7606 ユナイテッドアローズの業績について考察してみた

7606 ユナイテッドアローズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q2 2023.09 28,859 -727 -2.52%
FY2024.Q3 2023.12 38,690 4,042 10.45%
FY2024.Q4 2024.03 34,565 923 2.67%
FY2025.Q1 2024.06 35,495 2,768 7.8%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 37,931 1,057 2.79%
FY2018.Q1 2017.06 35,228 2,436 6.91%
FY2018.Q2 2017.09 34,512 590 1.71%
FY2018.Q3 2017.12 45,435 6,764 14.89%
FY2018.Q4 2018.03 39,234 728 1.86%
FY2019.Q1 2018.06 36,378 2,593 7.13%
FY2019.Q2 2018.09 35,374 438 1.24%
FY2019.Q3 2018.12 46,077 6,555 14.23%
FY2019.Q4 2019.03 41,089 1,477 3.59%
FY2020.Q1 2019.06 37,505 3,143 8.38%
FY2020.Q2 2019.09 37,071 760 2.05%
FY2020.Q3 2019.12 44,517 4,983 11.19%
FY2020.Q4 2020.03 38,319 -128 -0.33%
FY2021.Q1 2020.06 22,198 -5,019 -22.61%
FY2021.Q2 2020.09 31,061 -1,821 -5.86%
FY2021.Q3 2020.12 38,540 3,370 8.74%
FY2021.Q4 2021.03 29,913 -3,143 -10.51%
FY2022.Q1 2021.06 25,264 -903 -3.57%
FY2022.Q2 2021.09 25,173 -1,745 -6.93%
FY2022.Q3 2021.12 36,467 4,485 12.3%
FY2022.Q4 2022.03 31,480 -154 -0.49%
FY2023.Q1 2022.06 29,664 1,853 6.25%
FY2023.Q2 2022.09 27,789 -468 -1.68%
FY2023.Q3 2022.12 38,640 5,002 12.95%
FY2023.Q4 2023.03 34,042 -25 -0.07%
FY2024.Q1 2023.06 32,155 2,502 7.78%
FY2024.Q2 2023.09 28,859 -727 -2.52%
FY2024.Q3 2023.12 38,690 4,042 10.45%
FY2024.Q4 2024.03 34,565 923 2.67%
FY2025.Q1 2024.06 35,495 2,768 7.8%

沿革

1989年10月に株式会社ユナイテッドアローズを設立し、11月にパリのブティック「マリナ・ド・ブルボン」の日本における運営代行業務を開始。1990年7月に東京都渋谷区にアパレルブランド「ユナイテッドアローズ」の1号店をオープン。1999年9月にアパレルブランド「グリーンレーベルリラクシング」、12月に「クロムハーツ」を展開。2002年3月に東証二部に上場し、2003年3月に東証一部へ変更。2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。2019年に中国で小売り事業を展開する子会社を設立。国内外で約300店を展開、セレクトショップの「ユナイテッドアローズ」ブランドを筆頭に、紳士・婦人向け衣料や靴・雑貨を価格帯別にブランド展開するアパレル大手

株主構成

有価証券報告書によると、2022年3月末時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合10.07%。日本カストディ銀行の信託口が9.87%、創業者である重松理氏で8.73%、3092ZOZOの前代表取締役の前澤友作氏が8.44%、株式会社エー・ディー・エスが7.01%で続き、以降は保有割合5%未満で海外金融機関などが並ぶ。尚、大量保有報告書によると前述の前澤氏の保有割合が5%を切っている一方、三井住友トラスト・アセットマネジメントの保有割合が5%を超えているとみられる。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。取締役専務執行役員の木村竜哉氏はアルバイトとして入社後、販売統括部部長などを経て2018年6月より取締役を務める。取締役常務執行役員の東浩之氏は、株式会社ワールドを経て、1996年3月に同社に入社。人事部門や経営部門に長年に渡って携わり、2012年6月に現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の松崎善則氏は1974年2月生まれ。渋谷店の販売員からスタート。1998年4月に同社に入社し、長年に渡って事業統括部門や事業本部に携わる。2018年6月に取締役常務執行役員、2020年11月に取締役副社長執行役員を経て、2021年4月に現職に就任した。尚、創業者の重松氏から前任社長の竹田光広氏に次いで12年ぶりの社長交代で同氏が3代目となる。

報告セグメント

「衣料品小売事業」の単一セグメントである。2023年3月期第1四半期の連結売上高が29,664百万円に対しユナイテッドアローズ単体が売上高27,089百万円と91.3%を占める。単体の売上高は下図の通りビジネスユニットとアウトレット等の2つに大別される。更に、ビジネスユニットは小売、ネット通販、その他(卸売等)に分類され、小売は32,630百万円と連結の52.1%を占める。

2023年3月期第1四半期決算説明会

事業モデル

衣料品小売事業では、「ファッション性が高く、ファッションの潮流に敏感なトレンドマーケット」をターゲットにブランド展開する。(下図参照)

同社HP TOP>Investors>ビジネスモデル

株式会社ユナイテッドアローズ単体で「ユナイテッドアローズ(以下UA)」と「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(以下B&Y UA)」、「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング」の3ブランドが主力事業である。この3事業に加えてアウトレットや複数の小型ストアブランドを運営しており、217店舗(2023年3月期第1四半期末)を展開する。売上の中心は上図のトレンドマーケットに属するブランドで2023年3月期第1四半期では単体売上高の65.2%を占める。
また連結子会社と持分法適用関連会社を通して、国内に「コーエン」、「クロムハーツ」の2ブランドを展開。コーエンでは衣料品や関連商品の販売を、クロムハーツでは、銀製のアクセサリーや革製衣料品等を販売しており、ユナイテッドアローズ単体の店舗と合わせると314店舗(2023年3月期第1四半期末)。
その他に、台湾において連結子会社を通じた衣料品の販売(8店舗:2023年3月期第1四半期末時点)を行っている。2019年12月には中国に連結子会社を設立。中国での市場開拓も図る。

競合他社

海外ブランド含め、高価格帯なドレステイストを軸としたセレクトショップではBEAMSを展開する株式会社ビームスホールディングスやSHIPSを展開する株式会社シップスといったブランドが競合となる。上場企業のアパレルメーカーとしてカジュアル路線の衣料品販売を行う2685アダストリア(2022年2月期売上高201,582百万円)、若年層向けレディースウェアを扱う2726パルグループホールディングス(同134,200百万円)なども一部のブランドでは競合する。

連結の範囲

連結子会社3社と、持分法適用関連会社1社を持つ。連結子会社は、「コーエン」を運営する株式会社コーエンと台湾、中国にて小売販売を行う現地法人で構成される。持分法適用関連会社には「クロムハーツ」を運営する「CHROME HEARTS JP合同会社がある。

強み・弱み

強みとして、柔軟な販売体制と顧客接点の多様化が挙げられる。コンセプト毎に異なるブランドを展開する一方で、顧客のニーズ変化に合わせて、2021年4月にはアウトドア路線の「コティ ビューティ&ユース」をローンチする等、柔軟に体制を変化させる。また、従来は百貨店や商業施設を中心に実店舗を展開していたが、2010年以降は駅ナカや空港向けに商品ラインナップをカスタマイズした新店舗を拡大。ECサイトではSNSのライブ機能やラインを用いたオンライン接客体制の強化に乗り出し、さらなる顧客接点の多様化を図る。
懸念点としては、オンラインシフトの加速に伴う実店舗での販売減退や在庫残リスクが挙げられる。また、原材料高や円安などによる原価上昇に伴う収益圧迫が懸念されるが、2022年秋冬商品の2割相当を平均15%値上げするなどし、対応している。

KPI

①売上高、買上客数、客単価前期比(月次で公表している)
②出退店状況(2023年3月期第1四半期:出店4、退店0、期末店舗数:314)

2023年3月期第1四半期決算説明会

業績

売上高は2016年3月期から2019年3月期の過去4期で約1.1倍に緩やかに増加していたが、新型コロナ流行、不採算店舗の退店などの影響を受け2022年3月期にかけて2019年3月期比で▲25.5%減収。営業利益は2021年3月期の損失計上から黒転したものの、コロナ禍前の利益水準への回復へは至っていない。フリーCFは2020年3月期以外プラス。自己資本比率は50%前後で推移し2022年3月期で50.3%。有利子負債の減少等もあり前期の46.9%から上昇した。

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