2303 ドーンの業績について考察してみた

2303 ドーンの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1991年6月ソフトウェア開発会社として神戸市に有限会社ドーン設立。1994年10月地理情報システム(GIS)構築環境GeoBase Ver1.1発売開始。その後は一貫して地理情報システム(GIS)やその周辺技術を磨いている。1997年3月株式会社ドーンに改組。2002年6月大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現東京証券取引所JASDAQ)に上場。2006年5月株式会社オウケイウェイブと業務提携。地理情報システム(GIS: Geographic Information System)に特化した研究開発でGIS構築用ソフトウェアをソフトウェア開発事業者や総合電機メーカーにライセンス販売するほか、クラウドでのサービス提供も行う。同社の技術は中央省庁や地方自治体へも採用されている。

株主構成

有価証券報告書によると2020年11月末時点の筆頭株主は株式会社日本カストディ銀行で保有比率は7.95%。次いで、大阪本社の資産運用アドバイスやM&A仲介を手掛ける株式会社ディキャピタルが7.65%、常務取締役管理部長の近藤浩代氏が7.22%、代表取締役社長の宮崎正伸氏が6.59%と並ぶ。以下は5%未満で国内外の信託銀行等の信託口と見られる保有が続く。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、社外3名のうち全員が監査等委員(1名は常勤)。監査等委員会設置会社である。取締役の岩田潤氏は会計事務所を経営した後に大株主でもある株式会社ディキャピタルの代表取締役に就任後、2011年8月よりドーン社の社外取締役に就任し、その後2016年8月より取締役経営企画室長に就任している。近藤浩代氏は株式会社医療情報電送センター、アンドール株式会社を経た後2000年6月よりドーンに入社し、取締役総務部長に就任している。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の宮崎正伸氏は1969年7月生まれ。大阪工業大学工学部を卒業後1993年4月株式会社オービックへ入社。1998年9月より同社へ入社。2000年6月には取締役営業部長就任、2005年8月代表取締役副社長就任。2009年10月代表取締役社長就任(現任)。2013年からは株式会社営業モデル研究所の社外取締役にも就任している。

報告セグメント

「地理及び位置情報事業」の単一セグメント。品目別には、2020年5月期は、受託開発が47.6%を占めており、地方自治体の防災や防犯関連のクラウドサービスの案件獲得により、初期構築や導入支援に係る受注が増加。クラウド利用料は39.3%、ライセンス販売は9.8%、商品売上は3.3%であった。なお、ライセンス販売及びライセンスを用いたシステム開発の占める比率は35%程度とのこと。

第29期報告書(2019年6月1日~2020年5月31日)

事業モデル

地理情報システム(GIS)の構築用ソフトウェア「GeoBase」と「GeoBase.NET」の開発を行い、ライセンス販売するほか、関連アプリケーション・ソフトウェアの受託開発クラウドによる地図情報等の配信サービスを展開。同社の販売先はSI事業者だが、同社製品を活用した地理情報システムは地方自治体等の官公庁や電力/通信事業者等のインフラ系事業者が利用する。従来はSI事業者からの開発ライセンス料を収益源としてきたが、近年では防災関連のクラウドサービスとして自社システムを活用したシステムを企業や警察や消防、地方自治外へ広く販売し、初期の環境構築費や月額利用証を収受。クラウド利用料の売上構成比は高まっている。なお、受託開発は通信、電力等のインフラ系事業者等の大規模な設備管理用の地理情報システムや警察等の官公庁で使用される特定業務に特化した開発を、エンドユーザーより直接受託している。

有価証券報告書-第29期(令和1年6月1日-令和2年5月31日)

競合他社

地理情報システム(GIS)に特化している上場企業は無く、非上場企業では数社存在するが、官公庁の採用実績を鑑みれば大きな脅威とはならない可能性が高い。

連結の範囲

連結の対象となる親会社・子会社を持たない。

強み・弱み

「NET119緊急通報システム」や「NET119映像通報システム」、「DMaCS災害情報共有サービス」と言った有事の際の緊急システムを複数販売していることが強みである。創業当初から一貫して地理情報システム(GIS)の開発に注力していたことから、災害時の安否確認や災害情報をいち早く共有できるシステムが構築されている。結果として、警察や消防を始めとする中央省庁や地方自治体を顧客に持つことは大きな強みである。一方で、民間企業への転用が進んでおらず、官公庁への依存度が高くなっており政策や公共予算の影響を受けやすいといった点は懸念点である。また、「GeoBase」と「GeoBase.NET」を基盤とするサービス提供のため、この2つソフトウェアの不具合などは事業に与える影響が大きい点もリスク。

KPI

会社からの開示はないが次のような指標がKPIとなり得る。
新規顧客獲得数
クラウドサービス利用料増加数

業績

2015年5月期までは赤字かかろうじて黒字を維持できる程度の業績であったが、2016年5月期以降は営業利益1億円を上回る利益水準で増収増益により、2020年5月期までに売上高は1.39倍、営業利益は2.68倍であった。決算発表前だが2021年5月期も増収増益の会社計画である。安定成長の背景にはクラウドサービスの利用料の伸びや、警察や消防を中心とした新規顧客の増加が挙げられる。営業CFはプラスで、投資CFは概ねマイナスだがFCFはプラスに収まっている。自己資本比率は90%を超えており、無借金継続を続けていることから、財務面は非常に優良である。