8154 加賀電子の業績について考察してみた

8154 加賀電子の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1968年9月に電子機器および電子部品などの販売を目的として東京都千代田区外神田に加賀電子株式会社を設立した。その後、1985年12月に日本証券業協会に株式を登録、1986年12月に東京証券取引所市場第二部に株式上場、1997年9月に東京証券取引所市場第一部に指定替え。電子部品・半導体販売およびEMS(電子部品・機器の設計・製造受託)ビジネスを主力とする独立系のエレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して業容を拡大している。2019年1月には富士通エレクトロニクスを子会社化(現・加賀FEI、株式を段階取得して2022年1月に完全子会社化予定)、2020年4月には株式会社エクセルを子会社化した。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月31日現在の筆頭株主はパチンコメーカー大手の株式会社三共で自己株式除く発行済株式総数に対する所有割合13.92%、ついで創業者である塚本勲氏の資産管理会社とみられる株式会社OKOZEで同6.70%、株式会社日本カストディ銀行(信託口)で同6.25%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で5.32%と並び、以下は5%未満の保有。外国人株式保有比率は10%以上20%未満である。

取締役会

取締役11名(社内7名、社外4名)で構成されている。監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。伊藤萬株式会社の出身者の1名を除き、社内取締役は太宗がプロパーとみられる。社外取締役の三吉暹氏はトヨタ自動車株式会社出身で代表取締役副社長などを歴任している。田村彰氏は日本銀行出身で、新潟綜合警備保障株式会社顧問(現任)やソレキア株式会社社外取締役(現任)などと兼任している。橋本法知氏は三菱電機株式会社出身で取締役や顧問を歴任している。西山博一氏は日本放送協会(NHK)出身で理事(技術最高責任者)などを歴任している。社内監査役は2名とも銀行出身者で、現在の三菱UFJ銀行とみずほ銀行で各々支店長まで務めた。社外監査役の橘内進氏は公認会計士で橘内公認会計士事務所代表(現任)などと兼任している。佐藤陽一氏は東京高等裁判所判事を経て弁護士登録し、アルファパートナーズ法律事務所(現任)と兼任している。

代表取締役の経歴

取締役会長(代表取締役)の塚本勲氏は1943年9月生まれ。1968年2月加賀電子(個人経営)を創業、1968年9月同社を設立して代表取締役社長就任、2007年4月代表取締役会長就任(現任)した。
取締役社長(代表取締役)の門良一氏は1957年12月生まれ。1980年同社入社、取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て2014年4月同社代表取締役社長へ就任(現任)した。

報告セグメント

電子部品事業、情報機器事業、ソフトウェア事業、その他事業の4セグメントとしている。2021年3月期の構成比は、売上高が電子部品事業85.5%、情報機器事業10.0%、ソフトウェア事業0.5%、その他事業3.9%で、営業利益(調整前)が電子部品事業83.7%、情報機器事業12.9%、ソフトウェア事業▲1.5%、その他事業4.9%だった。

事業モデル

電子部品事業は独立系の総合エレクトロニクス商社として半導体・一般電子部品の販売代理店事業を国内外の顧客へ提供するほか、完成品から半完成品までEMSの設計開発製造のトータルサポートを実施する。
情報機器事業はパソコン・周辺機器・各種家電販売等を国内外の流通チャネルへ供給し、ネットワークソリューションを提供する。
ソフトウェア事業はニュービジネスとして、CG映像制作やアミューズメント関連の製品・ソフト開発や製造販売のほか、ゴルフ用品販売も行う。
その他事業はエレクトロニクス機器修理や保守サポート、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売等を展開する。
10か国、22拠点をグローバルに展開しており、欧州、中国・アジア、日本、アセアン、米州の5地域でグローバルなEMS生産体制を有し、現地ローカル企業及び日系企業と取引するほか、チェコに実装設備を設置しているだけでなく、生産はメキシコ(中国より移管中)で行っている。

競合他社

富士通エレクトロニクス(現・加賀FEI)を子会社化して、売上高で業界2位規模のエレクトロニクス総合商社となった。競合する大手エレクトロニクス商社の上場企業としては、マクニカ・富士エレホールディングス(3132)、レスターホールディングス(3156)、丸文((7537)、シークス(7613)、菱電商事(8084)、リョーサン(8140)などがある。

連結の範囲

2021年3月期末時点でグループは同社、連結子会社61社(国内19社、海外42社)、持分法適用関連会社5社(国内2社、海外3社)、および持分法非適用関連会社1社(国内1社)で構成されている。

強み・弱み

メーカー系列に属さない独立系商社としての強みに加えて、業界トップクラスの技術とサービス、グローバルなEMS拠点網等を強みとしている。製造受託から販売・その後のサポートまでワンストップで対応できる総合力を強みとして掲げる。一方で、多国展開するため、高い経営管理能力やグローバル人材の継続的な育成と確保が必要な他、地政学リスクや為替リスクを負っている。また、高齢の創業者が会長として在籍しており、社内のガバナンス体制や世代交代への懸念もある。

2021年度 会社説明資料

KPI

同社は規模拡大と同時に「稼ぐ力(営業利益)」を重要指標としている。2012年3月期~2021年3月期のグループおよび同社本体の売上総利益率、営業利益率の推移は以下の通りである。収益性の低い富士通エレクトロニクス(現・加賀FEI)を子会社化したことで、商社ビジネスが拡大してグループ全体の売上総利益率および営業利益率が一旦低下したが、同社本体の売上総利益率および営業利益率はEMSビジネスの拡大などで上昇基調を維持している。

2021年3月期 決算説明会資料

業績

長期的にならしてみればM&Aも寄与して売上高・営業利益ともに拡大基調にある。2021年3月期はコロナ禍からの経済活動回復も背景として、2期連続で営業最高益を更新した。過去3期間の財務状況(現預金、有利子負債、D/Eレシオ、ネットD/Eレシオ)は下図の通りである。富士通エレクトロニクス(現・加賀FEI)やエクセルの子会社化など積極的なM&Aで有利子負債が増加しているが、D/Eレシオは0.4倍前後、ネットD/Eレシオはマイナス0.1倍前後と低水準で推移している。また自己資本比率は2018年3月期の54.80%から、2019年3月期に35.84%まで低下したが、その後は上昇傾向を強めている。財務面での大きな課題は見当たらない
M&Aも積極活用しながら、商社ビジネスの量的拡大とEMSビジネスによる質的向上によって、利益額の拡大と利益率の向上、さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指している。利益率の向上が中期的な課題だろう。

2021年3月期 決算説明会資料