4765 モーニングスターの業績について考察してみた

4765 モーニングスターの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1998年1月ソフトバンク株式会社とモーニングスター・インク(米国)との合弁で、インターネット等を利用した金融情報提供サービスを目的として、モーニングスター株式会社設立。2000年6月に大証ナスダック(現在の東証ジャスダック)上場。2003年11月ソフトバンク・ファイナンス株式会社に対し第三者割当増資を実施。その後株式譲渡により現在のSBIホールディングス株式会社が同社の親会社となる。2020年10月東証一部に変更。現在は、投信を販売する金融機関向けのファンドデータ提供やファアンド・オブ・ザ・イヤーの選定などのサービスや、『サーチナ』などの自社Webメディア運営により、日本だけでなく中国や海外の投資関連情報などを提供する他、公募・私募の投信の運用や投資助言サービスなどのアセットマネジメント事業も展開する。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月30日時点の筆頭株主は、SBIグローバルアセットマネジメント株式会社で保有割合47.6%。次いで米国のモーニングスター・インク30.4%で、以降は保有割合5%以下となりニューヨーク銀行など海外金融機関、同社代表取締役、個人投資家とみられる個人名が並ぶ。尚2020年10月20日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は20%以上30%未満である。

取締役会

取締役は9名(社内7名、社外2名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役の経歴は様々であるが、SBIホールディングス代表取締役の北尾吉孝氏など、ソフトバンクグループ、SBIグループ出身者は社長の朝倉氏含め4名と多くなっている。その他は外資系金融機関の出身者や、米国モーニングスターインク(米国)の取締役兼任の外国人などである。

代表取締役の経歴

代表取締役執行役員社長の朝倉智也氏は1966年3月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1989年4月北海道拓殖銀行に入行。メリルリンチ証券を経た後、1995年米国イリノイ大学にてMBA取得。卒業後、ソフトバンク株式会社にて転進。1998年11月同社入社、取締役インターネット事業部長、常務取締役等を歴任後、2004年7月に同社代表取締役社長に就任、以降同社および関連会社の代表取締役、取締役を務めている。

報告セグメント

「ファイナンシャル・サービス事業」と「アセットマネジメント事業」の2報告セグメントに大別される。2021年3月期売上高6,814,629百万円の内部調整前の各割合は、ファイナンシャル・サービス事業が33.3%、アセットマネジメント事業が66.7%だった。ファイナンシャル・サービス事業はさらにデータ・ソリューションとメディア・ソリューションに大別され、全体売上に占める割合は各24.5%と8.7%だった。営業利益の構成割合はアセットマネジメント事業が6割強を占める。

2021年3月期 通期決算の概況

事業モデル

データ・ソリューションでは資産運用全般の情報提供およびコンサルティングを行う。投資信託を販売する金融機関向けに提供するタブレットアプリ「Wealth Advisors」や主に個人投資家対象のスマホ・PC向けデータ提供、株式新聞Webなどを展開している。メディア・ソリューションでは同社HPでの広告掲載や金融商品を販売する金融機関等の広告に関するコンサルティング、各種セミナーの実施を行う
アセットマネジメント事業は投資信託の設定、募集、運用などの投資運用や投資助言を行う。2012年10月に完全子会社化したSBIアセットマネジメントは、運用残高を好調に伸ばしている。SBIグループの運用残高(運用助言残高含む)は2.9兆円。主に地域金融機関向けの私募投信およびリテール向けの公募投信を取りそろえる。

競合他社

投資関連情報を提供する企業として、7833アイフィスジャパン(2020年12月期売上高5,355百万円)、3802フィスコ(同1,119百万円)などが挙げられる。急速に利益成長するアセットマネジメント事業では、複数の競合が存在し、8739スパークス・グループ(2021年2月末運用資産残高14,831億円)などが競合になるとみられる。

連結の範囲

連結子会社9社および持分法適用関連会社1社で構成され、主要子会社としてアセットマネジメント事業を行うSBIアセットマネジメント株式会社や個人投資家向け投資助言業等を行うイー・アドバイザー株式会社が挙げられる。

同社HP>企業情報>主要子会社および関連会社

強み・弱み

収益拡大策として、有価証券での運用ニーズが高まる地方金融機関への営業においては、地銀連合構想に基づき地銀との資本提携を進めるSBIホールディングスの傘下企業としてのシナジー効果が活かされるものと考えられる。「貯蓄から投資」のスローガンのもと、NISAやiDeCo等制度の発足により個人投資家層が拡大してきていることも同社業績に好影響を与えている。一方で株式市場の冷え込み等により投資信託販売が落ち込むと信託報酬の減少を受け業績に影響が出る。

KPI

①Wealth Advisors提供社数(2021年3月現在482社、前年比+51社)
②モーニングスターWebサイト月間PV(2021年2月5,347万PV)
③グループ運用残高(2021年3月現在28,691億円、前年比+65.8%)

業績

2021年3月期決算では、売上高、営業利益、経常利益、当期利益すべての項目で過去最高を更新。経常利益は12期連続の増益で5.3倍に拡大した。足元ではセミナーや広告関連が低調も、運用残高の増加の寄与が大きい。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは投資有価証券の売却によりプラスとなった2018年3月期を除いてマイナス。自己資本比率は84.6%。2020年3月期に20億円の短期借入金を計上したが返済し、無借金経営。