6618 大泉製作所の業績について考察してみた

6618 大泉製作所の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1939年8月航空機の高性能電気接点の製造を目的に日本接点研究所として創業、その後1944年3月東京都にて株式会社大泉航空機製作所として法人に改組した。1945年株式会社大泉製作所に商号変更。1982年1月北陸電気工業株式会社が資本参加。2003年1月北陸電気工業株式会社が保有する同社株式全株をW.L.ロスグループへ譲渡。同グループ傘下で2012年6月に東証マザーズへ上場した。2016年12月インテグラル・オーエス投資事業組合1号による公開買付により筆頭株主が同組合に異動。その後2021年3月に6890フェローテックホールディングスとの資本業務提携契約締結、筆頭株主インテグラルと第2位株主が売主、6890フェローテックホールディングスが買主となる譲渡が行われ、再び筆頭株主が異動した。半導体セラミック技術及び金属、プラスチック、ガラス技術をコアに 、サーミスタ(温度変化により抵抗値が変化する抵抗体)を用いた各種電子部品やそれらを利用した温度センサの製造・販売を行っている。

同社HPトップ>事業内容

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、インテグラル・オーエス投資事業組合1号で保有割合26.22%。第2位のSPRING L.P.もインテグラルグループであわせて29.12%の保有になる。以降は国内銀行信託口、大泉グループ従業員持株会、取引先とみられるソマール株式会社、個人名などが名を連ねる。しかし沿革の通り2021年3月主要株主の交代が起こり、大量保有報告書によると6890フェローテックの持分が29.11%となっている。外国人株式保有比率は10%未満である。

取締役会

2020年3月時点の取締役は5名(社内4名、社外1名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表取締役以外の社内取締役の入社前の経歴は不明だが、中途での入社とみられる。また2021年6月の取締役会にて6890フェローテックホールディングス出身の鈴木孝則氏が新取締役候補者として挙げられた。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長の後藤英恒氏は1970年5月生まれ。一橋大学卒業後、P&G株式会社に入社。ボストンコンサルティンググループ等を経て<b>2008年6月インテグラル株式会社入社。2017年同社顧問として派遣、入社後、2020年6月より代表取締役会長を務めていたが、2021年6月の株主総会を持って退任することとなった。
代表取締役社長の佐分淑樹氏は1958年1月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1980年4月6902デンソー入社。主にセラミック技術部にて要職を歴任後、2016年10月同社へ出向、副社長に就任した。2020年6月より現職を務める。

報告セグメント

温度センサ、電子部品等の製造販売及びこれらに付帯する業務の単一セグメント。2021年3月期の売上高10,752百万円の製品別売上高は自動車部品59.6%、空調・カスタム部品32.7%、エレメント部品他7.7%という構成地域別構成は日本63.9%、中国15.7%、残りのその他はアジア諸国、米国、メキシコ、欧州諸国また6902デンソー向け売上が32.5%を占める。利益の内訳開示は無い。

事業モデル

サーミスタを利用した各種電子部品(エレメント)の製造・販売、およびそれら電子部品を使用した温度測定や制御に利用できる温度センサの製造・販売を行っている。自動車部品は6902デンソー他、国内外大手自動車メーカーと取引がある。空調カスタム事業は6367ダイキン、6503三菱電機等、大手エアコンメーカーとの取引が厚い。生産拠点は、国内では青森県に、海外では中国およびタイに持つ。コロナ禍で同社製品を用いた最終製品の需要は後退がみられるものの2021年3月期下期からは回復基調、また自動車産業向けは電動車領域に、またエレメントの販売では光通信用に伸長がみられる。

競合他社

サーミスタ製造・販売の競合として、専業の6957芝浦電子(2021年3月期売上高25,175百万円)、6626SEMITEC(同17,870百万円)の他、大手メーカーでは5711三菱マテリアル(同1,485,121百万円)、6981村田製作所(同1,630,193百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

同社と連結子会社4社で構成される。国内製造子会社の八甲田電子株式会社、センサ工業株式会社および海外の製造・販売子会社が中国とタイに設立されている。

強み・弱み

車載用温度センサで高シェアをもつこと、車載用は国内外多くのTier1メーカー、空調も国内大手メーカーと取引があり優良な顧客基盤を持つことが強み。また高い技術力を有し、顧客との共同開発をしていくケースが多く、他社が容易に参入することは難しい。今後は資本業務提携した熱制御製品技術を持つ6890フェローテックホールディングスとのシナジー効果も期待される。一方で主要株主が頻繁に交代しており、経営方針など変化することが考えられる。また競合に比して営業利益率が低く、生産性向上等が課題となる。

KPI

注力分野の進捗および為替等がKPIとして考えられる。
①電動車の生産台数、拡販
②空調カスタム業界における主要顧客(6367ダイキン、6503三菱電機等)シェア
③光通信(5G)の普及動向、拡販
④為替(米ドル、中国元等)

2021年9月期 中間決算説明会資料

業績

2016年9月期から2019年9月期の連結売上高は12,000百万円台でほぼ横ばい。営業利益は利益率の改善があり同期間中連続増益だった。しかし2020年3月期以降はコロナ禍により自動車部品事業、空調・カスタム事業ともに需要が落ち込み、連続して減収減益となった。フリーCFは、自動車二次電池用ライン構築や十和田新工場の稼働があった2020年3月期を除きプラス維持。自己資本比率は改善基調で2021年3月期は26.5%。