6740 ジャパンディスプレイの業績について考察してみた

6740 ジャパンディスプレイの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

2002年10月東京都に中小型液晶ディスプレイ製造及び関連製品の開発、設計、製造及び販売を事業目的とする株式会社日立ディスプレイズを設立。株式会社日立製作所から中国で主に製造を展開する中国現地法人を取得し子会社化。2011年9月東京都に中小型ディスプレイデバイス及び関連製品の開発、設計、製造及び販売を事業目的とした株式会社ジャパンディスプレイ統合準備会社が発足し、同年11月に産業革新機構、日立製作所、東芝、ソニーの4社が、日立ディスプレイズ、東芝モバイルディスプレイ、ソニーモバイルディスプレイの統合契約を締結。2012年3月社名を株式会社ジャパンディスプレイに変更。2014年3月東証一部に上場。中小型ディスプレイの製造・販売等を行う。経営再建中。

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末時点の筆頭株主は、株式会社INCJが48.62%を保有。次いで、いちごトラスト(常任代理人 香港上海銀行東京支店)が26.48%を保有。そのほかに、信託銀行や日亜化学工業株式会社、羽田タートルサービス株式会社などが並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上。なお、所有議決権の個数は、いちごトラスト(常任代理人 香港上海銀行東京支店)が44.27%。
なお、2019年に台湾・中国資本の投資会社Suwaコンソーシアムから業務・資本提携の話があったが、最終的に払い込みがなされず同提携は解除されたとみられる。

取締役会

取締役は7名(社内2名、社外5名)。監査委員会、指名委員会、報酬委員会の委員により構成される。取締役監査委員会委員長の植木俊博氏は、日本アイ・ビー・エム株式会社の出身者。

代表取締役の経歴

取締役 取締役会議長指名委員会委員長報酬委員会委員長のスコット キャロン氏は1964年12月生まれ。プリンストン大学を卒業後、スタンフォード大学の博士課程を修了。1994年3月に日本開発銀行設備投資研究所の客員研究員として入所。その後、バンカーズ・トラスト・アジア証券会社やモルガン・スタンレー証券会社などを経て、2006年5月いちごアセットマネジメント株式会社を設立し、代表取締役社長へ就任。2020年に経営再建中の同社へ出資し、代表取締役会長へ就任した。

報告セグメント

「中小型ディスプレイ事業」の単一セグメント。2022年3月期第2四半期の売上高は137,860百万円、営業損失は▲7,033百万円であった。

事業モデル

同社グループが手掛ける中小型ディスプレイは、主としてスマートフォン、タブレット端末、車載用機器、医療機器、ウェアラブル機器、デジタルカメラ、ハイエンドノートPC等に搭載される
スマートフォンやタブレット端末向けの製品は、有機ELの量産化に出遅れて経営危機に陥っていることもあり、薄型化、狭額縁化、高精細化、低消費電力化、異形加工(Notch, 穴加工, コーナーR加工)、光学性能の改善など、市場の動きをリードする製品開発を進めている。
車載向け製品は、カーナビゲーション、インパネ、後部座席モニターなど車載用機器に使用される液晶モジュールなどを製造。温度条件、振動条件などの厳しい車載環境に対応できる信頼性、耐久性に配慮した製品を提供する。
医療分野では、医療従事者向けに、患者の個人情報セキュリティである「指紋認証センサ」や、医療向け訓練用VRソリューションなどを提供する。
同社事業の中心であるスマートフォン市場では、中国・インド市場の減速や買い替えサイクルの長期化に加えて、新型コロナウイルスの影響や世界的半導体不足の影響等により、市場の成長が世界的に鈍化している。
高価格帯スマートフォン市場においては、顧客であるスマートフォンメーカーのOLEDディスプレイ採用の拡大によって、液晶ディスプレイの需要は大きく減退。
また、韓国・中国メーカーのOLEDディスプレイとLTPS液晶ディスプレイの攻勢により、競争環境が一層厳しくなっている
また、車載市場においても、新型コロナウイルスの影響や世界的半導体不足の影響等により、世界的に自動車生産が減少した。中小型ディスプレイメーカーはスマートフォン用途以外の車載用途等に生産能力をシフトさせていることから、競争環境がより厳しくなる傾向にあるとみられる。

競合他社

6753シャープ(直近決算期売上高2兆4,259億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社、海外製造子会社3社、海外販売子会社等7社で構成され、中小型ディスプレイ及び関連製品の開発、設計、製造及び販売事業を営む。

強み・弱み

ガラス上にLTPS(低温ポリシリコン)トランジスタを高集積化し、高精細、低消費電力、自由なデザインを実現する高い技術力が強み。売上の大半を中小型ディスプレイの売上に依拠しているため、国内外における中小型ディスプレイの市場動向の影響を受けやすい点が構造的な弱み。「財務」の項目にて後述するが、ガバナンス、財務基盤、経営基盤の改革が急務となっており、2022年には1月12日に減資について臨時総会を開催予定である。

KPI

同社は経営再建中であり、EBITDAの黒字転換をKPIとして挙げている。
(2022年3月期第2四半期実績:△2,761百万円)

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

業績

2017年3月期から2021年3月期までの5期をみると、売上高は883,045百万円から341,694百万円、経常損失は▲15,476百万円から▲32,656百万円と5期連続の赤字。売上高の大幅な減少が見られ、さらには過去数期にわたる不適切な会計処理が発覚するなど、厳しい経営状況となっている。継続前提に疑義注記あり。営業CFは4期連続でマイナス、投資CFは2020年3月期以外マイナス。2022年3月期第2四半期の自己資本比率は24.1%。

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