6962 大真空の業績について考察してみた

6962 大真空の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1963年5月兵庫県に株式会社大和真空工業所を設立。1965年7月水晶振動子部品の生産を開始。1983年3月大証二部上場。1989年5月株式会社大真空に商号変更。1991年9月大証一部に変更。2013年7月取引所統合に伴い、東証一部上場。水晶デバイスの大手メーカー

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合12.36%。同社創業者により設立された一般財団法人長谷川福祉会が7.43%、日本カストディ銀行の信託口が7.33%で続き、以降は保有割合5%未満で国内信託銀行信託口、国内金融機関および生保、同社代表取締役、大真空社員持株会、海外銀行が名を連ねる。尚、5%ルール報告書によると、みずほ銀行および三井住友信託銀行と各共同保有者の持分がそれぞれ5%を超えている旨の報告がされている。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパーとみられる。なお、そのうちの取締役営業本部副部長である長谷川晋平氏は1979年2月生まれで、代表取締役会長の長谷川宗平氏の長男である。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長の長谷川宗平氏は1953年6月生まれ。1977年4月に同社入社。1989年6月に取締役、2000年11月に代表取締役社長に就任。2021年7月より現職を務める
代表取締役社長の飯塚実氏は1961年9月生まれ。姫路工業大学(現兵庫県立大学)卒業後、1985年4月に同社入社。2014年7月に取締役に就任。2021年7月より現職を務める

報告セグメント

生産・販売体制を基礎とした所在地別で、日本、北米、欧州、中国、台湾およびアジアの6報告セグメントに大別される。2022年3月期第2四半期の外部顧客への売上高21,434百万円の構成比は、各20.2%、3.0%、6.8%、36.9%、27.8%、5.1%だった。同四半期の営業利益は2,762百万円。日本はセグメント間の内部売上高を多く計上しており、セグメント利益の面では台湾同様に、1,300百万円を超える利益を計上し、この2地域で利益の太宗を稼いでいる。北米の利益が極端に少なく、アジアは赤字だった。

事業モデル

同社グループは各種水晶デバイスの生産・販売を行っている。水晶デバイスは、スマートフォンなどの情報通信機器、AV機器、自動車などの電子機器に使われている。2021年3月期の用途別売上高は下記の通り。

2021年3月期決算説明会資料

報告セグメントは地域毎で、日本は同社、海外はそれぞれ現地の連結子会社が担当している。
水晶デバイスは、ADAS向けや電装化の進展による車載マーケットや、5GスマホやWiFi6向けの通信用途の市場規模が拡大していくことが見込まれる。

競合他社

水晶デバイスの競合メーカーとして、6666リバーエレテック(2021年3月期売上高5,458百万円)や、6779日本電波工業(同39,195百万円)が挙げられる。

連結の範囲

同社および連結子会社13社で構成される。同社が製造販売するほか、製造を委託されている連結子会社が株式会社九州大真空ほか、インドネシア、中国、台湾、タイに拠点を持つ。販売子会社は米国、香港、中国、シンガポール、タイ、ドイツにあり、各地域の販売を担う。

強み・弱み

「KDS」ブランドとして定評がある高い技術力が強み。2019年には当時世界最小・最薄の差動出力水晶発振器(通信機器に用いられる製品)を開発。また小型化が進むスマートフォン用の水晶部品を加工するフォトリソブランク加工は、同社を含めた国内メーカーが先行、海外メーカーは同加工での量産に成功していない。一方で海外売上高比率が2021年3月期で87.5%に達し、カントリーリスクや為替リスクを持つほか、継続的に設備投資を行っており、需要予測の変動や外部環境の変化により収益を圧迫する可能性が考えられる。

KPI

①水晶市場規模(通信機器向け、下図参照)

2021年3月期決算説明会資料

②フォトリソブランク加工製品売上高比率(2021年3月期下半期13%、2024年3月期で30%以上目標)
③設備投資額(2022年3月期から3年間の中期計画ではフォトリソブランク加工中心に毎期200億円以上を計画)
④為替動向(米ドルほか)

業績

売上、収益ともに低下基調だったが、2020年3月期以降増収増益に転じている。テレワーク需要や5Gスマートフォンの立ち上がりを受け通信機器が堅調だったほか、車載向けも2021年3月期第2四半期以降回復傾向で推移している。利益面は製品構成や価格の見直しが功を奏し、2021年3月期は前年比+652.2%の営業増益となった。フリーCFは設備投資額大きく恒常的にマイナス。2021年3月期の自己資本比率は40.6%。過去は50%台だったが低下傾向。