4397 チームスピリットの業績について考察してみた

4397 チームスピリットの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q3 2023.05 982 -53 -5.4%
FY2023.Q4 2023.08 996 -144 -14.46%
FY2024.Q1 2023.11 1,043 -48 -4.6%
FY2024.Q2 2024.02 1,083 -32 -2.95%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2018.Q4 2018.08 346 -3 -0.87%
FY2019.Q1 2018.11 394 10 2.54%
FY2019.Q2 2019.02 449 80 17.82%
FY2019.Q3 2019.05 456 58 12.72%
FY2019.Q4 2019.08 521 95 18.23%
FY2020.Q1 2019.11 552 44 7.97%
FY2020.Q2 2020.02 607 84 13.84%
FY2020.Q3 2020.05 631 107 16.96%
FY2020.Q4 2020.08 655 50 7.63%
FY2021.Q1 2020.11 671 71 10.58%
FY2021.Q2 2021.02 750 120 16%
FY2021.Q3 2021.05 731 6 0.82%
FY2021.Q4 2021.08 744 -28 -3.76%
FY2022.Q1 2021.11 772 3 0.39%
FY2022.Q2 2022.02 799 -2 -0.25%
FY2022.Q3 2022.05 832 -33 -3.97%
FY2022.Q4 2022.08 858 -86 -10.02%
FY2023.Q1 2022.11 891 -23 -2.58%
FY2023.Q2 2023.02 940 1 0.11%
FY2023.Q3 2023.05 982 -53 -5.4%
FY2023.Q4 2023.08 996 -144 -14.46%
FY2024.Q1 2023.11 1,043 -48 -4.6%
FY2024.Q2 2024.02 1,083 -32 -2.95%

沿革

1996年11月に有限会社デジタルコーストを設立。2008年4月にデジタルコースト株式会社に商号変更。2011年10月に米セールスフォース社と資本提携。2012年4月に働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」をサービス開始。2012年9月に株式会社チームスピリットに商号変更。2018年8月に東証マザーズに上場、現在は東証グロース市場に区分。本社は東京都中央区。勤怠管理や経費精算等を行うクラウドサービス「TeamSpirit」を提供

株主構成

有価証券報告書によると、2022年8月末時点の筆頭株主は代表取締役の萩島浩司氏で32.1%、次いでDraper Nexus Technology Partners2号投資事業有限責任組合が9.4%、その他は保有割合5%未満で株式会社日本カストディ銀行の信託口、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口、BNY、ノルウェー政府など国内外金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は5名(社内1名、社外4名)、監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。社外取締役の古市克典氏は9432日本電信電話PwCコンサルティング合同会社等を経て、2018年11月に現職に就任。社外取締役で監査等委員を兼任する田邉美智子氏は公認会計士資格を保有し、有限責任監査法人トーマツでの勤務経験を持つ。

代表取締役の経歴

代表取締役の萩島浩司氏は1960年5月生まれ。1982年4月に日幸興産株式会社に入社。アイ・エヌ・エス株式会社にてプログラマーとして勤務後、1996年10月に有限会社ネットウェイ、11月に同社を設立した。2011年8月には自身の資産管理会社オーバーザレインボー株式会社を設立。

報告セグメント

「SaaS事業」の単一セグメントである。売上高はライセンス売上高とプロフェッショナルサービス売上高の2つに分けられる。2022年8月期の売上高3,261百万円の内、ライセンス売上高が2,706百万円で83%、プロフェッショナルサービス売上高が555百万円で17%を占める。2022年8月期は赤字転換、経常損失を計上。

事業モデル

主力の「TeamSpirit」は勤怠・就業管理、工数管理、コミュニケーションツール、経費精算等のソフトを一体化したクラウドサービスであり、SaaS形態で提供する。従業員の活動状況を複合的に定量化・可視化し、顧客企業の生産性向上をサポートする。使用期間や社内のユーザー数に応じて課金するサブスクリプションサービスとして、継続的な収益が積み上がるリカーリングレベニュー方式を採用し、ライセンス売上高を構築する。顧客の約半数を大手・中堅企業が占めており、三菱地所や資生堂、フジテレビ等といった幅広い業種にサービスを提供する。またTeamSpiritのファミリー製品としてプロジェクト原価管理サービス「TeamSpirit Leaders」も提供する。2022年8月末時点でのTeamSpiritシリーズの契約ライセンス数は382,046(前期比+18.8%)ライセンスで、契約社数は1,644社に達する。米セールスフォース社と資本提携を行っており、グローバル水準のセキュリティ環境を持つSalesforce PaaSを基盤にアプリケーションの開発・提供を実施。同社では米セールスフォース社とのOEM契約に基づいて、ユーザー当たりの月額課金の仕入れ費用を支払う
プロフェッショナルサービスとして、TeamSpiritの導入・稼働や運用を担当コンサルタントが有償支援する「スポットサポート」と「プレミアサポート」を提供する。

競合他社

「楽楽精算」等のクラウドサービスを提供する3923ラクス (2022年3月期売上高20,629百万円) 、法人向けの会計・人事クラウドサービスを扱う3994マネ―フォワード (2021年11月期同15,632百万円)クラウド型名刺管理サービスを提供する4443Sansan (2022年5月期同20,420百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

シンガポールに連結子会社1社を持ち、アジア・太平洋地域でのソフトウェアの開発・販売を行う

強み・弱み

強みとして強固な顧客基盤と低解約率が挙げられる。同社では2022年8月期時点でTeamSpiritシリーズの契約ライセンス数の50.6%を、契約数が500ライセンス以上の中堅・大手企業が占める。プライム・スタンダード市場の上場企業では三菱地所や資生堂、フジテレビ、カゴメ等が顧客に挙げられ、グロース市場では2018年から2020年に上場した企業の約4社に1社が顧客に並ぶ。またTeamSpiritの解約率は2022年8月期で0.46%と低水準を推移し、強固な顧客基盤からのストック型収益を軸とした収益体制を構築する。
懸念点としては米セールスフォース社への依存リスクと、顧客企業の会計年度末が集中する3月末に契約が偏重することによる売上高の季節変動リスクが挙げられる。

2022年8月期 決算説明資料

KPI

KPIには①ARR、②ライセンス数、③月次解約率が挙げられる

2022年8月期 決算説明資料
2022年8月期 決算説明資料
2022年8月期 決算説明資料

業績

売上高は2017年8月期から2019年8月期にかけて、働き方改革関連法の施行に伴い新規契約が増え、約2.4倍に増加。連結財務諸表の作成を開始した2020年8月期以降、2022年8月までの2年で売上高は2,445百万円から3,261百万円と1.3倍増加。経常利益は2018年8月期にプラス転換したものの、2022年8月期は広告宣伝費や人件費が増加し、126百万円の損失を計上している。フリーCFはプラスを推移していたが、直近の赤字転換でマイナスとなっている。自己資本比率は40%台後半から50%台前半を推移する

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