【IPO】 4074 ラキールについて考察してみた

【IPO】 4074 ラキールについて考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

エンタープライズJavaの技術者を有するSIer株式会社イーシー・ワンの子会社として2001年9月にEc-One China Holdidng, Inc.として設立された。2002年1月に北京一希望信息技術有限公司を完全子会社として設立している。MBOを目的に2005年6月に設立したレジェンド・アプリケーションズがイーシー・ワンからその2社の株式を買い取った後、2011年9月には株式会社ワークスアプリケーションズの100%子会社となり、別子会社の株式会社ワークスソリューションズと事業統合。その後、2017年10月に設立したLAI HOLDING株式会社が経営陣によるMBOを目的に同年11月に株式会社ワークスアプリケーションズから全株式を取得し、商号をレジェンド・アプリケーションズへ変更。2018年12月株式会社マーベリックとその子会社の株式を100%取得後、吸収合併。2021年6月11日東証マザーズ上場承認、20201年7月16日上場予定。
2012年8月からメッセージングツール、2013年9月からデータの集約・加工による経営戦略の意思決定を行うビジネス・インテリジェンスツールをリリース。2019年に入ってからはマイクロサービスアーキテクチャでシステム構築が可能なデジタルビジネスプラットフォームLaKeel DX、eコマース向けツール、データ分析・再利用基盤などのツールを順次リリースしてきた。

株主構成

上場申請有価証券報告書によると、筆頭株主は久保努氏で46.24%、次いでKST有限責任事業組合14.96%、ラキール従業員持ち株会9.85%、合同会社シングル・マインド5.44%、平間恒浩5.34%と続く。以下は5%未満で個人の名前が中心に並ぶ。
発行済株式総数は6388.5千株、上場時に公募で840千株、KST有限責任事業組合から売出420千株、OA売出189千株を予定。

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)。監査委員会設置会社である。社内取締役は、三菱商事出身の西村浩氏と、それ以外は株式会社イーシー・ワン時代からの役員5名である。なお、イーシー・ワンの出身者のうち平間氏と浅野氏、川上氏の3名は現在のタタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社出身で1999年頃から株式会社イーシー・ワンに移っている。雄谷氏は日立ハイ・ソフトウェアなどを経て2002年7月から株式会社イーシー・ワンである。

代表取締役会の経歴

代表取締役社長の久保努氏は、1964年9月生まれ。23歳当時、現在のタタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社へ入社し、その後1999年2月から株式会社イーシー・ワンSI事業部長を経て取締役まで務め、Ec-One China Holding, Inc.や北京一希望信息技術有限公司の取締役や董事長等の要職を歴任。2005年6月にレジェンド・アプリケーションズを設立した際に代表取締役社長に就任。株式会社ワークスアプリケーションズでは取締役も務めた。2017年10月同社設立時に再度代表取締役社長となり現在に至る。

報告セグメント

LaKeel事業の単一セグメント。2020年12月期時点のサービスごとの外部顧客への売上高はプロフェッショナルサービスが3,306百万円(62.1%)、プロダクトサービスが2,024百万円(37.9%)で合計5,331百万円(100%)であった。

事業モデル

プロフェッショナルサービスは、主に大手の建設会社、不動産会社、金融機関(銀行、生損保、リース)向けの基幹システムを開発・保守運用する。なお、一部はビジネスパートナーへの委託。後述する、LaKeel DXの導入時に、専門技術を持たない・リソース不足のユーザー企業向けに開発人材を投入し、実装のサポートも提供する。新規顧客向けのシステム開発はフロー収入として、既存顧客向けのシステム開発や保守案件はリカーリング型レベニューモデルで安定収入源となる。同サービス内での比率は2019年12月期フロー:リカーリング=21:79、2020年12月期6:94と、安定収益源であるリカーリング型の収益が積みあがっている
プロダクトサービスは、LaKeel DX上で稼働する製品を順次。LaKeel上のデータを経営戦略に活用するLaKeel BI(ビジネスインテリジェンス)など、LaKeel DXの機能部品群、開発基盤、運用基盤を含む。LaKeel DXの活用やLaKeel DX上に収集されたデータ活用のコンサルティングサービスも行う。サブスクリプション型レベニューモデルで、製品ラインナップ拡充により顧客数が増加し売上成長へ貢献している。
2019年5月にリリースしたLaKeel DXは企業の業務アプリケーション開発環境を提供するサービス。ユーザー企業はサーバー運用のためのクラウドプラットフォームの上で、アプリケーションの開発・運用を行うことが可能。企業のシステム開発(デジタルビジネスプラットフォームの構築)において、必要となる部分的な機能部品(ファイル管理、検索、マスタ連携など)を数多く用意し、それらの自在の組み合わせによってシステム開発を可能としており特許も取得済。このようなマイクロサービスアーキテクチャであることが最大の特徴。なお、LaKeel DX上でのユーザー企業による機能開発も可能。各機能は大手クラウド(サーバー)事業者固有の技術に対応しており、アマゾン、マイクロソフト、Googleなどの大手クラウド事業者ごとの仕様の違いに縛られないシステム開発を実現しており、乗換が可能である。利用料の支払いは機能ごとのため、開発費用を抑えながら少人数でのシステム開発・改変を可能な点も特徴である。

上場申請有価証券報告書 P.8より

競合他社

LaKeel DXのように、基盤を特定のクラウド(サーバー)事業者に限らず、コア機能の上にアプリが存在し、自社開発機能も載せられるサービスは珍しい。基盤を限定する形ではSalesforceサイボーズのKintoneなど類似のサービスが一部存在する。LaKeel BIの競合は数多く存在し、アプリ開発環境の提供をする各社で提供があり、 AmazonからはAmazonQuickSightが、セールスフォース・ドットコムからはTableau CRM、IBMからはIBM Cognos Analytics、SAPジャパンからはSAP BusinessObjects Business Intelligenceなどが提供されている。

連結の範囲

Legend Applications China Holding, Inc,、北京利衆得応用技術有限公司、株式会社ZESTの連結子会社3社と同社でグループを構成。北京利衆得応用技術有限公司はLaKeel製品の開発拠点として、株式会社ZESTはコンサルティングサービス向けに開発人材供給や、金融機関向けの専門エンニジニア派遣等を行う。

強み・弱み

ソフトウェア開発の世界では、AWS, GCP, Azureなどのクラウド(サーバー)事業者が提供するサービス以外に、サーバー乗換が可能なサービスは一定数見受けられるが、同社のように、クラウド(サーバー)事業者の乗換を可能とすることを前提に構築され、特徴として前面に押し出しているサービスは珍しい。一方で、システム内のデータを活用しビジネスインテリジェンスを実行する段階においては、様々なサービスが存在し、BIの競合他社比での性能の優劣も、プラットフォームとしてLaKeel DXを用いるか否かに影響すると見られ特筆すべき特徴がみられないことや、LaKeel自体の知名度は今後の課題となるだろう。また、LaKeel DXが三菱商事に導入実績を、プロフェッショナルサービスにおいて前田建設工業や大東建託などへの販売実績を持つことから、社長の久保氏を含めた経営陣は、ワークスアプリケーションズ時代などを通じて日系トップクライアントとのリレーションを構築していると見られ、これらは同社の成長に貢献してきたと推測される。

KPI

チャーンレート

上場申請有価証券報告書 P.10

LaKeel製品サブスクリプション売上高/ユーザー数

上場申請有価証券報告書 P.9より作成

業績