6740 ジャパンディスプレイの業績について考察してみた

6740 ジャパンディスプレイの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

ジャパンディスプレイ(JDI)事業概要

ジャパンディスプレイ(Japan Display Inc: 以下JDI)は、中小型のディスプレイデバイスの製造販売を行う企業であり、もともとは2002年に日立の中小型液晶ディスプレイの製造会社である日立ディスプレイズがオリジンであり、その後2011年に産業革新機構(INCJ)、日立・東芝・ソニーの4社が統合契約を締結しJDIとして発足している。
JDIが手掛ける中小型ディスプレイは、スマートフォン・タブレット端末・車載用機器・医療機器、ウェアラブル機器・デジタルカメラ・ハイエンドノートPCに搭載されている。JDIの事業セグメントは中小型ディスプレイの単一事業である。
同社の役員の状況は男性8名、女性1名の計9名となっている。取締役会議長のスコット・キャメロン氏はスタンフォード大学APACリサーチセンターからキャリアを始め、その後はバンカーズトラストやモルガンスタンレー等の外資系金融にてリサーチ業務に就いてきた金融畑の人間である。
JDIの事業は中小型ディスプレイ液晶の専業であるが、グローバルに事業展開をしており、特に高精細・広視野角・低消費電力・薄型・軽量といった高性能・高付加価値の中小型ディスプレイの製造販売に強みがある。完成市場も前述のようにスマートフォン・タブレット端末・車載用機器・医療機器、ウェアラブル機器・デジタルカメラ・ハイエンドノートPCと広範にわたっているのが特徴である。
株主構成に関しては産業革新機構(INCJ)が筆頭株主であり(2020年3月期有価証券報告書)、議決権の49%を、続いていちごトラストが26.5%、その他は信託銀行等が5%未満の持分を有している状況である。
主たる競合企業は韓国のサムスン電子のほか、中国や台湾のディスプレイメーカーが多く名を連ねる。事業上のリスクとしては、売上高の貢献度が高い、高価格帯スマートフォンの市場が飽和化しており、新興国では低価格帯スマートフォン市場が拡大しており意図した通りに売上高が増加しない可能性、中国台湾のメーカーの攻勢に押されてしまい競争環境が激化するリスク、景気の変動を含む市況の変化により販売数量および販売価格に影響を受ける可能性がある点であろう。

中小型液晶ディスプレイ

JDIの事業は中小型液晶ディスプレイを高精細・軽量・薄型などの高付加価値製品に仕上げることでスマートフォンや有機ELなどのエンドマーケットを中心に販売している事業モデルである。JDIは単一セグメントであるものの、アプリケーション別に売上高を開示しており、モバイル分野(主にスマートフォンやタブレット)向けの売上高は2020年3月期において全体の69.6%を占める3,508億円となっている。クラスターやヘッドアップディスプレイなどに関するアプリケーションである,車載分野では売上高の20.5%を占める1,035億円となっている(2020年3月期)。米中経済摩擦などの影響を受けやすい分野であり出荷量が減少している。また、ノンモバイル分野ではデジタルカメラ・ウェアラブル機器の産業用ディスプレイのほか特許収入を計上しており、売上高全体の9.9%を占める497億円(2020年3月期)の実績となっている。
JDIの強みはAppleを主要顧客として有しており、売上高の60%超を占めていることや日の丸連合として高い技術力を有していることであろう。一方で弱みは財務基盤が弱く(そのためINCJがスポンサーに入っている)、中国や韓国・台湾のディスプレイメーカーの攻勢に押され、競争環境が激化していることが挙げられる。
ただし、直近の決算発表では2020年第2四半期においてコロナの影響により売上高が前年同期比16%減少したものの、構造改革や固定費削減が功を奏し、営業利益が253億円改善(前年同期△352億円→当期2Q△99億円)、EBITDAも221億円改善(前年同期:△243億円→当期2Qするなど△22億円)、業績改善の進捗が見られることは評価できる点であろう。