7928 旭化学工業の業績について考察してみた

PERAGARU管理人

旭化学工業の事業概要

・沿革
同社は1962年9月にプラスチックの射出成形を目的とし事業を創業、1966年9月に法人化した。1969年9月に㈱マキタと取引開始、電動工具成形品の生産を始めた。業容拡大のため、1978年には愛知県安城市に工場を新設(後に本社移転)、また中国、タイ王国に連結子会社を設立している。2004年12月にはジャスダック証券取引所に上場した。
・株主構成
筆頭株主は同社取締役の杉浦武氏で13.68%を保有する。次点で同社創業者の杉浦求氏13.19%、旭化学工業取引先持株会6.78%と続く。
・取締役会構成
同社取締役会は社内4名で構成され、うち2名は創業家の杉浦一族。全員内部昇格により就任しており、2名は営業畑出身、残り2名は製造、生産管理部門を歴任した。
・代表取締役の経歴
代表取締役の杉浦武氏は1967年6月生まれ。函館大学商学部卒業後、同社へ入社。以降、製造、生産管理、海外事業を担当している。2002年11月には常務取締役、2010年11月には代表取締役社長に就任した。
・報告セグメントと事業の構成
同社グループは、プラスチック製品の成型加工事業の単一事業であるが、生産・販売体制を基礎とした「日本」、「中国」、「タイ」、の3報告セグメントで構成される。2020年8月期のセグメント別売上高構成割合は、「日本」50.3%、「中国」43.5%、「タイ」6.2%だった。
・競合他社
東証1部上場の三光合成(直近決算期売上高507億円)、東証2部上場の児玉化学工業(同179億円)、及びジャスダック上場のタカギセイコー(同470億円)等は事業内容が近く、競合と言える。
・連結の範囲
連結子会社は2社存在し、それぞれ中国及びタイにて、親会社と同じプラスチック製品の成型加工事業を展開している。

プラスチック製品の成型加工事業

・事業モデル
同社及び連結子会社は、共にプラスチック製品の成型加工及び樹脂成型用金型の設計製作を主な事業としている。同社は国内ユーザーを顧客とし、連結子会社2社はそれぞれ海外ユーザー(国内顧客の海外現地法人)を顧客としている。直近決算期の個社別販売実績は、総合電動工具メーカーのマキタが55.9%(海外現地法人含む)、自動車向け製品等を製造するイノアックコーポレーションが29.5%を占める。

同社が主に生産する機械器具・部品のプラスチック製品販売としてはおよそ1.2兆円前後の市場規模がある。近年は回復基調がみられていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大により再度の落ち込みが懸念される。

・強みや弱み
電動工具の大手メーカーであるマキタが50年以上取引のある親密先であり、一定の需要が見込めることが強みと言える。一方で同社販売先は電動工具業界及び自動車業界に依存しているため、今後の業容拡大、収益安定化のためには上記特定業界以外の開拓、販売増加を図る必要があると考える。
・KPI
得意先のマキタ及びイノアックコーポレーションからの受注額及び受注残高が同社のKPIと考える。また将来的な業容拡大のためには、新規受注先件数も重要だ。
・懸念点
先述の通り、個社別販売実績が上位2社で85%以上を占めるため、当販売先の業績や業界動向に同社も大きく左右される。また、業界全体としては製品の差別化や、多品種大量生産に対応するため多額の設備投資を行う傾向にある。同社も中国工場の設備更新を控えており、コロナウイルス感染症が業界全体に与える影響が長引かないか注視されたい。
・業績の進捗
直近2020年8月期の売上高は76.7億円(前期比▲8.4億円)。前期までの3年間は増収基調(62.9億円→85.1億円)だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による受注減少や、一部の部品供給がストップしたことにより一転減収となった。営業CFは直近5年間プラスで推移。2020年8月期の営業CFは4.6億円(前期比+2.6億円)。受注減少を受けたとみられる売上債権の減少額が3.2億円に上ったことが主因で前期比大幅増となった。