前期比+2.6%)、営業利益10,286百万円(前期比+16.1%)、経常利益10,708百万円(前期比+18.2)となった。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。直近決算期の自己資本比率は61.8%。