3865 北越コーポレーションの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1907年4月に北越製紙株式会社として、紙の製造を目的に創立。1949年5月に東証一部に上場。2009年10月に北越紀州製紙株式会社に商号変更。2012年8月に大王製紙株式会社を持分法適用関連会社とする。2018年7月に北越コーポレーション株式会社に商号変更。総合製紙メーカーとして、国内シェア5位。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で6.6%、次いで日本カストディ信託銀行が5.4%、業務提携先の三菱商事株式会社が4.0%、北越コーポレーション持株会が3.7%。大王海運株式会社が2.9%と、その子会社である美須賀海運株式会社が2.6%、川崎紙運輸株式会社が2.5%と、3社で8%を占め、大王海運株式会社が実質的な筆頭株主。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は11名(社内9名、社外2名)、監査役3名 (社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。常務取締役の川島嘉則氏は1978年4月に三菱商事株式会社に入社。2005年1月に三菱商事株式会社のタイ拠点である泰MC商事会社を経て、2013年6月に同社取締役を経て2017年6月に現職へ就任。その他、代表を除く7名の社内取締役は、プロパー出身者とみられる

代表取締役の経歴

代表取締役社長CEOの岸本晢夫氏は1945年5月生まれ。1969年7月に三菱商事株式会社へ入社。1995年7月同社へ入社し物資本部に従事。1999年6月に取締役、2001年6月常務取締役、2004年6月専務取締役、2006年7月代表取締役副社長を経て、2008年4月現職へ就任

報告セグメント

「紙パルプ事業」、「パッケージング・紙加工事業」の2セグメントに大別され、報告セグメントに含まれない事業として木材事業、古紙卸業、建設業、運送・倉庫業を「その他」としている。直近2021年3月期第3四半期は調整前の売上高182,479百万円の内、紙パルプ事業が145,377百万円で79.7%、パッケージング・紙加工事業が12,092百万円で6.6%、セグメント外のその他が25,010百万円で13.7%を占める。
セグメント利益は紙パルプ事業とその他は、固定資産の譲渡に伴う減損損失を計上したため、同期はマイナスで、パッケージング・紙加工事業の利益率は1~4%と低い。連結営業損益は2,890百万円の赤字、通期で1,000百万円の黒字を確保する会社計画。

事業モデル

印刷・情報用紙や白板紙を中心に、特殊紙や段ボール原紙等を生産販売する総合製紙メーカー。国内5位のシェアを誇る。紙パルプ事業は、洋紙事業、白板紙事業、特殊紙事業、紙パルプ事業の4つの事業で構成され、同社及び子会社の製造拠点を国内に複数保有し、海外はカナダと中国に工場を有す。印刷・情報用紙を扱う洋紙事業は、幅広い製品ラインナップを揃え、色上質紙では国内トップシェア。洋紙事業は長期的に輸出拡大傾向にあり、2011年に三菱商事株式会社との合弁で中国に白板紙の製造販売を目的とした子会社を設立。2015年にはカナダの紙パルプ生産販売会社を買収し、海外事業の拡大を進める。2020年3月期時点で海外売上比率は30.5%を占め、原燃料輸入取引に加え、製品輸出や海外子会社の連結にあたり、為替の変動が業績に相応の影響を与える
パッケージング・紙加工事業は、原紙から最終製品までグループで一貫した生産が可能。コンビニエンスストア向けの食品容器の製造等を行う。今後はプラスチック代替容器や包装用紙への需要拡大が期待でき、2020年2月には新紙素材の「パンセ」を開発。紙本来のリサイクル性を維持しながらプラスチックの使用量を大幅に抑えた設計になっており、具体的商業化を目指す
紙・パルプ市場は、デジタル化の進展とともにグローバルに縮小傾向が継続している。新興国の原紙・段ボールなどの需要を取り込むことや、プラスチック代替容器等に対応した紙需要の取り込みが欠かせない。なお同社は、北米、中国、フランスに連結子会社を構え、2020年4月より自社内にグローバル事業推進部を新設。海外事業の管理と、新規需要の取り込みに注力。グループ会社間の連携を強め、新分野や新事業の検討を進めている。

競合他社

製紙国内首位の3861王子ホールディングス株式会社(2020年3月期売上高15,076億円)、製紙国内2位の3863日本製紙株式会社(同10,439億円)、製紙国内4位の3880大王製紙株式会社(同5,464億円)などが競合として挙げられる。近年注目の高まるESG投資の代表的指数への組み入れ銘柄として3861王子ホールディングスや3863日本製紙は選定される機会が増えている

連結の範囲

同社グループは同社と連結子会社20社、主要な非連結子会社4社、持分法適用関連会社4社から構成される。主要な連結子会社は紙パルプ事業の販売を担う北越製紙販売株式会社や製造販売を行う北越東洋ファイバー株式会社であり、海外では北米、中国、フランスで紙・パルプ事業を行う5社の連結子会社がある。主要な持分法適用関連会社には同社製品の販売先である大王製紙株式会社や、紙加工を委託する株式会社ニッカンが並ぶ。

強み・弱み

拡大する海外事業と、紙加工事業における一貫した生産体制の2点が強みである。特に海外売上比率は、業界首位の王子ホールディングス株式会社が30%、2位の日本製紙株式会社が16%と、同社の30.5%は業界内では高い水準にある。一方で、コロナ禍を受けて急速に進むデジタル化による紙需要の減少に対応し、収益基盤を再構築することが業界全体の課題

KPI

海外売上高比率、売上高営業利益率、ROE、EBITDA、ネットD/Eレシオの5つが挙げられる。2020年3月期の実績は下記
①海外売上高比率 30.5% (前期比▲4.6pt)
②売上高営業利益率 4.2% (前期比+0.5pt)
③ROE 4.3% (前期比▲0.5pt)
④EBITDA 348億円 (前期比+26億円)
⑤ネットD/Eレシオ 0.47倍 (前期 0.49倍)

業績

2011年3月期から2020年3月期の10期間で売上高は2,170億円から2,646億円まで拡大し、営業利益も17年3月期以降は100億円を超える水準で安定。2020年3月期からコロナウイルス感染症拡大の影響による世界的な需要減退により減収減益傾向にあるが、足元では底入れも見え、中計では業績再拡大を計画。営業CFはプラスを継続、投資CFと財務CFは継続してマイナス。自己資本比率は50%を超えて安定推移。