6897 ツインバード工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1962年4月金属や金属製品の加工を目的として、新潟県に野水電化株式会社を設立。1977年4月に自社での製品開発を本格的に開始。1979年4月にツインバード工業株式会社に商号変更。1996年2月に新証に上場。2000年3月東証二部に変更。調理家電や照明機器等の小型家電を中心に製造・販売を行う

株主構成

2021年2月期第2四半期報告書によると2020年8月末時点の大株主は、筆頭株主が代表取締役社長の野水重明氏の資産管理会社とみられる株式会社双栄で13.19%、次いでツインバード従業員持株会が4.62%、株式会社第四銀行が4.48%、株式会社日本政策投資銀行が3.06%、前代表取締役社長の野水重勝氏が3.00%、代表取締役社長の野水重明氏が2.99%、株式会社日本カストディ銀行が2.8%等である。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は6名(社内2名、社外4名)、監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。2021年5月25日の株主総会において、新たに社外取締役が1名増員される予定である。社内取締役の専務取締役の佐藤勉氏は、20歳当時に同社へ入社したプロパー社員とみられ、開発生産部門に長年従事し、2008年6月より取締役。社外取締役には公認会計士や弁護士資格の有資格者の他、兼新潟大学の名誉教授や新潟県燕市の地元企業の社長などが就任。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の野水重明氏は1965年10月生まれ。工学院大学を卒業後、1989年3月に同社に入社。大手都市銀行に出向後、長岡技術科学大学大学院にて博士号取得。その後同社で海外営業部門を経験し、2007年6月に取締役、2010年6月に専務取締役を経て、2011年6月に現職に就任した。

報告セグメント

「家電製品事業」の単一セグメントである。報告セグメントに含まれない事業として、その他の事業がある。2021年2月期は売上高12,505百万円の内、家電製品事業が10,952百万円で87.6%、FPSC事業(決算短信で確認された分類、従来の有報でのその他に該当する可能性が高い)が1,553百万円で12.4%を占める。セグメント利益については公表されていない。2020年2月期時点では、製品分類別の売上は、調理家電が最多の29%、次いで生活家電、冷蔵庫が各々20%代前半、クリーナーが14%を占め、その他の分類は5%前後であった(有価証券報告書でのみ開示。当記事執筆時点では2021年2月期の有報は公表前、決算短信のみ開示済)。

事業モデル

小型家電を中心に、家電製品の製造・販売を行う。電子レンジやコーヒーメーカー等の調理機器やLEDのスタンド照明機器、ハンディスチーマーや空気洗浄機等の生活家電等、幅広い商品ラインアップを展開。調理家電では、ブランパンのホームベーカリーで圧倒的なシェアと知名度を有し専用のパンミックスを販売するビジネスモデルである。製造は新潟県の自社工場と中国のパートナー工場で行う。中国子会社では、中国における家電製品の生産管理や販売を手掛ける。海外は販売代理店等を通じて販売する。2020年2月時点の海外販売比率は5.3%で中国が中心とみられるがアジアが太宗であったが、北米、その他地域も含まれた。
国内の主要顧客は株式会社ケーズホールディングスであり、売上高の18.1%(2020年2月期)を占める。海外売上比率は5.3%(同)で、地域別に見るとアジアが3.3%、北米が0.5%、その他の地域が1.5%を占める。
成長戦略として新冷却技術FPSC(フリーピストン・スターリング方式冷凍機)関連事業の拡大を掲げており、2021年1月には武田薬品工業と同技術を用いた冷凍冷蔵庫の大型受注にかかる基本契約を締結。新型コロナウイルスワクチンの輸送・保管用機器として使用される。今後は同技術について、化学・エネルギー、計測・環境、医療・バイオ、食品・流通の4分野に集中して、事業開拓に注力する予定である。

競合他社

電化製品の卸販売を行う専門商社の8144株式会社電響社(2020年3月期売上高51,579百万円)、工作機器の卸販売を行う専門商社の8051株式会社山善(同472,191百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社を2社持つ。 連結子会社の株式会社マインツでは、家電製品の企画・製造・販売業務を行う。双鳥電器(深圳)有限公司では、中国における家電製品の生産管理・販売を行う。

強み・弱み

強みとして家電製品の企画・開発力が挙げられる。同社では全社員の20%が企画・入発スタッフであり、同業他社と比べて企画・開発部門の社員割合が高い水準を維持する。新潟県の燕工場では開発部門と製造部門を密接に連動させ、柔軟な生産体制を整備。一般的には製品開発は数万ロットでないと行われないが、同社では数千ロットの小さな企画に対しても社内で開発から試作までを一貫して行う。また、コールセンターと開発本部の拠点を近くに置くことで、ユーザーの声をすぐに製品開発に届ける体制を完備。ユーザーの声を細やかに汲み取った製品開発を可能とする。海外の製造委託会社から製品や部材を円貨以外の通貨で輸入しており、為替変動の影響を受ける点はリスクとしてあげられる。

KPI

開示のあるKPIとして商品ジャンル別売上高と販売チャンネル別売上高の2つが挙げられる
①商品ジャンル別売上高

2021年2月期通期決算説明資料

2021年2月期第3四半期決算説明会資料
②販売チャンネル別売上高

2021年2月期通期決算説明資料

業績

売上高は2016年2月期から2020年2月期の過去5期で約10%減少していたが、2021年2月期は売上高12,505百万円(前期比+2.8%)、営業利益608百万円(前期比+241.5%)と大幅に業績改善した。新型コロナウイルスの影響により業務用家電市場の低迷の影響から不調となった家電製品事業を、利益率の高いFPSC事業での強い引き合いにより穴埋めし、2016年2月期の589百万円の水準を回復した。営業CFは2017年2月期と2019年2月期を除いてプラス。投資CFはマイナスを継続。財務CFは2017年2月期以降マイナスが続く。自己資本比率は2021年2月期で62.2%。前期の54.6%から改善した