8739 スパークス・グループの業績について考察してみた

8739 スパークス・グループの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1988年6月、虎ノ門投資顧問株式会社として東京都にて創業。1989年7月、スパークス投資顧問株式会社へ商号変更し、投資顧問業務を開始する。2000年3月に証券投資信託委託業の認可を取得した。同月スパークス・アセット・マネジメント投信株式会社へ商号変更。2006年10月、持株会社体制に移行し、スパークス・グループ株式会社に商号を変更する。2012年6月、東京都の官民連携インフラファンド運営事業者に選定される。2019年3月、東証一部へ変更。現在は東証プライム。

株主構成

2021年9月末時点の保有比率に大量保有報告書の内容を加味すると、筆頭株主は創業者かつ代表取締役社長グループCEOの阿部修平氏で、38.5%を保有する。また同氏の資産管理会社株式会社、阿部キャピタルが15.0%を保有し、計53.5%と過半数になる。次いで英国の資産運用会社M&Gインベストメント・マネジメントが5.1%を保有する。次点以降は機関投資家が中心。ほか個人投資家でサマンサタバサの大株主でもある清水優氏や、代表取締役副社長グループCOOの深見正敏氏、7203トヨタ代表取締役社長の豊田章男氏の名が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、社外3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。
社内取締役3名は全員が代表権を持つ

代表取締役の経歴

代表取締役社長グループCEO阿部修平氏は1954年5月生まれ。上智大学経済学部を卒業後、米国バブソン大学にてMBAを取得。1981年4月に4307野村総合研究所へ入所し、出向先のニューヨークでは米国機関投資家向けの日本株セールスに従事する。1982年4月野村證券株式会社へ転籍。1985年4月、ニューヨークでアベ・キャピタル・リサーチ株式会社を設立。投資家として著名なジョージ・ソロス氏から1億ドルの運用を任される。1989年6月にスパークス・グループを創業し、代表取締役に就任した。
代表取締役副社長グループCOOの深見正敏氏は1961年9月生まれ。1984年4月、野村證券株式会社に入社。当時の取引先だったスパークス・グループの投資哲学に触れて、1997年11月に同社へ入社する。2002年6月、代表取締役へ就任。以後、グループ会社の取締役を歴任し、2017年6月より再び同社取締役を務める。
代表取締役専務グループCIOの藤村忠弘氏は1963年12月生まれ。筑波大学社会工学部を卒業後、1986年4月に日興アセットマネジメントへ入社。1997年7月、同社に入社した。グループ会社でシニア・ファンド・マネージャー、運用調査本部長などを経て、2017年6月に同社取締役就任。

報告セグメント

「投信投資顧問事業」の単一セグメントである。

事業モデル

収益は大きく2種類に分かれる。ひとつ目は残高報酬。投資信託等を証券会社を通じて一般顧客に販売し、運用資産の残高と報酬料率に応じて生じる収益だ。ふたつ目は成功報酬だ。運用を通じた投資家からの報酬で、運用成績によって変動する
投資の4本柱として日本株アジア株実物資産(再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産や不動産)未来創生(国内外のベンチャー企業)を据える。
代表的な投資信託は「新・国際優良日本株ファンド」で、大型株約20銘柄に集中して投資をおこなう。投資信託では通常40銘柄以上を組み入れる手法が一般的。年間2,000~3,000社の企業訪問を繰り返して培った、同社のリサーチ力が厳選投資を実現している。

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

資産運用会社においては、市場の拡大とともに競争の激化が見られる。日本の資産運用会社の運用受託額は2012年3月以降、順調に増加。2021年3月時点で825兆円と推定される。一方で、小口投資家をターゲットにしたFintech企業が業界に参入する動きがあり、競争は避けられないだろう。

野村総合研究所 日本の資産運用ビジネス2021-22

競合他社

投資顧問事業では野村アセットマネジメントが国内最大手。ほかアセットマネジメントOne、三菱UFJ国際投信などが競合として挙げられる。

連結の範囲

持株会社である同社の傘下に、国内外の連結子会社14社、持分法適用関連会社1社を抱える。主要な子会社は投資信託の運用を担うスパークス・アセット・マネジメント株式会社。海外は英国、韓国、香港、米国に、資産運用業や投資アドバイザリー業を営む100%子会社を有する。

強み・弱み

徹底した企業分析と、分析にもとづいた資産運用が強み。「マクロはミクロの集積である」という投資哲学のもと、企業への個別訪問による調査活動が特徴。同社アナリストが1年で訪問する企業件数は400社にのぼる。課題はマネジメント人材、後任取締役の育成である。理由は大きく2点ある。まず同社の意思決定は創業者・代表取締役社長・大株主である阿部修平氏への依存度が高いこと。次に、創業時から徹底している独特の調査活動は、高い知見や見識を持った人材に下支えされていることだ。すでに経営課題として後進の育成に取り組んでいるが、時間や資源が必要であり、進捗状況が懸念される。

KPI

同社はKPIとして運用資産残高、成功報酬額、ROEを挙げている。
・運用資産残高(平均):2022年3月期15,719億円(前年同期比+17.0%)
・成功報酬:2022年3月期3,166百万円(前年同期比▲61.8%)
・ROE:2022年3月期17.1%(前年同期比+1.0)

2022年3月期 本決算説明資料

業績

過去5期分の業績を見ると、営業収益は波があるものの成長基調。13,227百万円から14,043百万円と+6.0%である。営業利益は6,668百万円から6,464百万円へと▲3.0%だが、2019年3月期の4,051百万円から持ち直す動き。自己資本比率はおおむね60%台前半で推移している。営業CFはプラス、投資CFは恒常的にマイナスである。

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