4765 モーニングスターの業績について考察してみた

4765 モーニングスターの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q1 2023.06 2,446 541 22.12%
FY2024.Q2 2023.09 2,543 586 23.04%
FY2024.Q3 2023.12 2,587 543 20.99%
FY2024.Q4 2024.03 2,561 441 17.22%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 1,290 409 31.71%
FY2018.Q1 2017.06 1,551 532 34.3%
FY2018.Q2 2017.09 1,297 331 25.52%
FY2018.Q3 2017.12 1,489 309 20.75%
FY2018.Q4 2018.03 1,630 466 28.59%
FY2019.Q1 2018.06 1,788 573 32.05%
FY2019.Q2 2018.09 1,442 332 23.02%
FY2019.Q3 2018.12 1,385 389 28.09%
FY2019.Q4 2019.03 1,389 353 25.41%
FY2020.Q1 2019.06 1,730 472 27.28%
FY2020.Q2 2019.09 1,603 393 24.52%
FY2020.Q3 2019.12 1,598 295 18.46%
FY2020.Q4 2020.03 1,883 381 20.23%
FY2021.Q1 2020.06 1,806 430 23.81%
FY2021.Q2 2020.09 1,809 442 24.43%
FY2021.Q3 2020.12 1,864 412 22.1%
FY2021.Q4 2021.03 2,006 481 23.98%
FY2022.Q1 2021.06 1,987 506 25.47%
FY2022.Q2 2021.09 1,950 487 24.97%
FY2022.Q3 2021.12 2,056 520 25.29%
FY2022.Q4 2022.03 2,130 616 28.92%
FY2023.Q1 2022.06 2,007 515 25.66%
FY2023.Q2 2022.09 2,073 507 24.46%
FY2023.Q3 2022.12 2,446 495 20.24%
FY2023.Q4 2023.03 2,221 314 14.14%
FY2024.Q1 2023.06 2,446 541 22.12%
FY2024.Q2 2023.09 2,543 586 23.04%
FY2024.Q3 2023.12 2,587 543 20.99%
FY2024.Q4 2024.03 2,561 441 17.22%

沿革

1998年1月ソフトバンク株式会社とモーニングスター・インク(米国)との合弁で、インターネット等を利用した金融情報提供サービスを目的として、モーニングスター株式会社設立。2000年6月に大証ナスダック(現在の東証ジャスダック)上場。2003年11月ソフトバンク・ファイナンス株式会社に対し第三者割当増資を実施。その後株式譲渡により現在の8473SBIホールディングスが同社の親会社となる。2020年10月東証一部に変更、2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。現在は、投信を販売する金融機関向けのファンドデータ提供やファアンド・オブ・ザ・イヤーの選定などのサービスや、『サーチナ』などの自社Webメディア運営により、日本だけでなく中国や海外の投資関連情報などを提供する他、公募・私募の投信の運用や投資助言サービスなどのアセットマネジメント事業も展開する。

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月31日時点の筆頭株主は、SBIグローバルアセットマネジメント株式会社で保有割合41.5%米国のモーニングスター・インク22.1%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口が5.9%で続き、以降は保有割合5%以下となりニューヨーク銀行など海外金融機関、JPモルガン証券、個人投資家とみられる個人名が並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は後述の代表取締役と、8473SBIホールディングス代表取締役の北尾吉孝氏と米国モーニングスター・インク(米国)出身者の外国人で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役執行役員社長の朝倉智也氏は1966年3月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1989年4月北海道拓殖銀行に入行。メリルリンチ証券を経た後、1995年米国イリノイ大学にてMBA取得。卒業後、ソフトバンク株式会社に入社。1998年11月同社入社、取締役インターネット事業部長、常務取締役等を歴任後、2004年7月に同社代表取締役社長に就任、以降同社および関連会社の代表取締役、取締役を務めている

報告セグメント

「ファイナンシャル・サービス事業」と「アセットマネジメント事業」の2報告セグメントに大別される。2023年3月期第1四半期売上高2,007百万円の内部調整前の各割合は、ファイナンシャル・サービス事業が26.1%、アセットマネジメント事業が73.9%だった。営業利益の構成割合はアセットマネジメント事業が7割強を占める。

2023年3月期第1四半期決算の概況

同社グループの事業に関連性の高い投資信託市場では、ETFを除く公募追加投資型株式投資信託の純資金流入額が、2021年3月期の3兆1,179億円から2022年3月期は9兆6,885億円と大幅に増加している。一方で2022年は年初から株、債券とも世界的に下落している。(2022年9月現在)

事業モデル

ファイナンシャル・サービス事業はデータ・ソリューションとメディア・ソリューションに大別される。データ・ソリューションでは資産運用全般の情報提供およびコンサルティングを行う。投資信託を販売する金融機関向けに提供するタブレットアプリ「Wealth Advisors」主に個人投資家対象のスマホ・PC向けデータ提供、株式新聞Webなどを展開している。紙媒体の日刊株式新聞も発行していたが、2021年3月31日に休刊となった。また2021年7月にWebコンサルティングサービスを会社分割により譲渡を行っている。メディア・ソリューションでは同社HPでの広告掲載や金融商品を販売する金融機関等の広告に関するコンサルティング、各種セミナーの実施を行う。
アセットマネジメント事業は投資信託の設定、募集、運用などの投資運用や投資助言を行う。2012年10月に完全子会社化したSBIアセットマネジメントは、運用残高を好調に伸ばしている(KPI参照)。SBIグループの運用残高(運用助言残高含む)は3.7兆円。主に地域金融機関向けの私募投信およびリテール向けの公募投信を取りそろえる。

競合他社

投資関連情報を提供する企業として、7833アイフィスジャパン(2021年12月期売上高5,280百万円)、3802フィスコ(同1,156百万円)などが挙げられる。急速に利益成長するアセットマネジメント事業では、複数の競合が存在し、8739スパークス・グループ(2022年8月末運用資産残高15,737億円)などが競合になるとみられる。

連結の範囲

連結子会社10社でグループを構成し、主要子会社としてアセットマネジメント事業を担う中間持株会社のSBIアセットマネジメント・グループ株式会社や個人投資家向け投資助言業等を行うイー・アドバイザー株式会社が挙げられる。

同社HP>企業情報>主要子会社および関連会社

強み・弱み

「Wealth Advisors」は多くの金融機関に導入されており、また高い支持を得ている。収益拡大策として、有価証券での運用ニーズが高まる地方金融機関への営業においては、地銀連合構想に基づき地銀との資本提携を進めるSBIホールディングスの傘下企業としてのシナジー効果が活かされるものと考えられる。「貯蓄から投資」のスローガンのもと、NISAやiDeCo等制度の発足により個人投資家層が拡大してきていることも同社業績に好影響を与えている。一方で株式市場の冷え込み等により投資信託販売が落ち込むと信託報酬の減少などを通じ業績に影響が出る

KPI

①Wealth Advisors提供社数(2022年6月時点511社、前年同月比+17社)
②同社アプリダウンロード数(同時点1,020,648ダウンロード、同+10.2%)
③グループ運用残高(同時点37,828億円、同+21.9%)

2023年3月期第1四半期決算の概況

業績

2022年3月期決算では、売上高、営業利益、経常利益、当期利益すべての項目で過去最高を更新。利益項目は全項目で前年同期比2桁増益となった。売上高は10期連続の増収、経常利益は13期連続の増益。足元ではアセットマネジメント事業による運用残高増加の寄与が大きい。フリーCFはプラスの期多いが投資CFの変動が大きい。自己資本比率は83.9%。2020年3月期に20億円の短期借入金を計上したが返済し、無借金経営。

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