3891 ニッポン高度紙工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1941年8月に高度紙の製造・販売を目的として、ニッポン高度紙工業株式会社を設立。1943年4月に電解コンデンサ用セパレータの生産を開始。1987年3月に機能性樹脂事業を開始。2004年2月に大証JASDAQに上場。2013年7月に東証と大証の合併に伴い、東証JASDAQ(スタンダード)に上場。本社は高知県。アルミ電解コンデンサ用セパレータで世界シェア首位。車載や産業機器、データセンター向けに販売される、電気絶縁用紙セパレータの専業メーカーである

株主構成

四半期報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は取引先である8032日本紙パルプ商事の持分法適用関連会社の東京産業洋紙株式会社で9.3%。次いで前代表取締役会長の関裕司氏の資産管理会社とみられるTMY株式会社が6.2%、8032日本紙パルプ商事株式会社が4.8%、株式会社四国銀行が4.7%、株式会社日本カストディ銀行の信託口4つなどの保有が並ぶ。尚、大量保有報告書によると、アセットマネジメントOneの保有割合が5.04%であることが報告されている。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は5名(社内4名、社外1名)、監査役4名 (社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役全員がプロパー入社とみられ、製造部門、営業部門、管理部門出身者が各1名務めている。また、2021年6月16日付の人事で代表取締役社長に就任予定の近森氏に代わり、現在管理本部管理部長を務める高橋寿明氏が取締役執行役員管理部長に昇格する予定。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の山岡俊則氏は1953年8月生まれ。成蹊大学法学部を卒業後、株式会社四国銀行を経て、1991年10月に同社に入社。2005年6月に取締役を経て、2015年6月に現職に就任した。尚、2021年6月16日付で取締役専務執行役員の近森俊二氏が代表取締役社長に就任する予定との人事が発表されている。近森氏は成蹊大学工学部卒業後、1981年3月に同社入社。管理本部長や営業本部長を経験、2015年6月取締役就任を経て、2020年6月より現職を務めている。山岡氏は代表権の無い会長に就任予定。

報告セグメント

「セパレータ事業」の単一セグメントだが、製品別に「コンデンサ用セパレータ」と「機能材」の2つに分けることができる。2021年3月期は売上高15,918百万円の内、コンデンサ用セパレータが11,963百万円で75.2%、機能材が3,955百万円で24.8%を占める。製品別の利益内訳は開示されていないが、全体の営業利益率は10%前後。

同社HP TOP>製品情報/研究開発

事業モデル

主にアルミ電解コンデンサ向けセパレータであるコンデンサ用セパレータと、電池用セパレータや電気二重層キャパタ用セパレータ等の機能材の製造・販売を手掛けるアルミ電解コンデンサ用は世界シェア6割を誇る。売上高の7割以上を占めるコンデンサ用セパレータは、車載や産業機器、データセンター向けが中心。今後はデータセンター向けで需要拡大が期待される、導電性高分子固体コンデンサやハイブリッドコンデンサ用セパレータの拡販に注力する。
一方、電池用セパレータはスマートメーターや風力発電向けの電気二重層キャパタ用や車載向け大型リチウムイオン電池用の需要が拡大している。生産拠点は国内4拠点とマレーシアに1拠点。主要顧客は王子エフテックス株式会社であり、売上高の54.4%(2020年3月期)を占める海外売上比率は52.7%(同)であり、中国での売上が総売上高の20.1%を占める

競合他社

リチウムイオン電池用セパレータ専業メーカーの6619ダブルスコープ株式会社(2020年12月期売上高18,479百万円)のほか、3407旭化成(2020年6月期売上高66,880百万円)、3402東レ(2020年12月期売上高15,985百万円)、3401帝人(2020年6月期売上高66,880百万円)などの大手素材メーカーや、中国・韓国メーカーが競合となる。

連結の範囲

アセアンに進出する日系顧客企業への供給網として、マレーシアに連結子会社1社を持つ

強み・弱み

強みとして、製品開発力と生産体制が挙げられる。高知和紙をもとに高度紙の製造・販売事業からスタートした同社は、高度紙の持つ耐熱性と耐水性を活かしていち早くセパレータの製造に着手。80年に渡る歴史を持つ。現在では主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータは国内シェア95%、世界シェア60%を誇る。同社が手掛けるセパレータは350種類以上であり、少量・多品種の製品への対応が可能。工場への積極的な設備投資を実施し、災害や特需の際にも安定供給が可能な生産体制を整える。
懸念点は、売上の7割以上を占めるコンデンサ用セパレータの需要が自動車産業の動向や企業の設備投資意欲に左右されること、パルプ等の原材料価格変動リスクなどが挙げられる。

KPI

KPIにはコンデンサ用セパレータの売上高推移、販売先業界の市場規模動向などが挙げられる
・コンデンサ用セパレータの四半期売上高推移(2020年3月期)
・データセンターサービス市場規模(2020年国内1兆4,518億円、IDC調べ)
・自動車生産台数(2019年世界で91百万台、OICA調べ)

2020年3月期決算発表会資料

業績

過去5期を見ると、2018年6月に連結子会社だったフィリピンのパルプ製造会社を譲渡した影響もあり、売上高は2018年3月期をピークに2020年3月期までに▲23.5%減収も、自動車分野や産業機器向けの需要回復により2021年3月期は前期比+21.5%の増収。経常利益は2018年3月期から2020年3月期にかけて▲37.9%の減収も、2021年3月期は高付加価値品の売上増加や計画的な生産推進などの取組による原価率低減を受け前期比188%の増益。関係会社貸付等により投資CFが大幅マイナスだった2016年3月期以降、フリーCFはプラス。自己資本比率は50%台から2021年3月期は66.3%と上昇傾向