3645 メディカルネットの業績について考察してみた

3645 メディカルネットの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

メディカルネットの事業概要

同社は歯科医療、美容などの領域特化型の情報提供ポータルサイト運営を中心に、生活者・歯科医院・関連企業にプラットフォームビジネスを展開している。
・沿革
同社は2001年6月に「日本メディカルネットコミュニケーションズ」として、前身である「日本インターネットメディアセンター(2000年4月創業)」から「インプラントネット」等のサービスを継承し創業した。2010年12月東京証券取引所マザーズ上場、2016年12月「株式会社メディカルネット」に商号変更、2017年9月タイで歯科医院運営を開始、2018年12月歯科ディーラーの株式会社オカムラを完全子会社化。
・株主構成
2020年5月期決算時点の上位大株主は、同社前身の創業者である早川竜介氏(現取締役)7.2%・早川亮氏6.6%、次いで平川裕司氏(現代取社長COO)5.9%、平川大氏(現代取会長CEO)5.6%4名で約25%を保有。SBI証券3.2%、光通信3.04%の他、目立った大株主はない。※早川両氏に血縁関係はない。平川裕司氏は平川大氏の兄。
・取締役会構成
同社の取締役は6名(社内5名、独立役員の社外1名。)、監査役3名 (独立役員の社外3名)であり、監査役会設置会社である。
・代表取締役の経歴
代表取締役会長CEOの平川大は1973年生まれ。日本HPやNECタイなどを経て、2005年4月に同社へ入社。2006年4月取締役、2012年8月代表取締役社長、を経て2016年8月より現職に就任している。
・報告セグメントと事業の構成、ビジネスモデル
3セグメントからなり、2021年5月期第1四半期決算時点の売上高構成はメディア・プラットフォーム事業29.6%、医療機関経営支援事業68.9%、医療BtoB事業1.5%である。しかし医療機関経営支援事業は利益率が1%を切っており、医療BtoB事業は黒字化していない為、利益の98%以上をメディア・プラットフォーム事業で稼いでいる。同社によると、「各ポータルサイトは、医療機関等を顧客として広告料収入を得て運営。契約形態は原則12か月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積み上げ式のストックビジネスとなっている」とのこと。
・競合他社
同社ほどの歯科医療従事者の会員数を抱えプラットフォームビジネスを歯科医療領域で展開する企業は他にない。しかし、クチコミやネット予約に機能をしぼったサイトでは「EPARK歯科」がGoogle検索でより上位に出ることもあり、「即予約」の機能が優れており、競合メディアといえる。
・連結の範囲
2020年5月期時点の連結子会社はタイで歯科医院運営を行うMedical Net Thailand Co., Ltd.と、株式会社オカムラの2社である。

メディカルネットの3つの事業

・事業モデル
メディア・プラットフォーム事業ではポータルサイト「矯正歯科ネット」「インプラントネット」「エステ・人気ランキング」「気になる!美容整形総合・ランキング」「PET検査ネット」等を複数運営する。全国に約6万8千あるクリニックのうち約1,000クリニックが同社サイトを通じて生活者と接点を持つ
医療機関運営支援事業ではクリニック向けに、SEM・SEOサービス、事業者向けHP制作・メンテナンスサービス、販売代理、歯科器機材料・医薬品卸売等を行う。タイの歯科医院運営もこのセグメントに属す。3,000クリニックとの取引がある。
医療BtoB事業では「Dentwave.com」を運営し、歯科医療従事者32,337名の会員を抱え(2020年6月末時点)、歯科関連企業や、歯科医師会などへコンベンションや講演会の開催、運営、リサーチを提供する。60社ほどの歯科関連企業と取引がある。
・強みや弱み
クリニック数の多さがネットワーク開拓の障壁となり、歯科領域のポータルサイト構築は容易でない。同社は自由診療領域に絞って開拓し、ポータルサイト運営に成功したことを起点にプラットフォームとして成立している点が強みである。一方で弱みは、利益が広告収入に偏重している点だと言える。
・事業の盛衰
同社の利益水準は、売上高の伸長に比して、成長投資を行った年度に抑えられてきた経緯がある。今後の成長として「2025年5月期売上高100億円」を掲げ、既存事業を基盤に海外事業・新規事業を伸ばして、歯科医療バリューチェーンを構築する戦略が示されている。現在、大学発のベンチャーや医療機器メーカーとの業務・資本提携が増え、株式会社オカムラの取得にみられるM&Aなど、プラットフォームの価値をベースに新規の取組が活発化している。
・KPI
Google検索による同社ポータルサイトの検索順位が業績変動要因となっており、既存事業のKPIとしては重要性が高い。同社の開示する歯科医療療従事者数や取引先クリニック数に加えて、事業・資本提携後の事業進捗などはプラットフォームの価値を見る指標となり得る。
・懸念点
生活者・歯科医療従事者・関連企業の3者に選ばれる優位性の維持は容易でない。歯科医療従事者の支持は他社の追随を許さない地位にあるが、生活者からの支持は、検索順位への対応や機能性の拡充などが課題とみられる。
・業績の進捗
2020年5月期は株式会社オカムラの吸収効果もあり売上高2,917百万円(前期比+30.5%)と増収したが、採用・プロモーションに費用投下したため、営業利益は106百万円(同▲39.6%)と減益であった。2021年5月期は同様の費用投下を維持しつつも増収増益のレンジ計画を示しており、第1四半期の進捗は売上高708百万円(前年同期比+0.7%)、営業利益47百万円(同+32.2%)と概ね進捗良好である。