6986 双葉電子工業の業績について考察してみた

6986 双葉電子工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 15,179 -529 -3.49%
FY2024.Q1 2023.06 13,856 -892 -6.44%
FY2024.Q2 2023.09 15,205 -280 -1.84%
FY2024.Q3 2023.12 13,190 34 0.26%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 16,319 -195 -1.19%
FY2018.Q1 2017.06 16,901 -481 -2.85%
FY2018.Q2 2017.09 17,620 670 3.8%
FY2018.Q3 2017.12 17,596 201 1.14%
FY2018.Q4 2018.03 17,236 336 1.95%
FY2019.Q1 2018.06 16,236 -267 -1.64%
FY2019.Q2 2018.09 17,203 278 1.62%
FY2019.Q3 2018.12 17,026 -65 -0.38%
FY2019.Q4 2019.03 16,618 377 2.27%
FY2020.Q1 2019.06 14,993 -572 -3.82%
FY2020.Q2 2019.09 14,814 -188 -1.27%
FY2020.Q3 2019.12 14,429 -634 -4.39%
FY2020.Q4 2020.03 12,973 -2,304 -17.76%
FY2021.Q1 2020.06 11,032 -1,096 -9.93%
FY2021.Q2 2020.09 11,890 -941 -7.91%
FY2021.Q3 2020.12 12,556 -629 -5.01%
FY2021.Q4 2021.03 13,348 -851 -6.38%
FY2022.Q1 2021.06 13,512 -80 -0.59%
FY2022.Q2 2021.09 12,678 -708 -5.58%
FY2022.Q3 2021.12 13,109 -547 -4.17%
FY2022.Q4 2022.03 14,151 -528 -3.73%
FY2023.Q1 2022.06 14,007 -1,048 -7.48%
FY2023.Q2 2022.09 15,512 -426 -2.75%
FY2023.Q3 2022.12 15,628 -384 -2.46%
FY2023.Q4 2023.03 15,179 -529 -3.49%
FY2024.Q1 2023.06 13,856 -892 -6.44%
FY2024.Q2 2023.09 15,205 -280 -1.84%
FY2024.Q3 2023.12 13,190 34 0.26%

沿革

1948年2月千葉県にて双葉電子工業株式会社設立。1962年2月にホビーラジコン用の送信機・受信機、同年10月に他社買収を機に金型用部品の製造・販売を開始する。1968年1月には電卓の数字表示用として表示放電管の製造・販売を開始。ディスプレイデバイス業界に進出する。1972年11月台湾に製造子会社を設立して以降、アジア中心に海外進出を始める。1985年4月東証二部に上場。1986年12月東証一部に変更。2012年4月TDKマイクロデバイス株式会社を100%子会社化、有機ELディスプレイおよびタッチパネルの製造・販売を開始。2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。電子部品、ラジコン、金型部品の製造・販売を行う企業

株主構成

有価証券報告書によると2022年9月末時点の筆頭株主は、日本カストディ銀行で10.84%を保有。同社初代会長らが設立した公益社団法人双葉電子記念財団が7.67%で続き、以降は保有割合5%未満で同社創業者の妻ら個人3名、8331千葉銀行、海外金融機関などが並ぶ。尚、大量保有報告書によると米投資ファンドのブランデス・インベストメント・パートナーズの保有割合が6.53%であると報告されている。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は10名(社内5名、社外5名)、うち監査等委員は4名(社内1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。監査等委員を務める1名(池田氏、8331千葉銀行を経て入社)を除く社内取締役は全員プロパー入社とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の有馬資明氏は1960年12月生まれ。日本大学卒業後、1984年3月同社入社。2007年1月に出向先のフタバ・コーポレーション・オブ・アメリカで取締役社長に就任。その後、執行役員経営企画部長、上席執行役員電子部品事業部副事業部長など社内要職を歴任後、2016年6月取締役常務執行役員に就任。2019年6月より現職を務める

報告セグメント

「電子デバイス関連」および「生産器材」の2報告セグメントに大別される。2022年3月期第2四半期累計期間の売上高29,519百万円のセグメント別構成比率は、電子デバイス関連43.7%、生産器材56.3%だった。営業利益の内訳は電子デバイス関連が営業損失▲1,665百万円、生産器材が営業利益191百万円だった。販売地域別の売上高では日本が40.7%、米州11.1%、欧州3.1%、残りはアジア他となっており韓国が主力の模様。

事業モデル

電子デバイス関連事業では、BtoB向けの主に車載分野で用いられるタッチセンサー、車載向けや事務用途に用いられる有機ELディスプレイ、産業用ラジコン機器とBtoC向けのホビー用ラジコン機器等の製造を行う。特にタッチセンサーと有機ELディスプレイは差別化が最重要課題と捉え、車内空間デザインの自由度が向上する車載曲面タッチセンサー、高輝度化など付加価値製品の量産技術確立を図りつつ、普及の拡大を進めている。尚、有機ELディスプレイ事業に経営資源を集中するため、コスト構造改革として蛍光表示管事業から2021年3月期中に撤退した。生産器材事業はプレート製品、金型用器材やIoTモニタリングシステムの製造、WEB受託加工サービスを行う。海外売上比率は50%を超える
同社を取り巻く環境ではIoTの普及、ロボットによる省人化、ドローンの産業利用が広まりつつある。同社の持つ無線や液晶モジュールなどのコア技術をアライアンスにより拡張し、新たな市場開拓を図る

Futaba Innovation Plan2023 中期経営計画

競合他社

タッチパネルディスプレイや有機ELディスプレイのメーカーとして、6740ジャパンディスプレイ(2022年3月期売上高295,946百万円)、株式会社JOLED(非上場、産業革新機構から分割された株式会社INCJや大手電機メーカーが株主)、海外メーカーでは韓国のLGディスプレイ、Samsumgディスプレイ、中国のAU Optronics(友達光電)、EverDisplay Optronics(上海和輝光電)などが挙げられる。

連結の範囲

同社と連結子会社25社、非連結子会社1社でグループを構成する。主な子会社は売上高の連結売上高に占める割合が10%を超える韓国の起信精機株式会社。国内、米国、韓国の他に、中国、台湾に製造子会社を持つ。ほか海外における製造会社がアジア各地に、販売会社がアジアの他、米国ドイツに拠点を置く。

強み・弱み

車載向け製品を展開してきた実績から信頼性の面で優位性を持つディスプレイ製品、ホビー用途で長年培った無線通信技術を活かしたラジコン機器、自社で加工現場を持ち自動化された生産ラインによって低コスト・高品質を両立する金型用器材など様々な製品を取り扱っていることが強み。一方で現在注力する有機ELディスプレイ事業は中韓メーカーとの競争が激しい分野で価格競争が更に激化する可能性がある。また海外売上比率が高く、またそれらは主に米ドル建てで取引が行われるため、為替変動リスクを負う。

KPI

①車載曲面タッチセンサー市場規模(CAGR23%、富士経済調べ)
②投資額(中計3カ年累計で戦略投資43億円、成長投資35億円、更新投資32億円)
③為替動向(米ドルなど)

業績

米中貿易摩擦やコロナ禍により車載向け製品中心に低迷、売上高は2018年3月期をピークに3期連続減収2022年3月期は一部受注が回復し前期比+9.4%の増収となった。営業利益は、幅は縮小するも3期連続赤字。2023年3月期も赤字を見込んでいる。フリーCFは投資多い年度にマイナスになり安定しない。有利子負債少ないが、自己資本比率は80%台から70%台へ低下

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