7606 ユナイテッドアローズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1989年10月に株式会社ユナイテッドアローズを設立し、11月にパリのブティック「マリナ・ド・ブルボン」の日本における運営代行業務を開始。1990年7月に東京都渋谷区にアパレルブランド「ユナイテッドアローズ」の1号店をオープン。1999年9月にアパレルブランド「グリーンレーベルリラクシング」、12月に「クロムハーツ」を展開。2002年3月に東証二部に上場し、2003年3月に東証一部へ変更。セレクトショップの「ユナイテッドアローズ」ブランドを筆頭に、紳士・婦人向け衣料や靴・雑貨を価格帯別にブランド展開するアパレル大手

株主構成

2021年3月期第2四半期報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は創業者である重松理氏で8.7%を保有する。次いで株式会社スタートトゥデイの前代表取締役の前澤友作氏が8.4%、株式会社エー・ディー・エスが7.0%、株式会社日本カストディ銀行が信託口で6.1%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社が信託口で5.4%、ステートストリートロンドン・SS BTCボストンUK が2.7%等と続く。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。取締役相談役の竹田光広氏は兼松江商株式会社を経て、2005年9月に同社に入社。常務や副社長、社長を歴任し、2021年4月に現職に就任した。取締役常務執行役員の東浩之氏は、株式会社ワールドを経て、1996年3月に同社に入社。人事部門や経営部門に長年に渡って携わり、2012年6月に現職に就任した。取締役常務執行役員の中井陽子氏は、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン経済協力開発機構を経て、2000年8月に株式会社イーピクチャーズを設立。その後、数社の取締役を経て2016年9月に株式会社リフトを設立。2020年6月に現職に就任した。その他の取締役はプロパー社員とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の松崎善則氏は1974年2月生まれ。1998年4月に同社に入社し、長年に渡って事業統括部門や事業本部に携わる。渋谷店の販売員からスターとして現在に至る。2018年6月に取締役常務執行役員、2020年11月に取締役副社長執行役員を経て、2021年4月に現職に就任した。尚、創業者の重松氏から前任社長の竹田光広氏に次いで12年ぶりの社長交代で同氏が3代目となる。

報告セグメント

「衣料品小売事業」の単一セグメントである。2021年3月期は売上高121,712百万円で、新型コロナ流行の影響を受けて経常利益はマイナス転換。それまでの利益率は1桁後半を推移していた。ユナイテッドアローズ単体で売上高101,929百万円と83.7%を占め、ビジネスユニットとアウトレット等の2つに大別される。更に、ビジネスユニットは小売り、ネット通販、その他(卸売等)に分類され、ネット通販は32,630百万円と連結の26.8%を占めた。

事業モデル

衣料品小売事業では、株式会社ユナイテッドアローズ単体で「ユナイテッドアローズ(以下UA)」と「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」、「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」の3ブランドが(B&Y)主力事業である 。この3事業に加えてアウトレットや複数の小型ストアブランドを運営しており、236店舗(2021年3月期末)を展開する。UA総合店、UA、B&U UA、靴のブランドオデット エ オディール、婦人服のドゥロワーの5業態が第一事業本部で、UAグリーンレーベルリラクシング、エメルリファインズ、ザ ステーション ストアUAなどの手ごろな価格でカジュアルなラインを提供する業態が第二事業本部に分類される。第一事業本部の売上高が58,542百万円と、第二事業本部が27,335百万円と、高額品を中心にセレクト品とオリジナル品の双方を取り扱うUAや2006年から展開するオリジナル品が多めの業態UA B&Yが主力。
また連結子会社と持分法適用関連会社を通して、国内に「コーエン」、「クロムハーツ」の2ブランドを展開。コーエンでは衣料品や関連商品の販売を行っており、店舗数は87店舗(同)に渡る。クロムハーツでは、銀製のアクセサリーや革製衣料品等を販売しており、10店舗(同)を展開する。
その他に、台湾において連結子会社を通じた衣料品の販売を行っており、2019年12月には中国に連結子会社を設立。中国での市場開拓も図る。2019年5月時点ではUA総合展が3店舗とアウトレット1店舗の合計4店舗。
主な仕入れ先は日鉄物産株式会社であり、その他にもアジアを中心に海外で生産された商品を広く仕入れる。販売先は同社が持つ実店舗や百貨店が中心。

競合他社

海外ブランド含め、高価格帯なドレステイストを軸としたセレクトショップではBEAMSを展開する株式会社ビームスホールディングスSHIPSを展開する株式会社シップスといったブランドが競合となる。上場企業のアパレルメーカーとしてカジュアル路線の衣料品販売2685株式会社アダストリア(2021年2月期売上高183,870百万円)、若年層向けレディースウェアを扱う2726株式会社パルグループホールディングス(同108,522百万円)なども一部のブランドでは競合する。

連結の範囲

連結子会社3社と、持分法適用関連会社1社を持つ。主要な連結子会社は、「コーエン」を運営する株式会社コーエンである。持分法適用関連会社には「クロムハーツ」を運営する「CHROME HEARTS JP合同会社がある。

強み・弱み

強みとして、柔軟な販売体制と顧客接点の多様化が挙げられる。同社では商品の季節区分を6区分に細分化し、気温や季節感の変化に応じて細やかな商品供給を行う。品揃えスケジュールを週毎に設定することで、顧客にとって商品ラインナップを新鮮に感じるように調整。コンセプト毎に異なるブランドを展開する一方で、顧客のニーズ変化に合わせて、2021年4月にはアウトドア路線の「コティ ビューティ&ユース」をローンチする等、柔軟に体制を変化させる。また、従来は百貨店や商業施設を中心に実店舗を展開していたが、2010年以降は駅ナカや空港向けに商品ラインナップをカスタマイズした新店舗を拡大。ECサイトではSNSのライブ機能やラインを用いたオンライン接客体制の強化に乗り出し、さらなる顧客接点の多様化を図る
懸念点としては、オンラインシフトの加速に伴う実店舗での販売減退や在庫残リスクが挙げられる。また、世界各地から仕入れしているため、表面化しにくいが、為替の業績影響を受ける点も懸念点である。

KPI

KPIには既存店の売上高増減率と期末店舗数が挙げられる
①既存店の売上高増減率:前年同期比80.4%(2021年3月期下期)

2021年3月期決算説明資料

②期末店舗数:330店舗(2021年3月期末)

2021年3月期決算説明資料

業績

売上高は2016年3月期から2019年3月期の過去4期で約1.1倍に緩やかに増加していたが、新型コロナ流行の影響を受け2021年3月期にかけて2019年3月期比で▲23%減収。経常利益は、2020年3月期には前期比▲22%減少し、2021年3月期にはマイナス転換。営業CFは2020年3月期まではプラスを継続したが、2021年3月期にマイナス転換。投資CFはマイナスを継続。財務CFは2021年3月期にプラスへ転換。自己資本比率は2021年3月期で46.9%。前期の55.2%から低下した