4022 ラサ工業の業績について考察してみた

4022 ラサ工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

農商務省出身の恒藤規隆氏が、1906年に沖大東島(別名ラサ島)にリン酸系肥料の原料となるリン鉱石を発見し、1911年2月にその採掘及び肥料の生産を目的としてラサ島燐砿合資会社を設立。1913年5月株式会社化、1919年8月東証上場、1934年3月現商号のラサ工業株式会社へ改称。1941年5月、産業機械製造事業へ進出。1954年4月に化成品部門を設立し、順次リン及びその化合物、水処理凝集剤、金属表面処理剤の製造開始。1972 年 4 月、高純度リンを電子材料向けへ提供開始、以降ガリウム、シリコンウェハーなどの電子材料へも注力。一方で、祖業であった鉱山事業ならびに肥料事業からは、1971 年 12 月ならびに1983 年 4 月にそれぞれ撤退した。現在は、化成品事業、機械事業、電子材料事業を3本柱としている。

株主構成

有価証券報告書によると、2020年9月末時点での筆頭株主は株式会社日本カストディ銀行信託口で9.23%保有。次いで日本マスタートラスト信託銀行信託口が4.98%。その他は、5%未満で同社取引先持株会が4.53%、以下信託銀行信託口や機関投資家などが続く。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は11名(社内7名、社外4名)、うち4名は監査等委員(全員社外、2名は常勤)、監査等委員会設置会社である。代表取締役を含む社内取締役は7名中6名がプロパー。社外取締役は金融関係中心に、大手企業出身者で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の坂尾耕作氏は1958年12月生まれ。関西大学を卒業後、1983年4月入社。取締役電子材料事業部長などを経て2019年6月より現職
代表取締役常務の安西司氏は1957年6月生まれ。明治大学を卒業後、1981年4月入社。取締役化成品事業部長などを経て2020年6月より現職

報告セグメント

「化成品事業」、「機械事業」、「電子材料事業」の3セグメントで構成。決算短信によると、2021年3月期第3四半期の売上高21,020百万円の構成比は、化成品事業が16,020百万円で76.2%、機械事業が2,862百万円で13.6%、電子材料事業が1,261百万円で6.0%、報告セグメント以外のセグメントが、874百万円で4.2%であった。また、同期の全社費用等調整前のセグメント利益2,420百万円の構成比は、化成品事業が1,478百万円で61.1%、機械事業が96百万円で4.0%、電子材料事業が300百万円で12.4%、報告セグメント以外のセグメントが、544百万円で22.5%。なお、連結営業利益は1,727百万円であった。売上高、セグメント利益ともに化成品事業の構成比が高い。

事業モデル

主力は化成品事業であり、同社の原点であるリン系製品を柱に、酸・アルカリその他無機化学系材料を製造する。中でも半導体や液晶に使用される高純度品は付加価値が高いため、近年注力。長年のノウハウと原料から製品を一貫して管理・製造できる供給体制の強みにより、半導体グレードのリン酸ではアジア市場で大きなシェアを占める。昨今の消臭ブームに乗り、「シュークレンズ」シリーズなどの消臭剤や、機能性肌着への採用実績を持つ消臭機能材料の製造なども行っている。

化成品事業のモデル(公式ウェブサイト内「事業・製品情報」)

機械事業は、かつての鉱山事業で培った技術をベースに、掘削や破砕・選別などさまざまな機械を提供。掘進機は、約35年前から国内で上下水道の整備などに活用され、近年では米国をはじめ、中国、東南アジア、中東などにも採用が広がる。その他には、破砕・粉砕技術を持ち、カレー粉やそば粉、小麦粉など食品分野で高い実績を有す他、農業残渣「もみがら」を粉砕燃料にする設備から熱利用装置を含めた一貫システムを提供するなども行う。
電子材料事業も化合物半導体の原材料となる高純度無機素材を中心に、半導体あるいは液晶パネル製造工程で使用されるレジスト剥離剤や塗布剤などを供給する。

競合他社

4042 東ソー(株) 年間売上高786,083百万円(2020年3月期)で、競合する「クロル・アルカリ事業」の売上高は297,400百万円。また、連結子会社の燐化学工業(株)はリン酸製品、金属表面処理剤、水処理剤で競合。
4023 (株)クレハ 年間売上高142,398百万円(2020年3月期)。酸・アルカリ製品の分野で競合する「化学製品事業」は売上高24,331百万円
なお、同社の年間売上高は29,759百万円(2020年3月期)。

連結の範囲

同社グループは、同社、子会社4社及び関連会社4社で構成される。うち、半導体・液晶用の高純度リン酸の製造販売及び国際貿易などを担当する理盛精密科技股份有限公司については、売上高の連結売上高に占める割合が10%を超えている。

強み・弱み

原料から製品を一貫して管理・製造できる供給体制は強み。半導体グレードのリン酸のようにアジア市場で大きなシェアを占める製品をもつことや、グローバルな採用実績を有する製品を持つ点も強み。一方で、半導体不況のため2020年3月期には電子材料事業が大幅減収となるなど、変動幅の大きい半導体市況の影響を強く受ける点は弱みとなり得る。

KPI

セグメント別の売上高が主要なKPIとみられる。セグメント別に見ると、機械事業が前期比プラスの他は前期比マイナスで、特に電子材料事業は前期比▲38.9%と落ち込みが大きかった。

業績

売上高はほぼ順調に増加してきたが、営業利益、経常利益ともに2018年3月期をピークに2期連続減益。2020年3月期は、営業利益1,871百万円(前期比▲27.3%)、経常利益1,726百万円(前期比▲34.1%)。恒常的に営業CFはプラスで投資CFはマイナスで推移。直近決算期の自己資本比率は41.8%。