6928 エノモトの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

エノモト事業概要

株式会社エノモト(以下、「エノモト」)は、山梨県上野原市に本社を置く精密部品メーカーで各種半導体用部品をはじめ、各種精密金型・自動機械装置等の開発、設計、製作を行っている企業である。エノモトのグループ会社は子会社4社により構成されており、精密機器の中でもIC・トランジスタ用リードフレーム、オプト用リードフレーム、コネクタ用部品などの周辺装置にまで多岐にわたっている。海外に連結子会社を有しフィリピンに1社、中国2社が連結子会社でありいずれも金属プレス・射出成型品が主な製品である
同社の設立は1967年に株式会社榎本製作所として発足したことを皮切りに、2004年にはJASDAQ市場に上場、2017年には東証2部に上場している。2018年には東証1部銘柄に指定される等、会社として順調に成長してきている。
同社の株式は創業家一族と、彼らが代表権を持つ会社が17%を保有しており、その他は信託銀行や従業員持株会が保有している。
代表取締役社長の武内社長は1983年入社の生え抜きの社長であり、リードフレーム事業部長、ESP事業部長、LMシステム事業部長を経て海外子会社に赴任、2007年に同社の取締役に抜擢されている。なお社外取締役も3名おり、コーポレートガバナンスの観点からも経営陣に対するモニタリングは定期的に行われている様子である。
なお、同社はセグメント情報を記載していないものの、販売実績ではICトランジスタ用リードフレームが7,486百万円、オプト用リードフレームが2,855百万円、コネクタ用部品が11,554百万円、その他が752百万円となっているので、中心となる製品群はIC・トランジスタ用のリードフレームとコネクタ用部品といえる。
競合企業に関しては、電子部品・産業用電子機器(コネクタ)の区切りで判断すると、フジプレアム・ダイトーケミックス・アライドテレシス・Denkei・KIMOTO・シグマ光機が挙げられよう。
業績で言えば2020年3月期はコロナウイルスの営業が限定的であり、売上高は226億円と前年同期比で+7.5%となっている。これは主にコネクタ用部品のモバイル端末向け・自動車向け需要が高水準で推移したことによるものであり、コネクタ用備品はオールドファッションな分野であるものの安定的な需要が見込める事業分野であろう。2020年第2四半期では、コロナウイルスの影響により自動車需要が減少したことに連動して売上高は減少しているものの、現在回復途上にあるとのことである。エノモトは電子部品に強みを持つ企業であるので、ポストコロナで脆弱な事業分野と、堅調に推移する事業分野を見極めていくことが今後の成長のカギを握るものと考えられる。

ICトランジスタ用リードフレーム等のセグメント情報

同社は単一のセグメントであるため、個別の製品群に関してセグメント情報はないものの、全社的に業績を見てみると直近決算期の2020年3月期においては、売上高22,647百万円、営業利益1,341百万円(営業利益率6%)となっている。2019年3月期においては、売上高21,047百万円、営業利益1,112百万円(営業利益率5.3%)、2018年3月期においては、売上高22,103百万円、営業利益1,658百万円(営業利益率7.5%)、となっている。そのため売上高も安定的に推移しており、営業利益率などの収益性を見ても5-6%と安定的に推移している。
直近の2020年第2四半期での各製品群での状況を見ると、ICトランジスタは自動車向け需要減少が課題、オプト用リードフレームは自動車向けや大型ディスプレイの需要が減少してきている、コネクタ用の部品はスマホ向けやウェアラブル機器向けの需要が高い水準で推移している点が特徴的である。そのためコネクタ製品はコロナ禍でもネガティブな影響を受けにくい。
以上より、エノモトは電子機器で安定的な業績水準を堅持しているものの、今後の成長性が高い製品分野に投資できるかが、重要なポイントになると推察される。