8155 三益半導体工業の業績について考察してみた

8155 三益半導体工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1969年6月に三益産商株式会社の研磨部を分離独立し、半導体シリコンウエハーの鏡面研磨加工を目的として群馬県群馬郡群馬町(現:高崎市足門町)に三益半導体工業株式会社を設立、1983年12月に三益産商株式会社(精密機械販売等)および株式会社三益エンジニアリング(プラント設計・製作等)を合併した。1986年1月に株式を日本証券業協会に店頭登録、1997年4月に株式を東証二部へ上場、1998年11月に東証一部へ変更。2006年2月に本社を現在の群馬県高崎市保渡田町に移転した。
シリコンウエハーの研磨加工メーカーで、信越半導体株式会社(信越化学工業(4063)の子会社)からのプライムウエハー受託加工を主力としている。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年5月31日現在の筆頭株主は信越化学工業株式会社で自己株式除く発行済株式総数に対する所有割合42.75%、第2位株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)で同6.17%、第3位株主は中澤正幸氏(同社代表取締役会長)で同6.15%、第4位株主は株式会社日本カストディ銀行(信託口)で同5.90%となっている。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査役は4名(社内1名、社外3名)、監査役制度を採用する。社内取締役5名は全員が実質的にプロパー社員。社外取締役の春山進氏は弁護士(春山・星野法律事務所)で、2012年8月同社取締役に就任(現任)した。塚越勝美氏は株式会社群馬銀行出身で同行常務取締役や専務取締役等を歴任している。栗原弘氏は株式会社群馬銀行出身で同行常務取締役等を歴任している。社外監査役の村岡正三氏は信越化学工業株式会社出身である。楠原利和氏は公認会計士(楠原利和公認会計士事務所)で、明治安田アセットマネジメント株式会社社外取締役(現任)等と兼任している。中村修輔氏は株式会社群馬銀行出身で、ぐんぎんシステムサービス株式会社代表取締役社長(現任)と兼任している。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の中澤正幸氏は1943年7月生まれ。1974年2月三益産商株式会社入社、常務取締役、代表取締役社長等を経て2017年8月代表取締役会長に就任(現任)した。
代表取締役社長の細谷信明氏は1949年9月生まれ。1973年4月同社入社、常務取締役、専務取締役、代表取締役副社長等を経て2017年8月代表取締役社長に就任(現任)した。

報告セグメント

半導体事業部、産商事業部、エンジニアリング事業部の3セグメントとしている。2021年5月期の構成比(調整前)は、売上高が半導体事業部52.4%、産商事業部44.0%、エンジニアリング事業部3.6%、営業利益は調整前で半導体事業部77.8%、産商事業部13.7%、エンジニアリング事業部8.5%だった。半導体事業部が収益柱である。

事業モデル

半導体事業部はシリコンウエハー(プライムウエハー、再生ウエハー)等の加工・販売を展開している。信越半導体株式会社(信越化学工業(4063)の子会社)からのプライムウエハー受託加工が主力である。産商事業部は計測器、試験機、その他精密機器等の販売、およびエンジニアリング事業部の製作品(半導体材料加工装置等)の販売を展開している。生産拠点は群馬県高崎市の半導体事業部上郊工場である。
主要取引先は信越半導体株式会社(全社売上高に占める割合2020年5月期56.2%、2021年5月期54.3%)、および株式会社日立ハイテク(同2020年5月期16.9%、2021年5月期15.5%)である。

競合他社

シリコンウエハー加工関連の上場企業としてはSUMCO(3436)、トクヤマ(4043)、信越化学工業(4063)、三菱マテリアル(5711)、フェローテックホールディングス(6890)、信越ポリマー(7970)などがある。

連結の範囲

2021年5月期末時点で、グループは同社、同社のその他の関係会社1社(信越化学工業(4063))、およびその他の関係会社の子会社1社(信越半導体株式会社)で構成されている。

強み・弱み

1966年にシリコンウエハー加工を開始して以来培った技術力・品質力をベースとして、積極的な設備投資で大口径・高品質ニーズに応える加工技術を確立している。また再生ウエハー分野で世界1位の市場シェアを誇るなど独自の地位を確立している。
保有比率40%を超える筆頭株主でもある信越化学工業(4063)および信越半導体株式会社向けの売上が、全社売上の5割強(2社合計で2020年5月期58.5%、2021年5月期57.3%)を占める安定収益源となり、業績は概ね堅調に推移している。ただし、同時に特定取引先依存リスクが存在していることになる。半導体需要が高水準に推移して事業環境は良好だが、新規取引先開拓が今後の課題だろう。

KPI

半導体事業部の売上高(調整前)と営業利益(調整前)がKPIとなる。

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

業績

過去5期間の業績(非連結)で見ると、全社売上高は2017年5月期60,288百万円から2019年5月期95,163百万円まで拡大した後、ピークアウトして2021年5月期85,051百万円まで減少している。営業利益は2017年5月期3,691百万円、2019年5月期5,645百万円、2021年5月期6,085百万円と順調に拡大している。売上高のピークアウトは産商事業部およびエンジニアリング事業部の減収が主因である。半導体事業部の売上高も直近2期間は伸び悩みの形だが、営業利益は原価低減効果などで拡大基調であり、全社営業利益の拡大を牽引している。恒常的に営業CFはプラスで投資CFはマイナス、FCFは積極的な設備投資を実施する期にはマイナスとなる。なお自己資本比率は概ね60%台で推移し、2021年5月期には70.8%まで上昇した。実質無借金経営であり、財務面の健全性は良好。