4011 ヘッドウォータースの業績について考察してみた

4011 ヘッドウォータースの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 603 61 10.12%
FY2023.Q2 2023.06 555 -15 -2.7%
FY2023.Q3 2023.09 628 38 6.05%
FY2023.Q4 2023.12 529 10 1.89%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2020.Q3 2020.09 301 32 10.63%
FY2020.Q4 2020.12 264 3 1.14%
FY2021.Q1 2021.03 277 16 5.78%
FY2021.Q2 2021.06 282 17 6.03%
FY2021.Q3 2021.09 296 25 8.45%
FY2021.Q4 2021.12 316 33 10.44%
FY2022.Q1 2022.03 302 -10 -3.31%
FY2022.Q2 2022.06 343 11 3.21%
FY2022.Q3 2022.09 422 23 5.45%
FY2022.Q4 2022.12 507 86 16.96%
FY2023.Q1 2023.03 603 61 10.12%
FY2023.Q2 2023.06 555 -15 -2.7%
FY2023.Q3 2023.09 628 38 6.05%
FY2023.Q4 2023.12 529 10 1.89%

沿革

2005年11月、ソフトウェア開発を目的に、東京で株式会社スマートビジョンテクノロジー設立。2007年10月、株式会社ヘッドウォータースへ商号変更。2014年6月にロボットアプリ制作(人型ロボット向けのアプリケーション開発)サービス開始、2015年1月には「Pepper事業」、「PocketWorkMate事業」を開始。2016年3月にクラウドロボティクスサービスを、2018年1月にはマルチAIプラットフォーム「SyncLect(シンクレクト)」をリリース。2020年9月東証マザーズ上場、現在は同グロース。業務システムやロボットへのAI導入、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援などの提供を事業とする。

株主構成

四半期報告書によると、2022年6月末時点の筆頭株主は代表取締役の篠田庸介氏で51.29%保有。以下は5%未満の保有率で、投資事業有限責任組合、個人などが続く。2022年3月29日付のコーポレート・ガバナンスに関する報告書によると、外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、うち3名は監査等委員(全員社外)、監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役のうちプロパーは1名で、他は株式会社日本ブレインウェアなどのIT関連企業出身者。社外取締役には倉庫、証券会社の経験者、弁護士が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役の篠田庸介氏は1968年4月生まれ。東京工科大学中退後、1989年6月に株式会社プレステージジャパングループ(セレクトインテリアショップ運営)入社。国内外のブランド並行輸入を行うベンチャー企業の立上げに参画。1997年9月、ジャパンエデュケーションキャピタル株式会社(現株式会社スマートビジョン)を設立。1999年9月、e-learning事業を柱とする株式会社日本サービス企画を設立。2005年11月に株式会社スマートビジョンテクノロジー(現同社)設立、代表取締役に就任(現任)

報告セグメント

「AIソリューション事業」の単一セグメントであるが、サービス別に「AIインテグレーション」、「DX」、「プロダクト」、「OPS」に分類される。2021年12月期の外部顧客への売上高1,171百万円の構成比は、AIインテグレーション35.0%、DX47.5%、プロダクト5.6%、OPS11.6%と、AIインテグレーションならびにDXが二本柱。地域別では、日本国内での売上が90%を超える。

事業モデル

AIインテグレーションサービスは、ITやAIのシステム開発を通して、顧客企業の経営課題に対する解決策を提案する。業務体制の分析、AI活用部分の抽出・概念実証を行った後、選定したAIの既存業務への組込・運用開始までをワンストップで提供。
DXサービスはAI化のファーストステップとして、業務・サービスのデジタル移行およびクラウドサービス移行を行う。
プロダクトサービスでは、AIプロダクト「SyncLect」、「Pocket Work Mate」等を提供するほか、カスタマイズによって経営課題を解決するサービスも行っている。
OPSサービスは、AIインテグレーションサービスで開発したシステムの改善・保守、DXサービスのシステム運用を担当。
なお、同社は受注生産方式での売上計上が中心となるため、原価抑制と高利益率を目的に、生産性向上のほか外注の積極利用なども図っている。
また、企業のデジタルトランスフォーメーション化は加速し、IT投資の活発化に伴う人材不足は継続すると予想される。同社は、より多くの業種・業態におけるAIの有効活用によって人手に依らない業務の効率化や集客を実現し、顧客のさらなる発展のためにAIを利用したシステム開発を進めるとしている。

2022年12月期第2四半期決算説明会資料 p.7

競合他社

同社は迅速な定義や実証実験などの提供を得意とし、大手のシステムインテグレーターとは基本的に競合しないと推測されるが、例えば3993(株)PKSHA Technology(売上高11,509百万円)、3906(株)ALBERT(売上高3,338百万円)などは、AI開発、データサイエンス、DX推進などの領域で競合し得る。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社2社で構成される。連結子会社の株式会社ヘッドウォータースコンサルティングならびに株式会社ヘッドウォータースプロフェッショナルズは、いずれも2022年2月に設立。前者は一気通貫的コンサル案件を、後者はDXサービス事業を担当する。

強み・弱み

AI活用に関する経験と開発力を生かして、システムの立案から開発・保守までをワンストップで提供可能な点が強み。多様な業種・業態の企業との取引実績も、AI人材の採用・育成の面で有利。一方、顧客企業の設備投資動向、同業他社のシェア拡大、大手IT企業などの参入がリスクとして懸念される。事業成長に十分なAI人材を採用し育成できるか否かについては未知数。

KPI

顧客数、実施案件数、売上単価などが主要KPIと見られる。
顧客数(2022年12月期第2四半期):92社(前年同期比+15社)
実施案件数(同上)
・AIインテグレーション:28件(前年同期比▲5件)
・DX:64件(同上+23件)
・プロダクト:59件(同上+16件)
・OPS:57件(同上+2件)
平均売上単価(2022年12月期第2四半期)
・AIインテグレーション:2,583千円(前年同期比▲15.9%)
・DX:3,117千円(同上+0.7%)
・プロダクト:391千円(同上+17.4%)
・OPS:852千円(同上+18.7%)

業績

2017年12月期~2021年12月期の4年間で売上高を922百万円から1,171百万円へ伸ばすなど、順調に業容を拡大。ただし、経常利益は2020年12月期の155百万円をピークに、2021年12月期は上場管理費用ならびに従業員増加に伴う人件費及び教育費用の増加により93百万円と減益。2022年12月期第3四半期も同様の傾向で、売上高1,067百万円(前年同期比+24.8%)、営業利益24百万円(同▲58.6%)、経常利益19百万円(同▲68.3%)となった。なお、前年は非連結であったため前年同期比は参考値。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2022年12月期第3四半期の自己資本比率は77.7%。

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