6619 ダブル・スコープの業績について考察してみた

6619 ダブル・スコープの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2005年10月神奈川県に設立、以降一貫してリチウムイオン二次電池用セパレータの開発製造、販売を主たる業務としている。同時に韓国にて現・連結子会社を設立、2007年8月に韓国財政経済部よりリチウムイオン電池用隔離膜製造事業に対し租税減免決定を受ける。韓国の他に2011年1月には香港、2014年2月には中国に連結子会社を設立している。株式は2011年12月に東証マザーズ上場、2015年11月に東証一部変更となった。

株主構成

2020年5月19日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、筆頭株主は、同社代表取締役社長の崔元根(Choi Won-kun)氏で保有割合11.73%。次いでTAIYO HANEI FUND L.P.5.22%と続き、以降は保有割合5%以下で海外証券会社、銀行、アセットマネジメントや国内信託銀行の信託口が並ぶ。尚、外国人株式保有比率は30%以上である。また変更報告書によると、マスト・アセット・マネジメント・インクの保有割合が8.10%、野村證券と共同保有者が5.01%であることが報告されている。

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は4名(全員社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない取締役は住商機電貿易株式会社、韓国サムスン電子株式会社などでの経歴を有す。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の崔元根氏は1963年5月生まれ。韓国・成ソンギュンガン均館大学卒業後、1990年6月韓国サムスン電子株式会社入社。知人の化学者たちとセパレーターの開発に成功、2000年5月韓国でワイド社を起業し取締役副社長に就任したが、韓国電池メーカーから相手にされず。日本での起業を条件に、日本のVCであるTNPパートナーズを中心に日本で出資を受けて、2005年10月同社設立、代表取締役に就任した。

報告セグメント

「リチウムイオン二次電池用セパレータ事業」の単一報告セグメント。2021年12月期第1四半期連結売上高6,088百万円のうち、94.2%が韓国顧客向け売上高。中国顧客向けが4.7%、残りは日本、米国等向けだった。アプリケーション別では車載用55.0%、民生機器用45.0%という構成

2021年12月期第1四半期 決算説明資料

事業モデル

リチウムイオン電池の主要な部品である正極材、負極材、電解液、セパレーターのうち、正極と負極を分離するセパレーターを同社は製造する。従い、リチウムイオン電池メーカーが主要な顧客。2021年12月期第1四半期は韓国Samsung SDIグループ向け売上が全体のおよそ8割を占めた。同社製品はその100%が韓国現地法人の工場で生産され、同社および韓国、中国の現地法人を通じ、販売を行っている。リチウムイオン電池は、スマートフォン、ノートパソコンなどの消費者家電、EVやアイドリングストップ機能を持つ車のスタートバッテリーなどの自動車向けなど幅広く、今後もEVを中心に自動車向けの需要が拡大していくと見られる。

同社HP>IR情報>事業内容

競合他社

3407旭化成(2020年6月期売上高66,880百万円)、3402東レ(2020年12月期売上高15,985百万円)、3401帝人/b>(2020年6月期売上高66,880百万円)などの大手素材メーカーの他、中国・韓国メーカーが競合となる。

連結の範囲

連結子会社4社で構成され、製造子会社2社が韓国にありW-SCOPE KOREA CO., LTD.が主に民生向け製品を、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.が主に車載向け製品を製造している。加えてW-SCOPE KOREA CO., LTD.の子会社2社が中国に拠点を持つ。

強み・弱み

韓国大手電池メーカーとの結びつきが同社の強み。一方でリチウムイオン二次電池用セパレータの単一事業のため、同電池を用いる最終製品(携帯電話、ノートパソコン、EV、HEV)の売れ行きに業績が大きく左右される。また韓国、中国、ハンガリー向けの売上高が各3割前後を占めており、当該国のカントリーリスクおよび為替リスク(
ウォン、米ドル)を負う
。同社製品の主原料ポリオレフィンの価格動向も同社業績に影響を与えるものと考えられる。

KPI

①EV市場動向(2019年世界で推計195万8000台、矢野経済研究所調べ)
②原材料価格(ポリオレフィン等)
③為替動向(韓国ウォン、米ドル)

業績

直近5期(2016年12月期から2020年12月期)で売上高はほぼ2倍に。需要の伸びが期待される車載用向け製品を製造する2016年10月に設立した韓国製造子会社の寄与が大きいとみられる。また従来は中国向け売上の比率が高かったものの、当該国政府の助成金制度の見直しによる悪影響が懸念されたため、欧州自動車メーカーとの関係を強化してきた韓国電池メーカー向けの供給量を増やすべくターゲット市場を変更した。利益面では製造ライン投資を継続していることなどから償却等固定費負担が重く、営業赤字継続し疑義注記が付されている。直近5期のフリーCFは恒常的にマイナス、自己資本比率は67.8%から14.1%に低下している。