1821 三井住友建設の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

旧住友建設株式会社は1876年3月住友別子銅山土木方として創業。1950年3月別子建設株式会社発足。1962年10月勝呂組と合併、住友建設株式会社に商号変更。株式は1962年6月東証二部上場、1963年9月大証二部上場、1965年8月両市場一部に変更となった。旧三井建設株式会社は1887年5月西本組として創業。1945年5月、8801三井不動産の資本参加に伴い三井建設工業株式会社に、その後1946年9月三建工業株式会社、1952年6月三井建設株式会社に商号変更する。1962年2月東証二部上場、1963年9月東証一部に変更。2003年4月三井建設株式会社と住友建設株式会社が合併、三井建設株式会社を存続会社とし、三井住友建設株式会社創立、大証一部へ上場も2008年5月大証の上場廃止、現在は東証一部に上場している。PC橋梁や超高層住宅などを手掛ける準大手ゼネコン

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)で保有割合7.39%。以降は保有割合5%未満で株式会社日本カストディ銀行(信託口)、8801三井不動産、8830住友不動産株式会社のほか、国内外の信託銀行や証券会社などが並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満。

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役は5名(社内2名、社外3名、3名は常勤)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役2名は三井建設株式会社の出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の新井英雄氏は1955年1月生まれ。東京大学を卒業後、住友建設株式会社に入社。その後2012年6月に同社取締役、2015年4月に代表取締役社長に就任。2021年4月より現職を務める
代表取締役社長の近藤重敏氏は1965年12月生まれ。東京大学を卒業後、住友銀行に入行。2017年同社入社、理事、企画部・関連事業部担当など要職を歴任の後、2021年4月より現職を務める
代表取締役副社長の三森義隆氏は1956年3月生まれ。京都大学を卒業後、住友建設株式会社に入社。その後2015年6月に同社の取締役に就任し、2018年4月より現職を務める
代表取締役副社長の君島章兒氏は1955年10月生まれ。慶應義塾大学を卒業後、1979年4月住友建設株式会社に入社。その後2013年6月に同社の取締役に就任し、2019年4月より現職を務める。

報告セグメント

「土木工事」、「建築工事」の2報告セグメントに大別され、2021年3月期の売上高421,619百万円の構成比は、土木工事44.1%、建築工事55.7%、その他0.2%。国内売上が約85%を占め、海外売上はフィリピン、インド、ベトナム、ミャンマーなどで計上。セグメント利益は、土木部門21,687百万円、建築部門16,972百万円、その他357百万円であり、調整額を差し引くと38,935百万円であった。

事業モデル

土木工事は、主に官公庁発注の工事(PC橋梁等)を施工している。PC橋梁以外にも、土地造成、山岳トンネル、RC構造物等さまざまな施工実績を有する。
2021年3月期における受注比率は、「補修・補強工事」が41%、同社の得意分野である「PC工事」が20%を占めている。インフラ老朽化を背景に市場規模は拡大傾向となっており、国土強靭化への取り組みを強化している。

2021年3月期通期決算説明会資料

建築工事は、主に民間企業発注の工事(超高層住宅等)を施工している。超高層住宅以外にも、さまざまな施工実績を有する。2021年3月期における受注比率は、同社の得意分野である「住宅」が31%、民間投資の旺盛な「倉庫・流通施設」が21%を占めている。コロナ禍を契機にEC市場が拡大し、物流倉庫マーケットも活況が続く中、同社の受注額も増加傾向にある。物流施設をはじめ、医療関連施設や超高層住宅にも注力するとしている。
海外現地法人をタイ、インド、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、台湾に持ち、アジア各地へ事業展開している。

2021年3月期通期決算説明会資料

競合他社

大小さまざまな総合建設会社(ゼネコン)が存在し、それぞれが競合となる。同社は、一般的に売上高3,000億円以上の「準大手ゼネコン」と言われるゼネコンに該当する。準大手ゼネコンの競合として、1808長谷工コーポレーション(2021年3月期売上高8,094億円)、1860戸田建設(同5,071億円)、1893五洋建設(同高4,710億円)などが挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社、子会社20社及び関連会社5社の計26社で構成され、土木工事及び建築工事を主な事業内容としている。

強み・弱み

PC(プレストレストコンクリート)技術を用いた橋梁施工などを得意とし、豊富な施工実績を有することが強み。三井、住友グループに属する唯一の建設会社であり、両グループからの受注も期待できる。 一方で地震・台風等の自然災害、戦争・疫病の発生等による社会的混乱、景気・相場変動による影響などが懸念される。また横浜市の三井不動産レジデンシャル(マンション)の杭工事の不具合問題により、施主である三井不動産レジデンシャルから約510億円の損害賠償請求(報道当時459億円から増額)を受けて係争中。損害賠償金額によっては最終赤字の計上、自己資本毀損の恐れがある。

KPI

2021年3月期におけるKPIは下記。
建設受注高3,164億円(前期比▲220億円)
完成工事高3,220億円(前期比▲473億円)
完成工事総利益265億円(前期比▲89億円)
工種別 受注比率

業績

2017年3月期から2021年3月期までの5期をみると、売上高は2020年3月期まで3期連続で合計17%増収も、2021年3月期は海外における建設計画の延期などから前期比▲10.7%の減収となった。営業利益は2018年3月期をピークに減益、営業利益率も同期の4.3%から2021年3月期は3.6%に低下しており、減収の影響の他、一部工事の採算低下などが要因とみられる。営業CFは期によって大きくばらつきがあり、投資CFは恒常的にマイナス。直近期の自己資本比率は27.2%