9474 ゼンリンの業績について考察してみた

9474 ゼンリンの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1974年3月福岡県北九州市にて株式会社善隣設立。1980年47都道府県の住宅地図出版。1983年7月株式会社ゼンリンに商号変更。1994年9月福証に、1996年9月東証二部に上場。2000年4月株式会社ゼンリンデータコム(連結子会社)を設立し、インターネット配信事業を開始。2006年3月東証一部に変更。唯一全国展開する住宅地図など断トツの地図情報を提供する会社

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、大迫キミ子氏が代表を務める有限会社サンワで保有割合9.54%。7203トヨタ自動車が7.73%、9432日本電信電話が7.60%、日本カストディ銀行の信託口が6.53%で続き、以降は保有割合5%未満で国内銀行信託口、ゼンリン従業員持株会、地銀、同社創業者および2代目社長大迫氏の関連会社と考えられる大迫ホールディングス株式会社、大迫キミ子氏が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は12名(社内8名、社外4名)、うち監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。社内取締役はプロパーのほか、現明治安田生命やみずほ銀行等の金融畑の出身者、6098リクルート出身者がいる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の髙山善司氏は1962年4月生まれ。西南学院大学卒業後、1986年4月同社入社。営業本部長等を歴任後、2008年4月より現職を務める。創業家2名、西日本シティ銀行出身者に次ぐ4代目で、初の同社生え抜きトップ

報告セグメント

位置情報サービス関連事業の単一セグメント。2022年3月期第1四半期売上高12,243百万円の内訳は、プロダクト事業27.8%、公共ソリューション事業8.8%、マップデザイン事業0.8%、オートモーティブ事業26.6%、IoT事業24.6%、マーケティングソリューション事業11.4%だった。利益の内訳は非開示。

事業モデル

日本全国で収集した地図情報をデータベース化し、多様なニーズに応じデータベースを最適化し地図情報として提供を行う。提供先は公官庁、各種業界向けBtoB、BtoCと幅広い。

初コンタクト資料(ゼンリンIRプレゼンテーション資料)

企業向けに住宅地図帳や住宅地図DBを活用した商品を提供するプロダクト事業、カーナビや自動運転関連ビジネスを行うオートモーティブ事業、インターネットサービスや位置情報サービス・ソリューションを提供するIoT事業、中央省庁、自治体向けの公共ソリューション事業など、事業領域はバランスよく分散している
初コンタクト資料(ゼンリンIRプレゼンテーション資料)

GISパッケージ(各種業態向けに最適化した地図情報アプリケーション)の販売などを通じストック型ビジネスの売上比率が高まり、2021年3月期ではプロダクト事業売上の4割を超える水準となった。
安全運転支援などの高度なモビリティ社会の到来、度重なる災害の発生などの環境変化により、地図の利用シーンも多様化している。AI・ビッグデータ・5G、CASE、クラウドサービスなどの技術革新や、あらゆるものがつながる高度なネットワーク社会が実現したことで、新たなサービスの創造が可能となり、大手IT企業等の参入が活発化、業界の競争は激化している。

競合他社

地図の企画販売を行う9475昭文社ホールディングス (2021年3月期売上高6,313百万円)、地図情報ソフトの受託開発、ライセンス販売を行う2303ドーン (2021年5月期売上高1,119百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社18社。主な子会社としてインターネット配信業務等を行う株式会社ゼンリンデータコム、海外にはアメリカ、ドイツ、中国、ブルガリアに拠点を持つ。

強み・弱み

唯一全国展開する住宅地図など他社の追随を許さないデータベースをもつことが同社の強み。国内カーナビ用データではシェア1位をもつ。一方で地図情報の更新等に毎期多額の整備コストを要すること、特定の自動車メーカーや通信事業者向けの売上高が高い割合を占めることが同社業績のリスクとしてあげられる。

KPI

①新車販売台数
②設備投資額、研究開発費、減価償却費(2021年3月期各5,263百万円、1,147百万円、5,173百万円)
③ストック型ビジネス売上高(GISパッケージ2021年3月期売上高29億円)

業績

2015年3月期から2019年3月期は連続して増収増益。しかし以降は市況悪化や半導体不足から新車販売台数が減少しカーナビ用データ販売等が低迷したことなどから減収減益となっている。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナスで、期によってフリーCFがマイナスとなることもあるが、2015年3月期以降はプラス継続。自己資本比率は有利子負債の増加により2018年3月期に54.4%まで低下したが、2021年3月期は60.5%まで回復している。