8698 マネックスグループの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2004年8月、マネックス証券株式会社および日興ビーンズ証券株式会社の共同持株会社として、マネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社設立、同時に東証マザーズへ上場。2005年9月に東証一部に変更となった。2008年4月にトウキョウフォレックス株式会社を子会社化、FX事業を開始。同年7月に商号をマネックスグループ株式会社に変更。2018年4月コインチェック株式会社を子会社化し、暗号資産交換業にも進出。ネット証券、暗号資産、有価証券投資業等、グループ全体で各種金融サービスを展開している。

2021年3月期 決算説明資料

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、業務提携契約を締結する8355静岡銀行で保有割合26.30%。次いで同社代表取締役松本氏の資産管理会社とみられる株式会社松本で6.69%。以降は5%以下で、国内銀行信託口、同社代表執行役社長の松本大氏、元代表取締役の工藤恭子氏、みずほ証券、6098リクルートホールディングス、8253クレディセゾン、海外銀行が名を連ねる。尚、変更報告書によるとシュローダー・インベストメント・マネジメントの保有割合が9.45%、野村証券と共同保有者が8.61%、ティー・ロウ・プライス・ジャパンが6.09%であると報告されている。また、2021年1月1日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である。

取締役会

取締役は9名(社内3名、社外6名)、うち監査委員は3名(全員社外)、監査委員会設置会社である。社内取締役はゴールドマンサックスや日興証券等、国内外大手金融機関経験者である。

代表権を有する取締役の経歴

代表執行役は2名。代表執行役社長チーフ・エグゼクティブ・オフィサーの松本大氏は1963年生まれ。東京大学卒業後、1987年4月ソロモン・ブラザーズ・アジア証券入社。ゴールドマンサックスでの勤務を経て、1999年4月同社の前身となる株式会社マネックスをソニーとの共同出資で設立、代表取締役に就任する。東京証券取引所、新生銀行、カカクコムなど社外で取締役を務めた後、2013年より現職を務める。現在は子会社のコインチェック証券株式会社、マネックス証券株式会社の取締役会長も兼任する。
代表執行役チーフ・オペレーティング・オフィサーの清明祐子氏は1977年9月生まれ。京都大学卒業後、2001年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。株式会社MKSパートナーズを経て、2009年同社入社の後、WRハンブレクトジャパン株式会社(現マネックス証券株式会社)に出向。2016年6月には同社執行役に就任。マネックス証券株式会社では常務執行役員、専務執行役員等を歴任後、2019年4月より代表取締役社長を務めている。インターネット証券では初の女性社長2020年1月より現職に就任

報告セグメント

「日本」、「米国」、「アジア・パシフィック」、「クリプトアセット事業」および「投資事業」の5報告セグメントに大別される。2021年3月期の営業収益77,905百万円の内部調整前の各割合は、日本39.4%、米国31.0%、アジア・パシフィック2.0%、クリプトアセット事業26.7%、投資事業0.9%。営業利益は全体の5割弱を占めるクリプトアセット事業のほか、日本、米国の3報告セグメントで大半の利益を計上している。

事業モデル

日本セグメントは子会社マネックス証券でのブローカー業務が中心。主な顧客層は40~50代を中心とした中長期の資産形成層米国セグメントは子会社トレードステーション社にてブローカー業務を行う。自社開発の取引プラットフォームの評価が高く、アクティブトレーダーを中心とした顧客層を形成している。日本、米国とも営業収益の50%前後を委託手数料収入が占めるクリプトアセット事業は子会社コインチェックにて暗号資産交換業を展開している。ミレニアル世代を中心とした資産運用未経験層が主な顧客層で、BTCを含む12種類の暗号資産を取引できる販売所の売買価格スプレッドが主な収益源となっている。アジアパシフィックセグメントは香港拠点のマネックスBoom証券と豪州拠点のマネックスオーストラリア証券で構成される。業歴浅く、業容の拡大、収益の安定化を目指す。投資事業は子会社を通じ、ベンチャー投資を行う。2020年3月末現在の投資先は34件。

2021年3月期 決算説明資料

競合他社

ネット証券では同社(2021年3月末預り資産5.1兆円、口座数1,937千口座)とともにSBI証券(同19.7兆円、口座数6,813千口座)楽天証券(同11.6兆円、5,080千口座)松井証券(同2.9兆円、1,328千口座)、auカブコム証券(同2.6兆円、1,272千口座)が5大証券として競合関係にある。暗号資産取引の競合としては、DMMBitcoin、GMOコイン、bitFlyerなどが挙げられる。

連結の範囲

持株会社である同社と連結子会社26社と持分法適用会社4社で構成され、主要な子会社としてネット証券のマネックス証券株式会社、投資運用業などを行うマネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社、暗号資産交換業を行うコインチェック株式会社等が挙げられる。

強み・弱み

1人当たり預り資産の額が他社比高位であることが強み。一方で売買手数料無料化など手数料競争が激化する中、営業収益に占める手数料の比率が高いことが弱みと同社は認識しており、強みである預り資産残高を活かした貸株サービスや投資信託等ストック型ビジネスへの収益構造転換を目指している。また暗号資産の取引ボリュームは市場ボラティリティによる変動が大きく、収益安定化が課題となる。

KPI

①預り資産(マネックス証券5.1兆円、グループ全体6.4兆円、2021年3月末)
②口座数(1,937千口座、2021年3月末)
③暗号資産取扱い通貨数、口座数、アプリダウンロード数

2021年3月期 決算説明資料

業績

2016年3月期から2020年3月期の連結売上高は概ね50,000百万円前後、税引き前利益は変動大きく1,000百万円台~8,000百万円だったが、2021年3月期は委託手数料の増加、暗号資産取引の活発化により前期比+46.4%と大幅増収。税引前利益も顧客基盤の拡大、特に日本、米国、クリプトアセット事業での増益が顕著で前期比約5倍の21,296百万円だった。フリーCFは変動大きいが、2021年3月期は営業CFの減少を受けてマイナス。