4633 サカタインクスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1896年11月、個人商店 阪田インキ製造所として大阪で創業し、新聞インキの製造・販売を開始した。1911年に日本初の「アマニ油製印刷インキ用ワニス」の工業化に成功、主要事業のひとつとなる。1920年、株式会社に改組。1979年、台湾での合弁会社設立によって海外進出を果たす。1987年10月にサカタインクス株式会社へと商号変更をおこなう。翌1988年12月、東証一部に上場。1980年代より欧米をはじめインド、中国などアジア諸国に進出しており、2016年にはブラジルの有力インキメーカーを買収した。国内インキメーカーの3番手

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は東洋インキSCホールディングス株式会社で14.43%を保有する。続いて信託銀行の信託口があわせて15.77%を保有。そのほか国内外の信託銀行等の信託口や、生保銀行などの金融機関を中心に、サカタインクス社員持株会2.76%、株式会社朝日新聞2.02%などが名を連ねる。なお外国人保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は4名(社内・社外とも各2名、社内2名は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー社員とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の上野吉昭氏は1961年12月生まれ。京都工芸繊維大学 繊維学部を卒業後、同社に入社した。研究開発本部 第二研究部長、研究開発本部 第三研究部長を経て、2014年に取締役および研究開発本部長に就任。2021年3月より現職を務める。技術系からの代表取締役は3代連続になるが、営業や海外駐在を経ない、純粋な研究職出身者の就任は上野氏が初である。

報告セグメント

「印刷インキ・機材(日本)事業」、「印刷インキ(アジア)事業」、「印刷インキ(米州)事業」、「印刷インキ(欧州)事業」、「機能性材料事業」の5報告セグメントに大別される。同社の主力である印刷インキ事業については地域別でセグメントを分けている。2020年12月期のセグメント合計売上高152,187百万円の構成比は「印刷インキ・機材(日本)事業」が31.6%、「印刷インキ(アジア)事業」が21.4%、「印刷インキ(米州)事業」が32.5%、「印刷インキ(欧州)事業」が6.7%、「機能性材料事業」が7.8%を占めている。なお、その他に日本における化成品事業やディスプレイサービス事業及び色彩関連機器事業等をその他としており、調整額も加えた連結財務諸表計上額は161,507百万円であった。
セグメント利益は日本が983百万円、アジアが2,451百万円、米州が2,953百万円、欧州が▲432百万円、機能性材料が481百万円、その他と調整額を加えて連結営業利益は7,212百万円であった。

事業モデル

4つの報告セグメントに共通する「印刷インキ事業」では日本、アジア、米州、欧州の各市場に向けてフレキソインキ、グラビアインキ、メタルインキ、新聞インキ、オフセットインキなど各種インキの生産・販売をおこなう。同社のインキは段ボールを中心とする紙パッケージ、ペットボトルのラベルといった食品パッケージ、新聞や雑誌など紙媒体メディアに使われている。したがって得意先は流通大手や食品メーカー、新聞社、商業印刷分野と幅広い。同事業は日本およびアジア、米州、欧州あわせて20の国と地域で展開。現地生産・現地販売の体制をとっている。海外においてはアルミ缶用インキで高いシェアを持ち、とくにアメリカでトップシェアを誇る。
「機能性材料事業」では同社の技術を応用し、産業用インクジェットインキやトナー、液晶パネルのカラーフィルター用顔料分散液の研究・開発をおこなう。
なかでも、主力であるパッケージ関連用の印刷インキは食品や衛生用品など生活必需品に使われることから、環境配慮型製品をはじめとして市場は中長期的に拡大傾向にある。
東京、大阪、滋賀、羽生(埼玉県)に国内工場、米国に4工場及び研究設備、中国2工場、バングラディッシュ1工場の生産設備を有する。
商業印刷の分野を見ると、新興国では経済発展と識字率の向上にともない、紙媒体用インキの需要は増加。競争が激化している。しかし先進国ではデジタル化の加速により、紙媒体用インキの需要は低迷。中長期的に見れば新興国でもデジタル化が進むと予測され、紙媒体用インキ市場は先細りと考えられる。機能性材料事業がターゲットとする「デジタル印刷」市場は、「デジタル印刷」という物理的な「版」を必要とせず、データから直接印刷できる印刷技術を用いる利便性の高さから印刷業界で注目を集め、国内外で市場は拡大傾向にある。

競合他社

おもなインキメーカーの2020年度売上高を比較すると、4631DICが701,200百万円で世界規模のトップ企業。次いで4634東洋インキSCHLDが257,675百万円。同社は161,507百万円で3位に位置する。続く4116大日精化工業は売上高138,491百万円となっている。なお同社は東洋インキの大株主であり、2000年に資本業務提携契約を結んでいる。

連結の範囲

同社グループは、同社および連結子会社25社、持分法適用会社4社から構成される。国内に5社、海外に24社である。24社のうち、22社は印刷インキ事業と機能性材料事業のどちらか、または両方を営む。地域別に見ると米州4社、欧州6社、アジア10社、その他2社。アメリカで印刷インキ事業と機能性材料事業を手がける1社の売上高は連結売上高の10%以上を占める。

強み・弱み

植物由来成分を使用したボタニカルインキや、人体への影響がより少ない材料を使用したインキといった環境配慮型製品が強み。世界的な環境対応ニーズの高まりを背景に、国内外からの需要はすでに増加しており、引き続き市場の拡大余地が大きい。一方で印刷インキをはじめ同社製品の原材料は石油化学製品への依存度が高い。したがって原油価格の影響を大きく受ける点が懸念される。この懸念材料を軽減するために、原材料のグローバル調達や生産性の向上といった取り組みを強化している。

KPI

市場拡大余地の観点から、印刷インキ(アジア)事業の売上高機能性材料事業の売上高はKPIとなりうる。それぞれ2020年12月期の数値を示す。
①印刷インキ(アジア)事業 売上高:32,597百万円(前期比-7.6%)
②機能性材料事業 売上高:11,844百万円(前期比-4.9%)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は2020年12月期に減収となったものの堅調に増加し、151,198百万円から161,507百万円へ+6.8%となった。一方、経常利益は原材料高の影響で2018年12月期に6,910百万円まで落ち込んだ。しかし2020年12月期は7,789百万円と12.7%戻し、5年間で▲34.4%となった。生産設備を抱えており、投資CFは恒常的にマイナス、営業CFは5期連続プラスで推移している。

同社HP トップ>株主投資家の皆様へ>投資家の皆様へ>業績・財務データ