1720 東急建設の業績について考察してみた

1720 東急建設の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2022.06 61,468 -517 -0.84%
FY2023.Q2 2022.09 67,374 683 1.01%
FY2023.Q3 2022.12 72,177 1,550 2.15%
FY2023.Q4 2023.03 87,848 3,391 3.86%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 94,458 5,285 5.6%
FY2018.Q1 2017.06 55,004 3,079 5.6%
FY2018.Q2 2017.09 70,934 4,915 6.93%
FY2018.Q3 2017.12 83,138 7,749 9.32%
FY2018.Q4 2018.03 111,635 5,673 5.08%
FY2019.Q1 2018.06 61,131 3,653 5.98%
FY2019.Q2 2018.09 93,566 7,244 7.74%
FY2019.Q3 2018.12 75,119 5,375 7.16%
FY2019.Q4 2019.03 101,621 5,715 5.62%
FY2020.Q1 2019.06 78,722 6,636 8.43%
FY2020.Q2 2019.09 104,693 9,684 9.25%
FY2020.Q3 2019.12 64,775 1,525 2.35%
FY2020.Q4 2020.03 73,980 2,470 3.34%
FY2021.Q1 2020.06 42,684 34 0.08%
FY2021.Q2 2020.09 52,739 1,158 2.2%
FY2021.Q3 2020.12 59,244 924 1.56%
FY2021.Q4 2021.03 76,816 1,433 1.87%
FY2022.Q1 2021.06 56,333 -67 -0.12%
FY2022.Q2 2021.09 55,281 -7,085 -12.82%
FY2022.Q3 2021.12 69,682 2,170 3.11%
FY2022.Q4 2022.03 76,787 -1,096 -1.43%
FY2023.Q1 2022.06 61,468 -517 -0.84%
FY2023.Q2 2022.09 67,374 683 1.01%
FY2023.Q3 2022.12 72,177 1,550 2.15%
FY2023.Q4 2023.03 87,848 3,391 3.86%

沿革

1945年9月に東京急行電鉄が社内に臨時戦後復興委員会を設置し、東急事業団として建設会社を検討し、1946年に設立された東京建設工業株式会社が同社の起源である。1954年8月に東急不動産株式会社と合併し、同社の建設工業部となったが、1959年には東急建設株式会社として分離。2003年4月TCホールディングズ株式会社を設立。2003年10月TCホールディングズ株式会社は(旧)東急建設の建設事業部門を承継し、社名を東急建設株式会社に変更。同時に、株式を承継することにより、東建産業株式会社、田園都市設備工業株式会社、東急リニューアル株式会社を連結子会社とした。同月、東証一部に上場。建設事業を中心に営む。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、東急株式会社が14.67%を保有。次いで、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が5.33%、みずほ信託銀行株式会社 退職給付信託 大成建設口 再信託受託者 株式会社日本カストディ銀行が3.82%、株式会社日本カストディ銀行(三井住友信託銀行再信託分・東急株式会社退職給付信託口)が3.36%と並ぶ。そのほかに、清水建設株式会社、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社、株式会社三菱UFJ銀行などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は10名(社内6名、社外4名)、監査役は5名(社内2名、社外3名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役4名のうち3名がプロパー、1名は東京急行電鉄株式会社(現東急株式会社)の出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の寺田光宏氏は1957年3月生まれ。徳島大学を卒業後、同社に入社。2012年6月に取締役常務執行役員へ就任し、土木本部長なども務める。2019年6月に現職へ就任。
代表取締役副社長執行役員の高木基行氏は1955年11月生まれ。東京理科大学を卒業後、同社に入社。建築本部長などを務め、2016年6月に取締役常務執行役員へ就任。2020年4月に現職へ就任。

報告セグメント

「建設事業(建築)」、「建設事業(土木)」、「不動産事業等」の3報告セグメントに大別される。2022年3月期第1四半期の売上高56,333百万円の構成比は、建設事業(建築)76.3%、建設事業(土木)22.6%、不動産事業等1.1%である。セグメント利益(又は損失)は、建設事業(建築)1,940百万円、建設事業(土木)▲710百万円、不動産事業等139百万円であり、調整額▲1,436百万円を差し引いた営業損失は▲67百万円であった。

事業モデル

建設事業(建築)では、商業施設・ホテル・事務所・住宅・工場・病院・物流センター等の構築、リニューアル事業、木造建築事業等を行っており、多摩田園都市開発や渋谷再開発など、地域に密着したまちづくり事業を全国各地で展開している
建設事業(土木)では、鉄道・道路・トンネル・橋梁等の構造物の構築、震災復興事業等を行っており、暮らしの安全・安心を守り、国土の形成に関わるインフラ整備を行っている。また、環境関連分野にも積極的に取り組んでいる。
不動産事業では、賃貸事業、等価交換事業等を行っており、建築本業の特徴を活かした不動産の取得、賃貸事業を中心に、東急グループ各社と連携した沿線駅前等のエリア戦略などに取り組んでいる。
そのほか、東南・南アジアで鉄道・道路整備事業、高層建築、工場建設等の事業を展開する「国際事業」や、新たな事業領域としてPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)やコンセッション事業、パプリカ事業なども展開している。
今後の国内建設市場については、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるとともに、建設市場固有の課題として、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、高齢の建設就労者の大量退職による人材不足が深刻化することが予想されている。長時間労働の解消や働き方改革の実現等への対応が求められるなど、構造変革が迫られている。

競合他社

1821三井住友建設(直近決算期売上高421億円)、1833奥村組(直近決算期売上高2,207億円)、1820西松建設(直近決算期売上高3,362億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、東急グループの構成員として開発事業の分野を担い、同社、子会社12社、関連会社6社で構成され、建設事業を中心に事業を展開している。

強み・弱み

国内での鉄道工事や東急沿線の都市開発で培ってきたノウハウや、土木・建築の垣根を超えたチームワークが強み。景気変動による国内建設市場の縮小、資材・労務価格等の急激な変動が発生した場合、売上高の減少や工事採算の悪化等が懸念される。

KPI

2030 年の同社グループ企業ビジョン「VISION2030」達成に向けた、10 ヵ年の「長期経営計画 “To zero, from zero.”」によると、以下の指標をKPIとしている。
①営業利益
②営業利益率
③ROIC
④ROE
⑤D/Eレシオ
⑥自己資本比率
⑦従業員エンゲージメントレーティング
⑧GHG排出量

長期経営計画 「To zero, from zero.」の策定について

業績

2018年3月期から2020年3月期の売上高は3,000億円を超え、経常利益も200億円を超えていたが、2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の影響で完成工事高が減少し、2017年3月期同様の2,000億円台前半まで売上高は減少し、経常利益は前期比▲77.7%の48億円であった。営業CFは期によってばらつきがあり、投資CFは恒常的にマイナス。2022年3月期第1四半期自己資本比率は47.2%。

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