3156 レスターホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2009年10月に株式会社ユーエスシーと共信テクノソニック株式会社が経営統合し、共同持株会社の株式会社UKCホールディングスを設立して東証1部に上場した。さらに2019年4月に株式会社UKCホールディングスと株式会社バイテックホールディングスが経営統合し、商号を株式会社レスターホールディングスに変更した。大手エレクトロニクス商社である。

株主構成

有価証券報告書によると、2020年9月末時点の筆頭株主は代表取締役CEOの今野邦廣氏の親族の資産管理会社とみられる株式会社ケイエムエフ(自己株式除く発行済株式総数に対する所有割合17.12%)である。株式会社エスグラントコーポレーション(同5.68%)の他、菱洋エレクトロ(同3.77%)の他は信託銀行等の信託口やメガバンクなどの金融機関が並ぶ。

取締役会

取締役は10名(社内4名、社外6名)、うち監査等委員は6名(社外4名)、監査等委員会設置会社である。なお2020年4月に、社長、会長等の役職を置かず、理念・ビジョンを共有した複数の代表取締役による「革新的グループ経営」体制に移行し、取締役会の諮問機関としてGP指名・報酬委員会を設置している。なお代表取締役だった原田宣氏と矢島浩氏が2020年9月30日をもって退任し、2020年10月1日付で代表取締役は今野邦廣氏(CEO)、三好林太郎氏、稲葉俊彦氏、尾崎享氏の4名となっている。

2020年3月期 決算補足説明資料

代表取締役の経歴

代表取締役CEOの今野邦廣氏は1940年7月生まれ。1987年4月株式会社バイテックを設立して代表取締役に就任、2019年4月の経営統合に伴ってレスターホールディングス代表取締役会長兼CEOに就任、2020年4月同社代表取締役CEOに就任(現任)した。
三好林太郎氏はソニー株式会社等を経て2020年4月同社代表取締役に就任(現任)、稲葉俊彦氏はソニー株式会社及び株式会社バイテック等を経て2020年4月同社代表取締役に就任(現任)、尾崎享氏は松下電器産業株式会社及び共信コミュニケーションズ等を経て2020年4月同社代表取締役に就任(現任)した。

報告セグメント

半導体及び電子部品事業、調達事業、電子機器事業、環境エネルギー事業の4セグメントである。2021年3月期第3四半期の売上高構成比(調整前)は、半導体及び電子部品事業70.5%、調達事業22.1%、電子機器事業5.2%、環境エネルギー事業3.0%。セグメント利益は半導体及び電子部品事業で太宗を稼ぎ、調達事業と環境エネルギー事業は赤字。

事業モデル

半導体及び電子部品事業は、デバイス事業(半導体・電子部品及び関連商材の仕入れ販売、技術サービス等によるソリューション提供)、及びEMS事業(電子機器受託製造サービス提供)を展開している。ソニー製をはじめとした国内外の最先端半導体。高機能電子部品やエネルギー・環境関連の商材を取り扱う。EMSでは中国東莞やベトナムの自社工場で電子機器受託製造サービスを提供する。信頼性試験・環境物質分析サービスや、システムエンジニアリングも提供。
調達事業は、グローバル調達トレーディングと関連業務受託サービスによる最適サプライチェーンマネジメントを展開している。
電子機器事業は、電子機器、計測機器、システム機器の販売・技術サポート・ソリューションを展開している。
環境エネルギー事業は、エネルギー事業(自社メガソーラー発電所を中心とする再生可能エネルギーの導入・普及に向けた地域共存型運営管理サービス)、新電力事業(再生可能エネルギーを中心とする電力供給・売買仲介・コンサルティング)、及び植物工場事業(大手スーパーマーケット・コンビニエンスストア・外食チェーン等の業務用市場に向けた完全閉鎖型植物工場の運営)を展開している。

競合他社

半導体・液晶・電子部品販売やEMSを主力とする売上規模の大きい大手エレクトロニクス商社としては、2737トーメンデバイス、3132マクニカ・富士エレホールディングス、7537丸文、8084菱電商事、8140リョーサン、8154加賀電子などが挙げられる。経営統合などで業界再編も進み、レスターホールディングスは売上規模で第3位となっている。

連結の範囲

2020年3月期末時点でグループは同社(持株会社)、連結子会社39社、関連会社17社で構成されている。主要な連結子会社は、半導体及び電子部品事業の株式会社レスターエレクトロニクス、株式会社UKCシステムエンジニアリング、調達事業のPTT株式会社、電子機器事業の共信コミュニケーションズ株式会社、株式会社レスターキャステック、環境エネルギー事業の株式会社バイテックエネスタ(エネルギー)、株式会社V-Power(新電力)、株式会社おおたローカルエナジー(新電力)、株式会社バイテックベジタブルファクトリー(植物工場)である。
なお半導体及び電子部品事業の株式会社レスターエレクトロニクスと株式会社UKCシステムエンジニアリングは、2021年4月1日付で統合して商号を株式会社レスターエレクトロニクスに変更した。また共信コミュニケーションズ株式会社は2021年4月1日付で株式会社レスターコミュニケーションズに商号変更した。

強み・弱み

エレクトロニクス商社業界は、得意分野に特化して高収益を上げる中堅企業もあるが、一般的にはメーカー系や独立系などがひしめく競合の激しい分野である。汎用品の卸売だけでは利益率の上昇が見込めず、メーカー機能や技術サポートによる優位性が求められる。メーカーの戦略変更によって商権(販売代理店契約)を失うこともリスク要因となる。
同社は経営統合によって業界3位の売上規模となった。そして商社機能(半導体・電子部品の多彩なラインナップ、幅広い取引先、グローバルな調達機能、強力なサポート体制)と、メーカー機能(自社工場におけるEMS事業)を併せ持ち、環境・エネルギー分野にも事業領域を拡大して、事業間シナジーやグループ総合力を強化している。植物工場の運営も特徴だ。

KPI

特に重要なKPIは公表されていない。

業績

2019年4月の経営統合以降、2020年3月期の連結業績は、売上高が2019年3月期比84.5%増の379,548百万円、営業利益が47.2%増の6,637百万円、経常利益が115.0%増の9,025百万円、親会社株主帰属純利益が161.0%増の5,722百万円だった。経営統合の効果で大幅増収増益だった。売上高営業利益率は1.7%で0.5ポイント低下したが、ROEは8.3%で2.7ポイント上昇した。
2021年3月期の連結業績予想は、売上高が2020年3月期比7.8%減の350,000百万円、営業利益が9.6%減の6,000百万円、経常利益が33.5%減の6,000百万円、親会社株主帰属純利益が39.8%増の8,000百万円としている。純利益は特別利益を計上(第3四半期に投資有価証券売却益3,865百万円を計上)して増益予想としている。
経営統合後のシナジー効果等で利益率の上昇が今後の課題となる