6890 フェローテックホールディングスの業績について考察してみた

6890 フェローテックホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

1980年9月に日本フェローフルイディクス株式会社を設立し、コンピューターシールや真空シール、磁性流体の輸入販売を開始。1983年1月にコンピューターシールと真空シールの製造を開始。1988年4月に磁性流体の製造を開始。1992年より中国や台湾へ進出。1995年10月に株式会社フェローテックに商号変更。1998年7月に石英事業を開始。2008年7月に株式会社フェローテックセラミックスに商号変更。2013年12月に東証JASDAQに上場。2017年4月に株式会社フェローテックホールディングスに商号変更。本社は東京都中央区。半導体製造装置向け真空シールや磁性流体等で世界トップシェア

株主構成

2021年12月20日付のコーポレート・ガバナンスに関する報告書によると、2021年12月20日時点の筆頭株主は株式会社日本カストディ銀行の信託口で5.4% 、その他は保有割合5%未満でJP MORGAN CHASE BANK 385632、BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)、代表取締役会長の山村章氏、MSCO CUSTOMER SECURITIES、NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN(CASHPB)、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口、上田八木短資株式会社と続く。その他には国内外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役3名 (社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。取締役の若木啓男氏はプロパー社員であり、取締役の宮永英治氏はアメリカの連結子会社のFerrotec (USA) Corporation出身でCEOを兼任する。取締役の鈴木孝則氏は株式会社三菱UFJ銀行を経て同社に出向後、2008年1月に同社に入社。2019年6月に取締役に就任した。連結子会社において中国2社、香港1社の董事と、国内1社の代表取締役会長を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の山村章氏は1944年4月生まれ。慶應義塾大学工学部を卒業後、1979年12月に同社のアメリカの連結子会社であるFerrotec (USA) Corporationに入社。1980年9月に同社を設立し、代表取締役社長に就任。2020年7月に現職に就任した。中国連結子会社1社の董事長を兼任する。
代表取締役社長の賀賢漢氏は1957年10月生まれの中国上海市出身。上海財経大学を卒業後、1988年に日本に留学し、早稲田大学大学院と日本大学大学院に修学。1993年4月に同社に入社し、2001年6月に取締役、2004年6月に常務取締役、2011年6月に代表取締役副社長を経て、2020年7月に現職に就任した。複数の中国連結子会社の董事長を兼任する。
代表取締役副社長の山村丈氏は1971年2月生まれ。1996年4月に同社に入社。2008年6月に取締役を経て、2011年4月に現職に就任した。アメリカとシンガポール連結子会社の取締役やロシア連結子会社の取締役会長、ドイツ連結子会社のCEO等を兼任する。

報告セグメント

「半導体等装置関連事業」、「電子デバイス事業」の2セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない事業として、ソーブレードや工作機械、表面処理、太陽電池用シリコン製品等の「その他」がある。2022年3月期第2四半期の売上高59,826百万円で、半導体等装置関連事業が35,895百万円で60.0%、電子デバイス事業が12,213百万円で20.4%、その他が11,717百万円で19.6%を占める。
セグメント利益の6割以上を半導体等装置関連事業が創出する。利益率は電子デバイス事業が20%前半から中盤。半導体等装置関連事業が1桁後半から10%前半を推移する。

事業モデル

半導体等装置関連事業では、真空シール、シリコンウエーハパワー半導体用基板、磁性流体、サーモモジュール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品の主要8製品を製造・販売する。半導体メーカー向けに設備投資時に必要な製品のみならず、石英製品やセラミック製品といった生産稼働していく中で必要な消耗品や再生ウエーハ等のサービスも併せて供給する。真空シールでは世界シェア65%を占め、トップシェアを誇る。また半導体等装置向けの装置部品洗浄は、中国市場に特化しており、中国市場で60%のシェアを占める。半導体市場では5Gやデータセンター向けに需要が拡大傾向にあり、マテリアル製品も半導体メーカーの生産稼働率に連動して需要増加が見込まれる。同社の半導体等装置関連事業では、2016年度から2020年度にかけての年平均成長率が17.1%であり、今度は生産能力を増強して需要増加に対応する。
電子デバイス事業では、サーモモジュールや磁性流体、パワー半導体基板を製造・販売する。サーモモジュールは光通信向け需要が40%以上を占め、バイオや自動車、半導体等といった幅広い分野へ提供する。サーモモジュールでは世界シェア36%、磁性流体では80%を占め、それぞれトップシェアである。パワー半導体基板では車載向けの需要が拡大しており、2021年度より従来製品に加えて高耐熱・高硬度の製品を投入し、シェア獲得を目指す。
その他事業では、産業用刃物と業務用洗濯機、太陽電池ウエーハの製造・販売や、製品の受託組立を行う。
製品の開発から製造、販売は連結子会社を通して行い、同社はグループ統括会社としての位置づけである。海外への販売は、海外子会社を通して実施する。
2021年3月期の海外売上高比率は85.9%で、地域ごとの売上では中国が43.6%、アメリカが30.6%、その他が11.8%を占める。主要な顧客はLAM RESEARCH CORPORATIONであり、連結売上高に占める売上高の割合は12.1%である。
中国は2025年までに国内での半導体自給率を2020年の16%から70%に向上させるために政府による積極的な優遇施策が採られており、製造装置の国産化が進む見込みである。同社では有形固定資産の中国比率が83%を占めており、今後も中国国内での積極的な設備投資を実施する予定である。

中期経営計画進捗報告(22/3期~24/3期)

競合他社

半導体製造装置向けに各種メカトロニクス製品を提供する6324ハーモニック・ドライブ・システムズ (2021年3月期売上高37,034百万円)、 半導体向け真空機器を製造・販売する6728アルバック (2021年6月期同183,011百万円)、半導体関連装置を製造・販売する6920レーザーテック (同70,248百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社51社と持分法適用関連会社・非連結子会社9社、持分法を適用しない非連結子会社1社を持つ。中国の連結子会社1社とアメリカの連結子会社1社は、それぞれ連結売上高に占める売上高の割合が10%を超える。

強み・弱み

強みとして中国における強固な事業基盤が挙げられる。中国では半導体製造装置販売額が2019年から2020年にかけて+39%増加。一方、アメリカや日本では中国への半導体製造装置の輸出制限が行われ、中国では国内産の半導体製造装置の需要が加速傾向にある。同社では中国半導体メーカーの主要拠点に集中した工場の建設や、連結子会社において中国の知財や人材を活用することで、中国国内の半導体需要をいち早く取り込める体制づくりを進める。懸念点としては、シリコンサイクルによる半導体需要の減少が与える売上高への影響が挙げられる。

KPI

KPIには①ROE、②ROIC、製品別売上高が挙げられる
①ROE(2022年3月期第2四半期):27.4%
②ROIC(同):24.4%
③製品別売上高(同)
・半導体等装置関連事業

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

・電子デバイス事業

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

業績

売上高は2017年3月期から2018年3月期にかけて旺盛な半導体需要を取り込み、前期比+22.7%に増加。2020年3月期にかけては米中貿易摩擦や半導体の在庫調整の影響を受け、▲9.9%に減少した。2021年3月期は半導体の需給バランスの改善が進み、前期比+11.9%の増加となった。経常利益は2017年3月期から2019年3月期にかけて+42.0%に増益。2020年3月期は不採算事業の減損処理を行った影響から▲47.1%に減少したものの、2021年3月期にかけては前期比+93.0%に増益した。フリーCFは有形固定資産の取得が続き、マイナスを推移。自己資本比率は2020年3月期の25.5%から2021年3月期は37.9%へ大幅に改善した



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