4980 デクセリアルズの業績について考察してみた

4980 デクセリアルズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1962年3月東京都にてソニー株式会社がプリント基板国産化を目指し基板に使用する銅箔製品や工業用接着剤を製造販売するソニーケミカル株式会社を設立。1987年7月東証二部上場。2000年1月ソニー株式会社の構造改革により株式上場廃止、ソニー株式会社の100%子会社となる。2012年9月ソニー株式会社の事業ポートフォリオ改革の一環として、日本政策投資銀行およびユニゾン・キャピタルがアドバイザー等を務めるファンドが出資した株式会社VGケミカルの完全子会社となる。2013年3月同社を吸収合併し、株式会社VGケミカルはデクセリアルズ株式会社に商号変更、形式上の存続会社となる。2015年7月東証一部上場電子部品、接合材料、光学材料等のメーカーでニッチな部材に強い

デクセリアルズ統合レポート2020

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合13.85%。4204積水化学工業が5.72%、SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNTが5.21%で続き、以降は保有割合5%未満で7912大日本印刷、国内信託銀行信託口、海外金融機関が名を連ねる。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)、うち監査等委員は3名 (社内1名、社外2名)、監査等委員会設置会社である。代表権を持たない取締役、桑山氏はソニー株式会社出身。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名代表取締役社長(社長執行役員)の新家由久氏は1969年7月生まれ。近畿大学大学院修了。終了直後の経歴は不明も、2001年7月同社の前身ソニーケミカル株式会社入社。オプティカルソリューションプロダクツ事業部やオートモーティブソリューション事業部等で要職を歴任後、2019年6月より代表取締役を務める
代表取締役(専務執行役員)の佐竹俊哉氏は1959年6月生まれ。中央大学卒業後、現在の日本政策投資銀行に入行。同社へは2014年4月顧問として入社し、常勤監査役を経て、2019年6月より代表取締役を務める

報告セグメント

光学材料部品および電子材料部品の2報告セグメントに大別される。売上高、利益ともに各事業で概ね半分ずつを占めている。

事業モデル

光学材料部品事業では反射防止フィルム等を取り扱う光学フィルム、光ディスク用の表面保護に用いられるコーティング剤や樹脂粘着剤などを取り扱う光学樹脂材料、車載ディスプレイ等の材料を取り扱う光学ソリューションに分類される。全て顧客仕様にあわせたカスタマイズの上で、液晶パネルメーカーやセットメーカー等に販売している。主にスマートフォン、タブレット、パソコン、自動車向けディスプレイに対応している。

2022年3月期第1四半期決算説明資料

電子材料部品事業は同社の主力製品でスマートフォン、タブレットPCの小型化、薄型化に寄与する異方性導電膜のほか、接合関連材料、表面実装型ヒューズ、マイクロデバイスに分類される。カスタマイズ製品および汎用製品を取り扱い、電子部品メーカーや材料加工メーカー等に販売している。
2022年3月期第2四半期決算説明資料

大口取引先は6988日東電工で2021年3月期は売上高の19.0%を占めた。生産は国内の栃木事業所、鹿沼工場をはじめとする国内外6拠点で行う。
同社製品が関わるコンシューマーIT製品市場では、スマートフォンの鈍化傾向が継続する中でも、5G対応端末は拡大、またコロナ禍においてノートPCやタブレットへの需要が拡大した。

競合他社

光学フィルムを取り扱う4205日本ゼオン(2021年3月期売上高301,961百万円)、光学用透明粘着剤事業を育成中の5195バンドー化学(2021年3月期売上高81,371百万円)や、カーナビ向けタッチパネル用透明導電膜が主力の6907ジオマテック(同6,306百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社11社をもつ。国内の製造子会社、米国、中国の製造販売子会社およびオランダ、韓国、台湾、シンガポール、中国の販売子会社で構成される。

強み・弱み

高い参入障壁と市場シェアを維持する製品をもち、安定した収益性を実現していることが強み。一方で海外展開(2021年3月海外売上高比率65.1%)によるカントリーリスクや為替リスク、ディスプレイ製品への高依存などがリスク要因となる。また年末年始や中国の春節等の商戦期に向けて当該最終製品の生産が本格化する第2四半期から第3四半期に業績が偏重する傾向にあり、是正のため同社グループは季節的変動の少ない自動車領域等の売上拡大に取り組んでいる。

KPI

①モバイルIT製品市場動向(ノートPC、タブレット、スマートフォン)
②車載ディスプレイ市場(2023年1.7億枚、同社中計)
③為替レート(台湾ドル、中国元、米ドル等)

業績

スマホ市場の成熟化や米中貿易摩擦の影響などを受けて売上高は頭打ち感がみられていたが、2021年3月期は5G対応端末やノートPC、タブレットの需要旺盛で前期比+14.0%の増収。営業利益率は2017年3月期以降5%台~8%台だったが、生産拠点の見直しなど生産性の向上や事業ポートフォリオの見直し等により2021年3月期は17.2%に向上した。フリーCFは概ね毎期プラス。自己資本比率は50%台で推移