6768 タムラ製作所の業績について考察してみた

6768 タムラ製作所の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1924年5月創業者田村得松によりタムラジオストアー開業。ラジオ受信機、通信用変成器等の製造販売を開始する。1939年11月株式会社タムラ製作所に改組。1961年10月東証二部に上場。1972年10月マレーシアに現地法人設立、変成器の製造・輸出を開始する。1979年9月東証一部に変更トランス、リアクタ等の電子部品メーカー

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合6.56%。以降は保有割合5%未満でノルウェー政府、タムラ協力企業持株会、メガバンク、国内信託銀行信託口、海外金融機関などが並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表取締役を除く社内取締役は全員が実質的なプロパー入社とみられる、1名だけ電子化学材料の開発製造専門工場として設立され、2010年4月同社へ吸収合併となったタムラ化研株式会社の出身である。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長の田村直樹氏は1958年2月生まれ。創業者の孫にあたるとみられる。東京大学卒業直後の経歴は不明も、同社には1987年8月に入社。1991年6月取締役、1997年6月常務取締役、1999年6月代表取締役社長就任。2019年4月より現職を務める。現在は経営全般総攪、CSR・全社品質推進担当、CSR推進本部長を兼任し、職務にあたる。
代表取締役社長の浅田昌弘氏は1959年6月生まれ。法政大学卒業後、1982年4月同社入社。タムラ・ヨーロッパ・リミテッド取締役等要職を歴任後、2019年4月より現職を務める。現在は経営全般執行、電子化学実装関連事業担当、事業改革推進室長を兼任し、職務にあたる。

報告セグメント

「電子部品関連事業」、「電子化学実装関連事業」および「情報機器関連事業」の3報告セグメントに大別される。2021年3月期売上高73,906百万円の構成比は各64.6%、30.7%、4.7%。全社費用除く営業利益は電子化学実装関連事業が8割超を占める。地域ごとにおける売上高は日本42.7%、中国25.7%、その他アジア18.1%などとなっており、海外売上高が50%を超える

事業モデル

電子部品関連事業は、同社および国内外製造子会社にて製造を行い、同社もしくは海外販売子会社にて販売を行う。主な製品はリアクタ・コイル(電圧制御やノイズ除去のための電子部品)やACアダプタ・チャージャー等で、家電・住宅や産業機械用途の売上比率が大きい。原材料となる銅価格の高騰や中国工場の稼働悪化によるコスト増から、営業利益率は低位となっている。

2021年3月期決算説明会資料(5月25日決算訂正反映版)

電子化学実装関連事業は、同社および海外製造子会社にて製造を行い、同社もしくは海外販売子会社にて販売を行う電子化学事業と実装装置事業に大別され、前者はソルダーペースト(クリーム状のはんだ)やソルダーレジスト(基板表面を保護するインキ)が主力製品でセグメント売上高の8割超を占める。後者ははんだ付装置の製造を行う。主要取引先は日系メーカーである。
情報機器関連事業は、国内製造子会社に製造を委託し、同社にて販売を行う放送業界向けの音声調整卓が主力商品であるが、その売上は年度末に偏重する傾向にある。
全セグメントを通じ、従業員を削減している。工場の再編、自動化により効率性向上を目指す。
2021年3月期決算説明会資料(5月25日決算訂正反映版)

現在同社はEV化の進展に向け車載充電用や充電スタンド用リアクタの開発等を進めている。また車載用昇圧リアクタの新工場を2021年下期に日本、中国同時に立ち上げ。2030年までに売上高200億円達成を目指す。脱炭素化を目指す社会の中で、EV以外にも風力発電や既存製品に使われるモーターの省エネ化などで、同社製品の需要拡大が見込まれる。

競合他社

電子部品メーカーの6817スミダコーポレーション(2021年3月期売上高84,417百万円)、加美電子工業株式会社(非上場、2020年5月期売上高21億円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社40社が存在する。国内製造子会社のほか、海外現地法人が香港、中国、韓国、シンガポール、マレーシア、バングラデシュ、タイ、ベトナム、米国、メキシコ、英国、ドイツに拠点を置く。主な連結子会社は売上高の連結に占める割合が10%を超える田村(中国)企業管理有限公司が挙げられる。

強み・弱み

電力系トランス・コイルに関して国内唯一JAXAの規格認定を取得するなど、品質面で高い評価を受けていることが同社の強み。また同社の出資する企業が次世代パワー半導体材料の量産に世界で初めて成功と報じられ、今後同社業績に影響を与える可能性がある。一方で生産高の約5割を中国の生産拠点が占めるなど、アジア、欧米諸国に事業展開しているため地政学リスク、為替リスクを持つ。また同社主力製品の原材料は銅・鉄・原油精製品といった素材であり、これらの価格変動リスクも持つ。

KPI

①月次受注高

2021年3月期決算説明会資料(5月25日決算訂正反映版)

②原材料価格動向(銅・鉄・原油等)
③為替(米ドル、ユーロ、タイバーツ、中国元等)

業績

自動車の電子化・電動化などを背景に関連製品の売上が堅調に推移し、2019年3月期売上高は2期連続増収で870億円を計上するも、その後はコロナ禍を背景に2期連続減収となっている。営業利益は2018年3月期から3期連続減益。フリーCFは国内工場の建て替えやドイツ、タイ子会社を取得し投資CFが大きくマイナスとなった2018年3月期以外はプラス。自己資本比率50%台維持するも、2018年3月期を境に有利子負債が増加傾向にある。