6999 KOAの業績について考察してみた

6999 KOAの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1940年3月東京都にて向山一人氏が興亜工業社を創立。1947年5月に株式会社に組織変更、1950年12月に興亜電工株式会社に改称する。1961年12月に東証二部、1962年10月名証二部に上場。1984年9月東証一部、名証一部に変更。1986年にKOA株式会社に改称、2015年6月には登記上の商号もKOA株式会社に変更する。自動車向けを中心に幅広い用途の固定抵抗器などの開発・製造・販売を行う、世界シェア首位級の企業。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で8.6%を保有。日本生命保険相互会社が6.0%で続き、以降は保有割合5%未満で国内信託銀行等の信託口、八十二銀行、三菱UFJ銀行、KOA共栄会、ノルウェー政府、クウェート投資庁が並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は10名(社内7名、社外3名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない取締役は全員プロパー入社とみられ、うち元代表取締役を含む2名は創業者向山氏の親族。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の花形忠男氏は1956年1月生まれ。東海大学卒業後、1979年3月同社入社。抵抗器生産部や国際品質保証のゼネラルマネージャーを歴任後、2008年6月取締役に就任。2013年4月より現職を務める。2015年6月よりKPS-3(KOA Profit Systemと呼ぶ経営改善活動の第3ステージ)イニシアティブ担当を委嘱されている。

報告セグメント

生産・販売体制を基礎とした「日本」、「アジア」、「アメリカ」、「ヨーロッパ」の4報告セグメントに大別される。2021年3月期の売上高50,378百万円のセグメント別構成比率は、日本38.1%、アジア32.4%、アメリカ15.4%、ヨーロッパ14.2%だった。全社費用控除前の営業利益の内訳は日本27.3%、アジア47.3%、アメリカ12.2%、ヨーロッパ13.3%だった。

事業モデル

固定抵抗器生産を主力事業とするメーカー。抵抗器は流れる電気の量を制限したり調整したりすることで、電子回路を適正に動作させる役割を持つ部品である。生産拠点を台湾、中国、マレーシアと海外にも持つが、国内生産比率が7割を超える。2021年3月期の用途別売上構成比は自動車向け42%、産業機械向け13%、PC向け12%、家電向け8%、通信向け8%、AV向け7%など、自動車中心に幅広い分野で使用されている。自動車産業界におけるEV化・電装化の流れにより、搭載センサの数は多くなる。センサの信号に用いられる増幅回路や基準電圧回路の抵抗器には高信頼性チップが求められる。高信頼性チップ抵抗体の売上を拡大すべく、富山に新工場を建設しており2022年下期稼働開始予定。

2021年3月期決算説明会資料

同社が主力とする自動車向け製品は脱炭素社会の実現を目指した進展が加速。販売規制を受けたEV等環境対応車へのシフトや、安心・安全の高度化である自動運転技術の実装などから需要拡大していくものとみられる。

競合他社

抵抗器を手掛ける大手メーカーとして、6752パナソニック(同2021年3月期売上高6,698,794百万円)、6963ローム(同359,888百万円)、他に抵抗器メーカーとして6772東京コスモス電機(同7,865百万円)、6763帝国通信工業(同12,022百万円)6977日本抵抗器製作所(2020年12月期売上高5,543百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

同社と連結子会社19社、持分法適用会社1社、非連結子会社1社でグループを構成する。主な子会社は日本で電子部品の生産を行う興亜エレクトロニクス株式会社、販売を行う興亜販売株式会社。ほか海外における製造会社がアジア各地に、販売会社がアジアの他、米国ドイツに拠点を置く。

強み・弱み

固定抵抗器で世界首位級の高いシェアをもつことが強み。特に高精度、信頼性が求められる自動車向けを得意としている。一方で激しい競争にさらされており、製品価格低下が利益を圧迫する可能性がある。また、海外に製造、販売拠点を持ち、外貨建て取引を行っていることから為替リスクを持つ。同社製品は幅広い分野で使用され、特定業界の影響は受けないものの、景気変動に伴う個人消費や企業設備動向に影響を受けると考えられる。

KPI

①固定抵抗器需要(2020年3,570億円、前年比+3%、同社推計)
②EV市場規模(2019年世界で推計195万8000台、矢野経済研究所調べ)
③為替動向(米ドル、中国元、ユーロなど)

2021年3月期決算説明会資料

業績

2016年3月期からの業績をみると、自動車の電子化進行などにより売上高は2018年3月期まで増収増益。2019年3月期は人件費増などの影響で増収減益となった。2020年3月期はコロナ禍による設備投資抑制、米中貿易摩擦を受け中国向け売上が減少し、減収減益。2021年3月期は経済活動再開の動きも見られ、業績は改善した。フリーCFは新工場建設や設備投資のため2019年、2020年3月期はマイナス。自己資本比率は概ね70%台後半を維持する。